循環経済新聞・バックナンバー“2013年7月度”

7月1日号ダイジェストニュース

◇循環産業7社が6カ国で
実現可能性調査支援で採択

- 海外展開事業化促進 -

 環境省は6月20日に2013年度「我が国循環産業海外展開事業化促進事業」の採択事業を公表した。市川環境エンジニアリングをはじめクレハ環境など7社によるもので地域はベトナムや中国など6カ国に及んでいる。


◇災害廃プラでパレット試作
39枚を気仙沼市に贈呈

- 市川環境エンジニアリング -

 市川環境エンジニアリング(千葉県市川市、石井邦夫社長)は子会社のエム・エム・プラスチックで、宮城県の気仙沼処理区で発生した災害廃棄物を原料とした再生プラスチックパレットを45枚試作した。同社が企画を行い、現地処理を担当する大成JVや宮城県、気仙沼市、千葉県、富津市などの協力を得て実現した。5月15日には、気仙沼市に試作した再生プラスチックパレット39枚を贈呈した。


◇9月から操業開始へ
北海道でPCB施設を増設/安定器・小型電気機器など

- 日本環境安全事業 -

 日本環境安全事業(JESCO、本社・東京、矢尾板康夫社長)北海道事業所(北海道室蘭市)はPCB廃棄物処理施設を増設した。6月からPCB廃棄物を受け入れ、プラントの性能や機能を確認するための負荷試運転を開始した。9月から安定器や小型電気機器、感圧複写紙といったPCB汚染物の処理に着手する予定。


◇バイオマス産業都市が決定
第一次募集で8地域

- 農林水産省ほか -

 6月11日に開催された内閣府・総務省・文部科学省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省の7府省によるバイオマス活用推進会議で、「バイオマス産業都市」の第一次選定地域が決まった。選ばれたのは、北海道十勝地域(管内19市町村)・北海道下川町・北海道別海町・宮城県東松島市・茨城県牛久市・新潟市・愛知県大府市・香川県三豊市の8地域となっている。


◇被災地に稼働した新工場で見学会
陸前高田で震災復興を

- リ・ソー環境有限責任事業者組合 -

 中央環境開発(横浜市金沢区、太田敏則社長)とリアス(岩手県陸前高田市)、ソーセキ(栃木県佐野市)3社によるRi-so環境有限責任事業者組合(LLP)は、6月14日、岩手県で新たに稼働した新工場の見学会を行った。


◇基板片とプラを精選別
光学選別機を開発

- コヤマ・システム -

 組み込みソフトウエアや映像解析システムの開発で実績を重ねるコヤマ・システム(高松市、小山敏則社長)は、コンパクトで省エネ設計の光学式破砕片選別機を開発、市場に投入した。レアメタル資源の循環利用や、小型家電リサイクル法の施行等で、電子機器の破砕・選別技術に注目が集まる中、高精度かつシンプルな光学選別機で処理事業者のニーズを捉える考えだ。


◇Tポイント付与を開始
今後は対象拡大も検討

- 仲田総業 -

 産業廃棄物・一般廃棄物の収集運搬や解体など複数の事業を手掛ける仲田総業(栃木県宇都宮市簗瀬町、仲田俊夫社長)は、家庭ごみを持ち込んだ顧客に対し、Tポイントを付与するサービスを開始した。対象となるのは、同社川田事業所に持ち込まれた家庭の粗大ごみで、現金支払いを行った場合に限る。今後はTポイントの付与対象の拡大も検討している。


◇エリア内の産廃広域移動も活発
地域循環圏の形成推進を

- 中四国地域の産廃循環への取り組み -

 瀬戸内海を挟み、森林・水産資源の豊かな中四国地域。全国有数の工業地帯を有する山陽地域に域内格差が広がる山陰、対岸地域の経済活動を影響を受けつつ独自の産業構造を形成した四国地域など、特色はさまざまだ。環境関連事業においても、広域地方計画のなかで、地域特色を生かした新エネルギーの導入や森林共生につながる未利用間伐の活用など、低炭素・循環型地域づくりに向けたプロジェクトが進められている。中国・四国の両地域は、産廃の相互移動など廃棄物処理においても関連性が深い。こうしたこともあって中四国が一体化した「地域循環圏」形成推進に向けた取り組みも進められている。中四国地域の産廃広域移動状況と、循環圏構築への取り組みをまとめた。


