循環経済新聞・バックナンバー“2016年4月度”

4月4日号ダイジェストニュース
◇フッ酸廃液Rで特許
高純度の再商品化実現
- 興徳クリーナー -
 汚泥や工業廃液の中間処理を中心に事業展開する興徳クリーナー(大阪府岸和田市、片渕昭人社長)は3月11日、フッ酸廃液のリサイクル技術で特許を取得した。独自の高濃度抽出技術で、廃液中からフッ素をフッ化カルシウムとして回収、再商品化する。将来的にはメーカーとも連携し、元素レベルでの資源の循環利用システムを構築したい考えだ。

◇日本PETくず3万t原料化
長繊維の龍福とアプライズ協力
- 最新中国紀行 -
 昨年の廃プラ輸出の累計は、160万6270トンで、前年より4%減少したが、PETくずは、約40万トンで3%ほど増えた。廃プラ全体が減少している中で、PETくずの伸びが際立っている。PETくずは、中国本土向けが、34万6041トン(金額175億6659万円、5万764円/トン)で、前年より1万トン以上増えた。世界的な原油安の中で、地球最大の廃プラ消費国の中国で何が起こっているのか、追った。

◇量産化へ、新工場に移転
再生炭素繊維を製造/生産規模は年間80tに
- アイカーボン -
 アイカーボン(青森県八戸市、伊集院乘明社長)は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)廃材を原料とした再生炭素繊維の量産体制を確立するため、リサイクル工場を移転した。八戸市の北インター工業団地内に旧工場の1.5倍となる敷地を取得し、生産規模は年間80トンに拡大する。

◇昨夏スタートの食リ事業を強化
天ぷら方式で飼料化10t/日目指す
- 北九州エコレム協同組合 -
 畜産廃棄物の処理を行う北九州エコレム協同組合(北九州市、鎌田芳誠代表理事)は、2015年8月にスタートさせた食品残さの飼料化事業を強化し、今年度は日量約10トンの原料回収を目指す。

◇新電力会社を設立
バイオマス電源で地域還元
- モリショウ -
 モリショウ(大分県日田市、森山和浩社長)は、新電力会社「日田グリーン電力」(同市)を設立し、申請していた小売電気事業者に3月7日付で登録された。MORISHOグループホールディングス(HD)は、廃材チップ、未利用材チップ等の木質バイオマス燃料の供給や破砕機の販売等を行う日本フォレスト、約2年前から山林未利用木材専焼の「天瀬発電所」を構えるグリーン発電大分で構成。HDに新会社が加わり、4月1日から始まる電力の小売全面自由化に伴い、売電事業に参入する。

◇パイロット輸送が完了
除染廃4万m3以上を搬入/中間貯蔵施設
 環境省福島環境再生事務所は3月29日、福島県大熊町と双葉町に所在する中間貯蔵施設保管場へのパイロット輸送を完了したことを発表した。約1年間にわたり輸送した除染廃棄物等の量は4万5382立方メートルに上った。

◇団体加入者使用料を無料に
普及促進キャンペーン/5割達成へ弾み
- 電子マニフェスト -
 (公財)日本産業廃棄物処理振興センター(岡澤和好理事長)は、4月1日から新たに加入する団体加入者料金(C料金)の使用料を無料とする普及促進キャンペーンを開始した。排出事業者だけでなく、顧客へのサービス向上や差別化、新規開拓を狙う処理業者などが対象。現在、電子化率は42%。今回のキャンペーンを起爆剤に今年度中の目標である5割達成へ、弾みをつけたい考えだ。

4月11日号ダイジェストニュース
◇グレーゾーンの解消を
処理法見直しの意見まとめ/産廃、特管、残置物などで
- 全国産業廃棄物連合会 -
 (公社)全国産業廃棄物連合会(石井邦夫会長)は、廃棄物処理法等の見直しに関する意見を取りまとめ、3月31日に永井良一法制度対策委員会委員長が環境省の鎌形浩史廃棄物・リサイクル対策部長に意見書を提出した。廃棄物の区分や品目分類について地方公共団体の判断による指定制度など独自の提言の他、処理施設設置の規制緩和、優良産廃処理業者認定制度の優遇措置の拡充など29項目を要望している。

