【パッケージ・バリアフリーアンケート】

新世紀の包装の課題と変化
共生時代の本格的幕開け
“人にやさしい”との視点は包装を変えるか?


調査対象 =包材サプライヤー(メーカー、コンバーター、商社・ディーラーの有力企業)135社
ユーザー(食品、飲料、医薬品、化粧品、ボディーケア・トイレタリー、家電製品の大手メーカー)126社
調査方法 =ダイレクトメールおよびインターネット
調査期間 =98年11月下旬〜12月上旬
回答総数 =包材サプライヤー65社(うちインターネット16社)
ユーザー69社(うちインターネット17社)
有効回答数 =包材サプライヤー65社(100%)/ユーザー66社(95.7%)


日本の包装技術は今や世界最高水準に達している。第二次世界大戦で破壊し尽くされた日本が驚異的な速度で経済復興を果たし得たのも、その陰に包装技術の長足の進歩があったからで、包装技術の進歩なしにはそれが達成されなかったことは言うまでもない。
こうした急速な経済発展の軌跡の中で包装に求められてきたものを端的に表現するとすれば、「中身保護」や「輸送効率」、「販促手段」などといった言葉に代表されるように“もうける”ための要素ばかりが並ぶ。これまでの包装は、経済性と効率の追求に明け暮れてきた日本の来し方を象徴的に示す存在であったと言っても過言ではない。

近年に至ってその状況を一変させたのは、おそらく、ゴミ処理システムの限界や環境汚染など、包材に深いかかわりがあるさまざまな要素を含んだ環境問題の出現だったに違いない。環境問題を論議する前提の知識や情報の真偽がどうだったかはともかく、リサイクルや省資源化への取り組みなど、直接利益につながらない事柄に多くの企業が重い腰を上げ始めた。流通業をはじめ、食品メーカーや化粧品メーカー、家電メーカーなどの包材ユーザーは、環境保護団体や消費者団体のクレームによるイメージダウンを恐れ、自社が真剣にこの問題に取り組んでいることをアピールし、包材メーカーの中でも、これを好機ととらえて存在感を誇示した企業も少なからず登場してきた。そういった意味では、各企業の環境問題への取り組みは、社会で広く認知されるところとなっており、逆にイメージアップの材料に使われるまでになったことはすでに周知の通りだ。

こうした中、日本でも高齢化社会を迎えた事情も手伝い、高齢者や障害者が若年者や健常者とともに快適な社会生活を送れるようにするため、さまざまな分野でバリア(障害)となるものを取り除く「バリアフリー」の概念がわずかながらも脚光を浴び始め、一般に「共生の時代を迎えた」とも表現されるに至っている。現時点で言えば、環境問題とは比較にならないほど「もうけ」からかけ離れた存在のバリアフリーだが、このテーマが今後、マーケットにどれほどの影響力を及ぼすかは各企業の将来を大きく左右することは間違いない。
当然、包装分野も例外ではない。むしろ、あらゆる商品を包む包材はそれだけ幅広い消費者に行きわたるわけで、これにバリアフリーの概念を盛り込むケースが増えてくる可能性もある。日本はまだ、高い経済レベルの割には、社会資本の整備が遅れており、高齢者や障害者にとって暮らしにくい環境にあると言われる。しかし、グローバルスタンダードの波はこうした部分にまで着実に及んできており、日本がその流れに逆らっていくことは到底できない状況にあることも確かだ。この点、厳しい経済環境下にありながら、企業に突きつけられている課題は決して先送りできる種類のものではなくなっている。当事者の包材サプライヤー(メーカー、コンバーター、商社・ディーラー)やユーザー(食品、飲料、医薬品、化粧品などのメーカー)は、包装についてのバリアフリーにいかに取り組み、またその将来性をどう認識しているのか。

そこで、週刊包装タイムスでは、その実態を調査するため、ダイレクトメールとインターネットを活用し、関係各社に対するアンケート(包材サプライヤー編とユーザー編に分かれる)を行い、その結果に対し独自の分析を試みた。このアンケート結果と分析の掲載は、1月18日号(第13〜23面)に掲載

────────────包装タイムス1月18日号掲載

包装タイムス・吾妻記者