◇未利用材による発電事業
新規計画の発表続々と/地域活性化へ大きな期待

- 中四国/木質バイオマス発電事業の現況 -

 近年、同地域では間伐材や林地残材といった未利用木材による発電計画が続々と発表されている。森林整備の際に出る間伐材等は、林業衰退で運搬費など採算性の確保が難しく、林内に放置され森林荒廃の一因になるとも言われてきた。自治体や林業従事者が有効利用の道を探る中、FIT施行で調達価格が33.6円に設定。林業および地域活性化の起爆剤になるとして、発電事業への注目度は高い。近年の事例を特集する。


◇インタビュー FIT開始から約1年が経過
新電力参入で自由に売電/事業の決め手は「人材」/電力の安定供給実現へ
中国木材 設備部 部長 中谷 中應氏

- 新旧ボイラーの現況と未来図 -

 現在、電力の小売市場の自由化が進み、既存の大手電力会社の他、新電力会社(PPS)と呼ばれる特定規模電気事業者の参入が相次いでいる。国内最大規模の製材事業を展開する中国木材(広島県呉市)では、多数のボイラーを設置し、3月から新電力会社「フォレストパワー」を立ち上げた。その取り組みについて、同社設備部の中谷中應部長に話を聞いた。また、石炭と木質チップの混焼ボイラーで発電を手掛ける宇部興産(山口県宇部市)の事例を紹介する。


◇有用資源循環へのアプローチ次々
小型家電R実証事業への参加進む/独自取り組みで3R促進も

- 中四国使用済み製品特集 -

 瀬戸内沿岸を中心に産業集積地を擁する中四国地域。大手鉄鋼や電子回路、金属加工などの産業がバランスよく配置していることもあって、金属資源や使用済み製品の循環利用を図りやすい土壌がある。近年では都市鉱山開拓への関心の高まりを受けて、使用済み小型家電のリサイクル事業などの意欲的な取り組みが増加中だ。
 最近では、住民の環境意識の高まりを受けて、使用済み小型家電を皮切りに有用金属リサイクルに取り組もうとする自治体の存在も顕著となった。一方、多角的な循環利用にアプローチする民間事業者も現れている。ここでは、中四国で先行的に開始されている使用済み製品のリユース・リサイクル事例を紹介する。


◇新サービスを全国に発信
躍進する事業を一挙紹介/先進技術で信頼を勝ち取る

- 中四国/注目企業の最新事例 -

 廃棄物処理・リサイクル、および廃棄物の一元管理サービスを手掛けるアースサポート(松江市、尾崎俊也社長)は、「Tポイント」サービスを導入し、顧客満足度と併せて一般への知名度の向上につなげている。同サービスは、不用品回収業務や解体工事の見積もり依頼などに対してもポイントを付与するシステム。自社で導入するだけでなく、二次代理店として全国で加盟店の募集提案も進めている。


◇需要増が見込まれる解体需要
求められる副産物の適正処理/実績伸ばす業者を紹介

- 中国四国地方における建設系廃棄物処理動向 -

 新政権が誕生して半年が経過した。現政権が打ち出した経済政策「アベノミクス」で発表した「3本の矢」。この2本目の矢として公共事業があげられた。政府は今年1月、公共事業政策を盛り込んだ「緊急経済対策」として計20兆円に及ぶ計画を発表した。このうち実際に公共事業として使用されるのは5兆円。積極的な経済政策の結果、徐々ではあるものの、その影響は各地域で出はじめている。建物や橋梁などといった建築物の建て替え、補強工事の需要が増加し、それに伴い建設系廃棄物の発生量が伸びている。ただ、木くずやコンクリート塊などの特定建設資材の再資源化率は向上しているものの、その“出口”について、多くの会社がその在庫を抱えており深刻な状態だ。そこで今回、中四国で建設系廃棄物処理で特に実績をあげる企業を紹介する。


