廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を
改正する法律案要綱
第一 改正の趣旨 産業廃棄物の最終処分場の確保の困難化、廃棄物の処理に対する住民不安の高まり、不 法投棄の件数の増加等の廃棄物の処理をめぐる状況にかんがみ、廃棄物の適正な処理を確 保するため、廃棄物の再生利用について許可に代わる認定制度の新設、廃棄物処理施設の 設置の許可の要件及び手続きの明確化、最終処分場の維持管理積立金制度の新設、産業廃 棄物管理票制度の適用範囲の拡大、産業廃棄物適正処理推進センターを指定する制度の新 設、産業廃棄物の不法投棄に関する罰則の強化等の措置を講ずることとする改正を行うこ と。
スクロール
  第二 改正の要点

一 廃棄物の減量及び再生利用に関する事項

 1多量に産業廃棄物を排出する事業者の処理計画における減量の視点の明確化
  都道府県知事は、その事業活動に伴い多量の産業廃棄物を生ずる事業者に対し、その事
業場に係る産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成するよう指示することが
できるものとすること。(第十二条第五項及び第十二条の二第六項関係)

  2廃棄物の再生利用に係る認定
 (1)再生利用の認定
  厚生省令で定める廃棄物の再生利用を行い、又は行おうとする者は、当該再生利用の内
容が生活環境の保全上の支障のないものとして厚生省令で定める基準に適合していること
等について厚生大臣の認定を受けることができるものとすること。(第九条の五の二第一
項及び第十五条の四の二第一項関係)
 (2)廃棄物処理業及び廃棄物処理施設の設置の許可の特例
 1の認定を受けた者については、都道府県知事の許可を受けないで、当該認定に係る廃
棄物の収集若しくは処分を業として行い、又は当該認定に係る廃棄物処理施設を設置する
ことができるものとすること。ただし、廃棄物処理基準等の規定については、これを適用
するものとすること。(第九条の五の二第三項及び第四項並びに第十五条の四の二第三項
及び第四項関係)
スクロール
二 廃棄物処理施設の設置に関する事項

 1生活環境影響調査書の添付等
  廃棄物処理施設の設置の許可の申請者は、当該施設の設置に関する計画及び維持管理に
関する計画等をその申請書に記載するとともに、当該申請書に当該施設の設置が周辺地域
の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添付するものとすること。
(第八条第二項及び第三項並びに第十五条第二項及び第三項関係)

 2申請書等の告示・縦覧
  都道府県知事は、政令で定める廃棄物処理施設について設置の許可の申請があった場合
には、当該施設の設置の場所を告示するとともに、申請書等を一月間公衆の縦覧に供する
ものとすること。(第八条第四項及び第十五項第四項関係)

 3関係市町村の意見聴取等
  都道府県知事は、2の告示をしたときは、関係市町村長の生活環境の保全上の見地から
の意見を聴かなければならないものとするとともに、当該施設の設置に関し利害関係を有
する者は、縦覧期間満了後二週間以内に生活環境の保全上の見地から意見書を提出するこ
とができるものとすること。(第八条第五項及び第六項並びに第十五条第五項及び第六項
関係)
スクロール
 4許可要件の追加
  廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理計画が周辺地域の生活環境の保全につ
いて適正な配慮がなされたものであることを許可の要件とすること。(第八条の二第一項
及び第十五条の二第一項関係)

 5専門的知識を有する者の意見聴取
  都道府県知事は、2の政令で定める廃棄物処理施設の設置の許可をする場合においては、
あらかじめ当該施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が周辺地域の生活環境
の保全に適正な配慮がなされたものであるかについて、生活環境の保全に関し厚生省令で
定める事項について専門的知識を有する者の意見を聴かなければならないものとすること。
(第八条の二第二項及び第十五条の二第二項関係)

 6許可の取消等
  都道府県知事は、廃棄物処理施設の構造又は維持管理が技術上の基準又は申請書に記載
された設置に関する計画若しくは維持管理に関する計画に適合していないと認めるとき、
又は許可を受けた者が当該許可に付した条件に違反したときは、許可の取消等ができるも
のとすること。(第九条の二及び第十五条の三関係)
 7市町村の設置に係る一般廃棄物処理施設の届出
  一般廃棄物処理施設を設置しようとする市町村の長は、届出書の作成にあたっては、そ
の設置に利害関係を有する者に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出する機会を付
与するとともに、届出書にはその設置が周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査
の結果を記載した書類を添付するものとする。(第九条の三第一項及び第二項関係)
スクロール
三 廃棄物処理施設の維持管理に関する事項

 1維持管理義務
  廃棄物処理施設の設置者は、技術上の基準とともに、申請書に記載された維持管理に関
する計画に従い、当該施設の維持管理をしなければならないものとすること。(第八条の
三、第九条の三第五項及び第十五条の二の二関係)

 2廃棄物処理施設の維持管理に関する記録の作成及び閲覧
  二の2の政令で定める廃棄物処理施設の設置者は、当該施設の維持管理に関し厚生省令
で定める事項を記録し、これを当該施設等に備え置くとともに、当該維持管理に関し生活
環境の保全上利害関係を有する者の求めに応じ閲覧させるものとすること。(第八条の四、
第九条の三第六項及び第十五条の二の三関係)