◇管理型で産廃も一廃も受け入れ
下水汚泥炭化施設がスタート

- 中国・四国地方の「活躍する処理業者」 -

 明和クリーン(徳島県三好市、楠本鈴子社長)は、産廃や一廃の最終処分場の許可を持ち、産廃は徳島県内の事業所から排出される汚泥、燃え殻をメインとして処分している。関連企業のヤマト重機は、解体工事業を通じて、積極的に環境保全活動を進める。
 発注者や地域住民の信頼を獲得し、持続的発展に寄与してきた。一般廃棄物については、徳島県内と高知県内の自治体から排出される焼却灰や不燃ごみの埋立処分を行っている。最終処分場の容量は、53万立方メートルあり、現在2021年までの埋立が可能な状況だ。


◇導入した6県の状況は
四国唯一の「愛媛県」は2億円台

- 中国・四国地方「産廃税」最新事情 -

 中国・四国地方で産廃税を導入しているケースは、鳥取(鳥取県産業廃棄物処分税)、島根(島根県産業廃棄物減量税)、岡山(岡山県産業廃棄物処理税)、広島(広島県産業廃棄物埋立税)、山口(山口県産業廃棄物税)、愛媛(資源循環促進税)の6県だ。ほとんどが県内の最終処分場に搬入される産廃に対し、1トン当たり1000円の税率となっている。納税者は、排出事業者と中間処理業者だが、最終処分場の事業者が申告して納税する仕組み。税収額は、数百万円から5億円以上の県もある。今回は、中国・四国で導入されている産廃税について、税収額と使途を見ていきたい。


7月8日号ダイジェストニュース

◇第一陣、14社に大臣認定
東北5県と沖縄は決まらず

- 小型家電リサイクル法 -

 小型家電リサイクル法に基づく再資源化事業計画の環境・経済産業大臣認定を6月28日付で14社が初めて受けた。第一陣にはリサイクルや産業廃棄物の中間処理に携わる事業者などが選定された。これら14社が受け持つのは合計41都道府県。青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県の東北地域と沖縄県が空白地帯となった。


◇選別徹底で高品質RPF
再生利用、木質燃料製造も/月間約100tを生産

- ノザワ -

 ノザワ(本社・青森県八戸市、野沢博克社長)は、建設現場や各種事業所、農業で発生する廃プラスチック類などが入った混合廃棄物を選別し、月間約100トンのRPF(廃プラ、紙くずなどでつくる固形燃料)を製造している。多品種少量、混合廃棄物が多いという地域特性もあり、RPF製造事業を開始した2004年から目視による塩ビや金属など異物の選別除去に努めてきた。


◇携帯電話の回収増へ
2012年度は367万台/油化をリサイクルのコアに

- NTTドコモ -

 NTTドコモは、2010年12月からプラスチック部材の油化をコアにしたリサイクルプロセスの運用を始め、12年度は367万台の使用済み携帯電話を回収した。今後はリサイクル活動の認知度を高め、使用済み携帯電話の回収量増加を図る。


◇メタンガス化、順調に稼働
土浦市のモデル回収も増加

- 日立セメント神立資源リサイクルセンター -

 生ごみのメタンガス化事業を手掛ける日立セメント神立資源リサイクルセンター(茨城県土浦市)のバイオプラントが順調に稼働している。2012年7月、受け入れを開始すると、全国の食品関連産業の注目を集め、産廃系食品廃棄物の持ち込みが増えた。また、今月2年目を迎えた地元・土浦市の生ごみ処理受託も、モデル回収の段階だが、回収対象地域、回収量ともに増えている。


◇6月から中性固化材の販売開始
千葉工場で月間1500tを生産

- 宇部マテリアルズ -

 宇部マテリアルズ(山口県宇部市、安部研一社長)は、土質改良や植生目的等での地盤改良工事に対応する中性固化材「グリーンライムNP」を開発した。千葉工場で月間1500トンの生産設備を整えており、6月から本格的に販売を開始。少量の使用で、建設発生土や浚渫汚泥など軟弱土に高い強度を持たせ、中性域のため環境に配慮した性能となっている。主に東北地方での採用に注力し、今後、同材の使用範囲を広げていく。


◇小粒径・低密度の非鉄回収
再生プラの異物除去にも/デュアルX線検出器搭載選別機

- ダイオーエンジニアリング -

 ダイオーエンジニアリング(本社・愛媛県四国中央市)は、混合物から小粒径・低密度の非鉄金属選別などに使える選別装置「エアロソータXRT」について、提案・営業を強化する。有価金属の回収率向上のほか、家電メーカーのミックスプラから微小金属類・難燃材プラ・ガラス繊維入りプラ等の異物除去、廃自動車のシュレッダーダストの選別、さらにアルミとアルミ合金混合物から合金の除去選別等などに利用できる。


◇安全・環境対策で検討会
専用運搬ルート確保を提言/中間貯蔵施設

 環境省は6月28日、東京都内で中間貯蔵施設設置に向けた「中間貯蔵施設安全対策検討会」と「中間貯蔵施設環境保全対策検討会」を行った。今回が第1回目となり、高濃度の放射性物質を含んだ廃棄物の運搬方法に関する意見などが挙がった。有識者として参加した家田仁氏(東京大学大学院工学系研究科社会基盤専攻教授)は中間貯蔵施設に運搬するための専用ルートの設置を提言した。


7月15日号ダイジェストニュース

◇全国で547社、1年で5割増
環境配慮契約の見直しで

- 優良処理業者認定制度 -

 優良処理業者の認定件数が伸びている。(公財)産業廃棄物処理事業振興財団(樋口成彬理事長)は、最新の認定状況(6月末時点)を公表した。全国で547社3698件となり、1年で5割増。環境配慮契約が見直され、産廃処理が追加、優良業者の優位性が明らかになったことが大きな要因とみられている。


◇業務管理システムを開発
有価物の取り扱いに対応

- 橋本 -

 一般廃棄物処理で県内トップクラスの実績を持つ橋本(岐阜県可児市、橋本直美社長)は、基幹業務の管理システムを開発しており、このたびの2期プロジェクトで有価物の取り扱いや市町村ごとの報告などの一元管理も実現。さらなる業務の効率化と企業コンプライアンス体制の構築につなげている。共同開発した大塚商会では、廃棄物業者向けに「ハイパーリサイクル」の商品名でシステムを発売した。


◇廃水・食品・電炉向けに
パーフェクトリサイクル新提案/鹿島選鉱から社名変更

- エコイノベーション -

 エコイノベーション(茨城県鹿嶋市、岸上理社長)は7月1日付で旧鹿島選鉱から社名変更し、新たなスタートを切った。グローバル展開も視野に入れながら、廃水処理や食品分野、電炉メーカーなどに対して二次廃棄物ゼロの「パーフェクトリサイクルシステム」を提案していく。


◇食育、循環利用を推進
公共やスーパー、ホテルに提案/日量15tの食リ施設で

- 佐々木総業 -

 佐々木総業(青森県八戸市、佐々木政幸社長)は、食品廃棄物や動植物性残さをたい肥化し、農産物として再び使う“食育”“循環利用”の提案を強化する。2008年に地元大手スーパー、ユニバースとで構築、認定された「食品リサイクルループ」の取り組みを給食センターなどの公共施設やスーパー、ホテル、農産品加工会社などにさらに広げ、「排出元の『顧客』にリサイクルでの社会貢献で満足度を上げてもらう」(沼田一行センター長)ことをアピールする。


◇木チップ舗装材の実績伸ばす
鳥取で約1000m2施工

- 赤松産業 -

 土木工事を手掛ける赤松産業(鳥取県日野町、赤松敬四郎社長)は、自社で開発・製品化した木チップ舗装材「草難(そうなん)です」を鳥取県で5月に開かれた「第64回全国植樹祭」の式典会場に約1000平方メートル施工するなど、実績を伸ばしている。同製品は、間伐材を主原料とした木くずを全量リサイクルしたもの。今後、山林で放置される未利用材の有効利用も目指しており、森林整備に貢献していく。


◇廉価・高効率の防振装置
総コスト・クレーム低減に/粘性ダンパーとコイルスプリングで

- ゲルブ・ジャパン -

 ゲルブ・ジャパン(神奈川県平塚市、榎本孝雄社長)は、破砕機などを導入している廃棄物処理・リサイクル業者向けに、廉価のユニット型防振装置を本格的に営業展開することになった。ドイツ・ゲルブ社が開発したもので、シリコン材を充てんした減衰器(ダンパー)とコイルスプリングをユニットとして一体化した製品など需要に応じたさまざまな機種がある。