 3維持管理積立金
 (1)維持管理積立金の積立て
 特定最終処分場(厚生省令で定める最終処分場をいう。以下同じ。)の設置者は、その
埋立処分の終了後の維持管理を適正に行うため、埋立処分の終了まで、毎年度、都道府県
知事が厚生省令で定める基準に従って算定し通知する額の維持管理積立金を環境事業団に
積み立てなければならないものとすること。(第八条の五第一項から第四項まで及び第十
五条の二の三関係)
 (2)維持管理積立金の取り戻し
 特定最終処分場の設置者は、埋立処分の終了後維持管理を行う場合等は、維持管理積立
金を取り戻すことができるものとすること。(第八条の五第六項及び第十五条の二の三関
係)
 (3)承継があった場合の取扱い
 特定最終処分場の設置者について地位の承継があったときは、維持管理積立金は当該承
継人が積み立てたものとみなすこと。(第八条の五第七項及び第十五条の二の三関係)
 (4)許可の取消等
 都道府県知事は、特定最終処分場の設置者が1の積立てをしていないときは、許可の取
消等ができるものとすること。(第九条の二及び第十五条の三関係)
 (5)環境事業団の業務の追加 
 環境事業団の業務として維持管理積立金の管理に関する業務を追加すること。(第八条
の六関係)
 (6)最終処分場の廃止の確認
 最終処分場の設置者は、あらかじめ当該最終処分場の状況が技術上の基準に適合してい
ることについて都道府県知事の確認を受けたときに限り、当該最終処分場を廃止できるも
のとすること。(第九条第五項、第九条の三第十項及び第十五条の二の四第三項関係)
スクロール
四 廃棄物処理業者に関する事項

 1廃棄物処理業の欠格要件の追加
 処理業の許可の欠格要件として、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規
定に違反した者等を追加するとともに、欠格要件に係る法人の役員の範囲として、相談役、
顧問等いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し取締役等と同等以上の支配
力を有していると認められる者を含むものとすること。(第七条第三項関係)

 2名義貸しの禁止
 廃棄物処理業者は、自己の名義をもって、他人に廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を
業として行わせてはならないものとすること。(第七条の四、第十四条の三の二及び第十
四条の三の二及び第十四条の七関係)
スクロール
五 産業廃棄物管理票制度等に関する事項

1産業廃棄物管理票制度の適用範囲等
 (1)特別管理産業廃棄物管理票制度の適用範囲をすべての産業廃棄物に拡大すること。
(第十二条の三関係)
 (2)管理票の交付者は、委託した産業廃棄物の運搬又は処分が終了したことを送付され
た管理票の写しにより確認するとともに、これを厚生省令で定める期間保存しなければな
らないものとすること。(第十二条の三第四項関係)

2電子情報処理組織の使用
 (1)事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合において、運搬受託者及
び処分受託者から電子情報処理組織(情報処理センターの使用に係る電子計算機と、事業
者、運搬受託者及び処分受託者の使用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続したもの
をいう。以下同じ。)を使用してその運搬又は処分が終了した旨の報告を求め、かつ、そ
の産業廃棄物の種類、数量等を情報処理センターに登録したときは、管理票の交付を要し
ないものとすること。(第十二条の四第一項関係)
 (2)運搬委託者又は処分受託者は、1により報告を求められた場合において、その運搬
又は処分を終了したときは、電子情報処理組織を使用して情報処理センターにその旨を報
告しなければならないものとすること。(第十二条の四第二項関係)
 (3)2の運搬又は処分が終了した旨の報告を受けた情報処理センターは、電子情報処理
組織を使用して事業者にその旨を通知するとともに、その情報をファイルに記録して厚生
省令で定める期間保存し、及び都道府県知事に対し定期的に報告するものとすること。
(第十二条の四第三項、第五項及び第六項関係)
 (4)事業者は、3の通知を受けたときは、当該運搬または処分が終了したことを当該通
知により確認しなければならないものとすること。(第十二条の四第四項関係)
 (5)情報処理センターは、厚生省令で定める期間内に2の報告を受けないときは、その
旨を事業者に通知し、事業者は速やかに適切な措置を講ずるものとすること。(第十二条
の四第七項及び第八項関係)
スクロール

3情報処理センター
 (1)厚生大臣は、2の業務を適正かつ確実に行うことができると認められる民法第三十
四条の法人を、全国を通じて一個に限り、情報処理センターとして指定することができる
ものとすること。(第十三条の二関係)
 (2)情報処理センターは、2の1の登録、2の2の報告等に係る事務を電子情報組織に
より処理するために必要な電子計算機等の使用及び管理並びにプログラム、データ及びフ
ァイルの作成等の業務(以下「情報処理業務」という。)を行うものとすること。(第十
三条の三関係)
 (3)情報処理センターの役員等は、情報処理業務に関し知り得た秘密を漏らしてはなら
ないものとすること。(第十三条の七関係)
 (4)情報処理センターは、情報処理業務に関し業務規定を作成して厚生大臣の認可を受
けるほか、毎事業年度、事業計画書等の認可を受け、事業報告書等を提出することとする
とともに、情報処理センターに対する報告徴収、立入検査、監督命令、指定の取消等その
監督に必要な規定を設けること。(第十三条の四から第十三条の六まで及び第十三条の八
から第十三条の十一まで関係)
スクロール