◇支払い方式めぐり論戦
小売業者「前払いに移行」/メーカー「後払いを継続」

- 家電リサイクル法 -

 家電リサイクル法の見直しに向けた議論が始まった。5月20日の合同会合では2011年度の使用済み家電のフロー推計が示された。同制度に基づき製造業者で再商品化が実施されたのは推計排出総台数の62%と見られ、不用品回収業者を通じた不適正な処理や輸出、不法投棄の問題が指摘された。7月4日の会合ではリサイクル料金の支払い方式をめぐり、議論が紛糾した。ほかにも対象とする品目の拡大や再商品化率の定義、製造業者と小売業者の役割などについて多くの意見や要望が出され、家電リサイクルシステムの根幹から見直される可能性がある。


◇環境白書にみる、処理・リサイクルの概況

 2013年度版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書は、6月4日に閣議決定され、国会に提出された。環境白書では、これまでの一般および産業廃棄物の排出量やその推移が報告されている。また、環境省によると、今回の白書は、「真に豊かな社会を子供達へ 〜震災復興の中でともに考える持続可能な未来〜」をテーマとしているという。
 注目すべきその他のトピックとしては、昨年度より問題点が指摘されているPM2.5などについても取り上げられている。


◇除染実証事業案件を公表
焼却灰洗浄など11社採択

- 環境省 -

 環境省は6月28日、「2013年度除染技術実証事業」に採択された案件を公表した。今年度は136件の提案のうち、11件を採用、対象物はそれぞれ土壌、底質、有機物、モニタリング、焼却灰、廃棄物関連の技術になる。


◇製品・技術の強みを発信
国内外に環境ビジネス拡大へ

- 中部地域の廃棄物事情と環境ビジネス支援 -

 特定品目の製造に関する産業集積で知られる、都市部工業地帯を有する中部地域。近年では、地域を挙げた産業創出の取り組みとして新たに「中部地域八ヶ岳構造創出戦略」が掲げられ、中部地域の特性を生かしたオリジナルの成長戦略が進められている。また経済産業省・中部経済産業局では環境ビジネスに取り組む企業データベースの取りまとめ、環境技術シーズ集の作成なども実施。地域が持つ環境製品・技術の強みを発信し、国内外への環境ビジネス拡大支援に力を入れている。中部地域の廃棄物事情、環境ビジネス支援策の今後など、中部地域における環境関連の動きをまとめた。


◇施行から2年、着実に普及
多彩な取り組みを紹介

- 中部/優良認定業者の最新動向 -

 「優良産廃処理業者認定制度」は、通常の許可基準よりも厳しいハードルをクリアした優良な産廃処理業者を都道府県・政令市が審査して認定する制度のこと。優良認定業者は、順法性や事業の透明度が高く、財務内容も安定していると見てもらえる。中部エリアの認定業者も着実に増えており、バラエティーに富んだ技術やサービスが展開されている。ここでは、その概況を解説するとともに、多彩な取り組みの最新動向を紹介したい。


◇FIT対応で林材など生木期待
チップ利用者多い産業構造/来年度以降に動き顕著に

- 中部の木質バイオマス発電 -

 中部を含めた西日本の木質チップの状況は、製紙やボードなどのマテリアル(原料)利用のチップは、需要に対して不足気味で、サーマル(燃料)の方は、余っている。理由は、既存の木質発電ボイラーがFIT(固定価格買取制度)に移行しているため、林地残材優先で廃棄物系チップが流れにくくなっていることがあげられる。廃棄物系の燃料利用は厳しい状況になっている。中部は、地域によっても差はあるが、FITで優先して流れる生木チップも余り気味だ。中部を中心にした木質バイオマス発電の状況をまとめた。


◇リユース・リサイクルで先進事例
小型家電への対応進む

- 中部地域使用済み製品特集 -

 全国有数の産業集積を持つ中部地域。自動車、航空機といった先端の製造分野が多い地域特性を背景に、これらの産業から排出される複合素材・使用済み製品のリサイクルを得意とする処理業者も数多い。最近では、使用済み小型家電リサイクル法制度の始動に向けた取り組みが相次いだほか、リユースの意欲的な実証事業も進むなど、資源循環への先進的な施策が展開されている。


◇法改正への見直し時期に
“資源”として価値高まる/落札価格で地域差開く

- 中部/容器包装リサイクルの概況 -

 容器包装に係る分別収集や再商品化の促進を目指して制定された容器包装リサイクル法(容リ法)は、2000年4月に完全施行、06年に改正が行われた。最終処分場の延命問題に対し、これまで一定の成果をもたらしたことは間違いないが、自治体の負担するコストや市況変動への対応など課題は多い。今年はその見直し時期に当たり、今後の動きが注目されている。ここでは、対象品目のうち、PETボトルとプラスチック製容器包装(その他プラ)に焦点を当て、中部3県の概況をまとめてみたい。


◇進む地域循環システム構築
飼肥料化から燃料化まで/排出元・事業者・行政など連携強化へ

- 中部/食品リサイクル特集 -

 中部地域は、食品リサイクルを担う再生利用事業者の数が多く、リサイクルループといった地域循環システム構築に向けた動きも活発である。ここでは、独自の戦略を練りながらシステム構築を目指す事業者の事例を紹介するとともに、インタビューを通して環境省中部地方環境事務所の取り組みの方向性を探る。


◇消費増税で解体工事は増加
「選別」資源化でコスト削減

- 中部の建設系廃棄物動向 -

 廃棄物処理やリサイクルを基盤にする産業にも、アベノミクスによる変化の波、円安傾向や原油高止まり、エジプトなど国際情勢による乱気流、防災力向上のための公共事業の増加、建物解体の増加などが実際に起こっている。また、1960年代の日本の高度成長期に建築された建築物は、解体時を迎えており、この事実は中部でも逃れようがない。自動車産業をはじめ名だたる製造業が並ぶ中部東海地方の建設系廃棄物の動向を探ってみたい。


7月22日号ダイジェストニュース

◇RPF工場が完成
日量72tの生産能力

- エコクリーン・アイ -

 RPF製造で実績を重ねるエコクリーンの関連会社、エコクリーン・アイ(福井市、加藤信孝社長)は、日量72トンの固形燃料を生産できる工場を完成した。
 敷地面積は、約1万374平方メートルで、処理施設は、原料受け入れコンベヤ、1軸破砕機、破砕品搬送コンベヤ、定量供給機、切り出しコンベヤ、RPF成形機、冷却コンベヤと未成形品コンベヤの一体的な稼働で廃棄物の処分を行う。取り扱い産廃の90%を廃プラスチック類、同1%を木くずと予定する。


◇A級品を月間180t供給
再生PETフレーク加工

- イサカエンタープライズ -

 イサカエンタープライズ(千葉県松戸市、井坂勝則社長)は現在、使用済み飲料容器月間1100トンの中より180トンをA級品再生PETボトルフレークとして加工し、国内の繊維メーカーや容器メーカーなどに供給していることを明らかにした。昨年8月に竣工した新工場「ISK北松戸エコプラントII」で手掛けている。


◇研究開発で差別化促進
混酸分離やレアメタル回収で

- 三和油化工業 -

 液物産廃の処理で実績を重ねる三和油化工業(愛知県刈谷市、柳均社長)は、研究開発力を生かした新規サービスの展開に注力する。先端技術を活用したリン酸回収や排水中のフッ素除去、今後の大量排出が見込まれるリチウムイオンバッテリーの電解液処理といった最新のニーズに対応。優良産廃処分業認定を得た処理態勢と併せ、信頼性と付加価値の高いサービスを提供していく考えだ。


◇木質R業者が発電事業を計画
地域エネルギーへの貢献見据え

- いぶきグリーンエナジー -

 ヤマムログループの発電会社「いぶきグリーンエナジー」(滋賀県米原市、清水国行社長)は、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活用して木質バイオマス発電事業に乗り出す。発電出力は最大3550キロワット。売電を行う他、地域エネルギーとして電力供給を行える体制も整えたいとする。