六 生活環境の保全上の支障の除去等に関する事項

1措置命令の対象の拡大等
 (1)廃棄物処理基準に適合しない処分により生活環境の保全上の支障が生ずる場合等に
おいて、都道府県知事及び市町村長がその支障の除去等のために必要な措置(以下「支障
の除去等の措置」)という。)を命ずることができる者として、当該処分を行った者に管
理票の交付をしなかった者等(以下措置命令の対象となる者を「処分者等」という。)を
追加すること。(第十九条の四第一項関係)
 (2)措置命令を行う際には、厚生省令で定める事項を記載した命令書を交付するものと
すること。(第十九条の四第二項関係)

2生活環境の保全上の支障の除去等の措置
 (1)都道府県知事及び市町村長は、次のいずれかに該当すると認められるときは、自ら
その支障の除去等の措置の全部又は一部を講ずることができるものとすること。この場合
において、イに該当するときは、期限を定めて当該支障の除去等の措置を講ずべき旨等を
公告するもとすること。(第十九条の五第一項関係)
 ア 1の命令を受けた処分者等が、期限までにその命令に係る措置を講じないとき、講
じても十分でないとき又は講ずる見込みがないとき。
 イ 過失がなくて支障の除去等の措置を命ずべき処分者等を確知することができないと
き。
 (2)都道府県知事及び市町村長は、1の措置を講じたときは、当該措置に要した費用に
ついて、当該処分者等に負担させることができるものとすること。(第十九条の五第二項
関係)
スクロール

七 産業廃棄物適正処理推進センターに関する事項

1産業廃棄物適正処理センター
 (1)厚生大臣は、事業者による産業廃棄物の適正な処理の確保を図るための自主的な活
動を推進することを目的として設立された民法第三十四条の法人を、全国に通じて一個に
限り、産業廃棄物適正処理推進センター(以下「適正処理推進センター」という。)とし
て指定することができるものとすること。(第十三条の十二関係)
 (2)適正処理推進センターは次の業務を行うものとすること。(第十三条の十三関係)
 ア 産業廃棄物の処理の方法等の点検又は改善のために必要な助言又は指導
 イ 産業廃棄物処分業者等に関する情報の収集及び事業者への提供
 ウ 産業廃棄物の適正な処理に関する事業者及びその従業員に対する研修
 エ 産業廃棄物の適正な処理の確保に資する啓発活動及び広報活動
 オ 六の2の支障の除去等の措置を講ずる都道府県等に対する産業廃棄物の撤去等の実
施、資金の出えんその他の協力
 (3)適正処理推進センター又はその委託を受けた者が2の協力の求めに応じて産業廃棄
物の撤去等を行うときは、産業廃棄物処理業の許可を不要となる。(第十三条の十四関係)
 (4)適正処理推進センターに2の業務に関する基金を設けることとし、厚生大臣は基金
への出えんについて、事業者等に対し、必要な協力を求めるよう努めるものとすること。
(第十三条の十五関係)
 (5)適正処理推進センターに対する監督命令、指定の取消等その監督に必要な規定を設
けること。(第十三条の十六関係)
スクロール

2適正処理推進センターの協力
 都道府県知事は、六の2の支障の除去等の措置を講じようとするときは、適正処理推進
センターに対し、当該措置の実施に協力を求めることができるものとすること。(第十九
条の六関係)

八 情報交換の促進等
 国は、都道府県知事が行う産業廃棄物に係る事務が円滑に実施されるように、国と都道
府県及び都道府県相互間の情報交換を促進するとともに、当該事務の実施の状況に応じて
必要な措置を講ずることに努めるものとすること。(第二十三条の二関係)

九 罰則の強化
 産業廃棄物の投棄禁止違反等に対する罰則を強化するとともに、罰則の規定を整備する
こと。(第五章関係)

十 その他所要の規定の整備を行うこと。
スクロール

  第三 施行期日等

一 施行期日
 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から
施行するものとすること。ただし、次に掲げる事項は、次に定める日から施行すること。
 (1)二、三、五の3の1、六の1の2、六の2及び七 公布日から起算して一年を超えな
い範囲内において政令で定める日
 (2) 五(3の1を除く。)及び六の1の1 公布の日から起算して一年六月を超えない
範囲内において政令で定める日

 二 この法律の施行前に行われた廃棄物処理業及び廃棄物処理施設の設置の許可等につ
いて所要の経過措置を講ずるとともに、情報処理センターは必要な準備行為ができるもの
とすること。
 三 厚生省設置法その他の関係法律について、所要の改正を行うこと。