◇セメント工場へ出荷
石膏ボード資源化事業を開始/安定したルートを確保

- 環境整備 -

 環境整備(岩手県盛岡市、伊五澤泰彬社長)は7月1日から盛岡中間処理場(同市)で廃石膏ボードの資源化事業を開始した。ボードを石膏粉と紙に剥離し、どちらも岩手県内のセメント工場に出荷する。セメント製造の原燃料として使用することで安定したリサイクルルートを確保した。


◇切断力アップの大型専用機開発
解体・スクラップ現場で威力

- ナベショー/ミヤモト商店 -

 ナベショー(大阪市中央区,渡邊泰博社長)とミヤモト商店(大阪府摂津市、宮本信夫社長)は共同で、従来より切断力をアップした「もうカッター」シリーズの「RK4000」を開発、販売を開始した。
 適合機種が1.2立方メートルの大型機専用のタイプで、有効刃長が750ミリから860ミリに伸びた。刃の付け根の重なる部分にアールを付けたことで、奥行きが深くなり、有効刃長が伸びた。結果的に切断力も強くなった。


◇8000Bq以下の処理を適切に
各都道府県政令市に改めて通知

- 環境省 -

 環境省は7月12日東日本大震災に伴う福島第1原発事故由来の放射性物質に汚染された廃棄物の処理について、放射性濃度が1キログラム当たり8000ベクレル以下の焼却灰を適切に処理するよう各都道府県政令市に改めて通知した。
 放射性濃度が1キログラム当たり8000ベクレル以下の焼却灰が一時保管されている施設は1都9県(東京都、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、神奈川県、新潟県)の焼却施設の約8分の1となっている。


7月29日号ダイジェストニュース

◇政策に期待、回復への動き
2013年1月-3月期

- 全産廃連 景況動向調査 -

 (公社)全国産業廃棄物連合会(石井夫会長)は7月17日、2013年1月から3月までの景況動向調査結果をまとめた。全国各協会の会員企業417社がアンケートに答えている。経済政策への期待から回復に向けた動きが現れており、今後も続くと見込んでいる。


◇紙おむつリサイクルに技術協力
福岡都市圏でシステム検討へ

- 日本製紙 -

 日本製紙は、福岡県と、福岡市を中心にした17自治体で立ち上げた「福岡都市圏紙おむつリサイクルシステム検討委員会」に参画する。使用済み紙おむつの水溶化処理事業で実績を持つトータルケア・システム(福岡市)と共に、オブザーバーとして加わり、新たなリサイクルシステム構築に向けた技術協力を行っていく。


◇廃家電の回収始まる
原発事故の避難区域/来年3月末までに完了へ

- 福島県楢葉町 -

 福島第1原発事故の避難指示区域となっている福島県楢葉町で廃家電の回収が7月1日から始まった。環境省の委託を受けた業者が町内の家庭から冷蔵庫・冷凍庫、エアコン、テレビ、洗濯機・衣類乾燥機といった家電リサイクル法対象4品目を回収する。廃家電は仮置き場に一時保管し、放射線量を測定してから県内のリサイクル業者に引き渡す。来年3月末までの回収完了を目指す。


◇廃食用油回収拠点を4カ所増設
BDF事業の認知度向上図る

- アースクリエイティブ -

 廃棄物処理業などを行うアースクリエイティブ(山口県宇部市、栗原和実社長)は、BDF(バイオディーゼル燃料)事業で、家庭から出る廃食用油の回収拠点を4カ所増設して事業強化を図る。山口アポロ石油(同市)との連携で実現したもので、同社のガソリンスタンド3カ所と介護施設に新拠点を置いた。


◇廃石膏再資源化シンポジウムを開催
環境安全品質ガイドラインを作成

- 石膏再生協同組合 -

 環境省認可団体として設立から1年を経た石膏再生協同組合(東京・中央、市川學理事長)は7月19日、都内で廃石膏ボード再資源化シンポジウムを開催した。(独)国立環境研究所・主任研究員の肴倉宏史氏が、廃石膏ボードのリサイクル資材で初めてのガイドラインといえる「廃石膏農業用土壌改良剤ガイドライン」について解説したほか、環境省、環境大臣官房、廃棄物・リサイクル対策部の梶川浩二氏が「廃石膏ボードリサイクルの現状と課題について」、福岡大学工学部の佐藤研一氏が「再生半水石膏による地盤改良効果と土壌環境への影響について」と題した講演を行った。他に、今年3月に環境省により作成された「廃石膏ボードの再資源化促進方策検討業務」の報告書が発布された。


◇電動自走式シリーズに新タイプ
木質破砕用途で年内発売

- 中山工所 -

 リサイクルと砕石を主軸とする機械メーカーの中山工所(佐賀県武雄市、中山弘志社長)は、電動自走式シリーズ「Dendoman(デンドマン)」の新機種を開発した。ウッドロール搭載の「NE1500WR」とウッドハンマ搭載の「NE1200WH」の2機種で、生木や廃木材を強力に破砕する。年内の発売を予定しており、シリーズ合計で年間20台の販売を目指す。


◇中国で処理事業検討へ
実現性を調査

- クレハ環境 -

 クレハ環境(福島県いわき市、谷口伸幸社長)は中国江蘇省蘇州市で処理困難廃棄物の適正無害化処理の事業化に向けた調査を行う意向を明らかにした。6月20日には環境省が公募した「2013年度我が国循環産業海外展開事業化促進事業」に選定され、12月までに4回の現地調査を行う予定だ。


◇廃棄物処理業イノベーション1
総合廃棄物ビジネスを志向/同業者の認知度向上をサポート

 廃棄物の3Rや処理法など関連法規のコンプライアンスだけでなく、環境全般での排出事業者への提案、安全・安心の提供など廃棄物処理業者によるビジネスイノベーションが注目されている。イノベーションといっても、個々の企業によって、狙いも取り組み内容もさまざまで時代や社会の変化に適応した、新しい事業モデルの構築を目指している。


◇廃棄物処理業イノベーション2
人材活用による企業力のアップ/重要性高まる、人材力の強化

 廃棄物処理業界の市場競争は激しさを増しており、各社は多くの取り組みを進めている。しかし現在、廃棄物処理の新技術などについては、開発される機会は確実に減少し、他社との差別化なども難しくなってきている。そこで重要さを増してくるのが、人材の活用、育成などによる組織力のアップだ。


◇医療廃棄物処理最前線
地域密着のサービスを展開/顧客に合わせた事業を創出

 少子高齢化社会に突入し、医療機関に掛かる人口の増加も予測されている日本では、医療廃棄物の処理がインフラの一部になっている。各県で処理施設が整備され、大規模な不法投棄・不適正処理は減少した。各企業が事業を行う上で、廃棄物から廃液まで一括処理ができるリスト、20年以上前から域内処理を確立してきた栃木ハイトラストなど企業としての差別化が重要となっている。今回本紙では、各事業事例に加え、今年から始まった(一社)医療廃棄物適正処理推進機構の活動や、ムラテッククリーンボックスが提供する医療廃棄物個別管理システム「WETS」の運用実績を紹介する。


◇法制度に則った資源化体制整う
第一陣の認定業者決まる/リサイクラーと処理業者14社

- 小型家電リサイクル -

 今年4月から「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)」が施行された。一般廃棄物や産業廃棄物の処分業許可に関わらず、主務大臣である環境大臣と経済産業大臣から再資源化事業計画の認定を受けた事業者とその委託を受けた者は小型家電の再資源化に携われるようになった。6月28日付で同法に基づく認定をリサイクルや産業廃棄物の中間処理に携わる14事業者が受け、制度に則った資源化を実施できる体制が整った。


◇電子マニフェスト最新動向
直近1年間の電子化率3割に/2016年度50%普及率達成へ

 適正処理を担保するだけでなく、事務作業の効率化をもたらすツールとして認知度が高まっている電子マニフェスト。公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(岡澤和好理事長)は、2016年度に電子マニフェストの普及率50%との国の新たな方針を受け、総合的な普及促進活動に取り組んでいる。排出事業者への加入促進や、ICカードの活用による運搬終了報告簡素化機能などの新システムの開発など、現実的で有効な方策が検討されている。


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