◇2月輸出量増える
ベトナム・タイが韓国抜く/廃プラ貿易統計
 貿易統計によると、2016年2月の累計は、18万9372トンで、対前年比2万5436トン減(88%)。金額は、前年比24億5627万円減の78億4036万円(76%)となった。春節(中国旧正月)の関係で、昨年より2月単月は輸出量が多かった。原油の国際価格が底を打ったことで、買い意欲が上がってきた。

◇シリコンスラリー廃液を資源化
台湾に製造所を開所
- アミタ -
 アミタと同社子会社の台灣阿米達股份有限公司は先月24日、台湾彰化県に「台湾循環資源製造所」を開所し、シリコンスラリー廃液などを100%リサイクルする事業を新たに展開する。投資金額は4億700万円。2018年度までの3カ年で11億2000万円の売上達成を目指す。

◇廃天ぷら油で発電事業
“地産地消”エネルギー創出へ
- 大幸産業 -
 動植物油回収やBDF製造・販売事業等を手掛ける大幸産業(沖縄市、大城實社長)は、FITを活用した廃食用油(動植物油)による発電事業を5月に開始する。発電出力は1日当たり最大7680キロワット(一般家庭約800世帯分)。地産地消のエネルギー創出に向け、地元の期待は大きい。

◇福岡に木くず処理施設を新設
年頭から稼働を開始
- 木材開発 -
 木材開発は、新たに木くずの中間処理施設「福岡工場」(福岡市)を立ち上げ、今年1月から稼働を開始した。御池鐵工所製の破砕機を導入。福岡市東区に立ち上げた新工場では、県内を中心に家屋解体材などの廃材を受け入れ、再資源化する。

◇鳥栖市と災害廃棄物支援協定
県内で3市目の締結
- 佐賀産廃協 -
 (一社)佐賀県産業廃棄物協会(篠原隆博会長)は3月30日、鳥栖市と「地震等大規模災害時における災害廃棄物の処理等の協力に関する協定」を結んだ。同協会が県内の市町村と災害廃棄物の処理に関する協力協定を結ぶのは伊万里市、佐賀市に続き3市目。今後も、全市町との締結を進めていく。

◇NOx除去・再利用で販路拡大
薬剤使わず水だけで処理
- 公害防止機器研究所 -
 排ガス処理装置の設計・製作・販売で実績を持つ公害防止機器研究所(大阪府寝屋川市、淺野秀明社長)は、湿式NOx(窒素酸化物)除去・硝酸回収装置「MKNシリーズ」の販路を広げている。水だけでNOxを吸収し、硝酸を回収・リサイクルするもので、工場などの他、最近ではバイオガスプラントでも導入された。環境負荷とトータルコストの低減に貢献できるとして、今後さらなる提案を進めていく。

◇木質バイオマス利用と地域活性
林業再生、地方創生への挑戦/あるべき姿と現状と課題
 木質バイオマス発電所の増加が止まらない。木質バイオマス発電こそが木質バイオマス利用であるような流れがみえるが、本紙でこれまで指摘しているように必ずしもそうではなく、もともと木質バイオマス利用は「副産物利用」である。FITによる発電事業ももちろん、国内の森林整備などへの助けになり、林業再生への起爆剤にはなるが、本来は製材事業などの木材事業と組み合わせ、農山村・地域全体の活性化を進めるというのがスタンダードと言えるだろう。国内ではさまざまな理由で、欧州のような利用ができている事例は少ない。しかし木材のカスケード利用を行い、地域活性化に果敢に挑戦している地域や企業もある。

4月18日号ダイジェストニュース
◇災害多発と温暖化はリンク
迅速な処理体制構築へ
関荘一郎環境事務次官に聞く

 昨年12月の気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定は、世界の気温上昇を産業革命前に比べて2度C未満に抑えるという壮大な目標を掲げた。温暖化防止とともに、多発する風雨災害などで発生する廃棄物処理をいかに進めるか。また、東日本大震災の原発事故で発生した放射性物質に汚染された廃棄物の処理をどう進めていくのか。関荘一郎環境事務次官に話を聞いた。

◇容器の資源化から「アグリ事業部」
飲食店も含めて食品リサイクル構築
- 新垣商店 -
 新垣商店(大阪市大正区、谷川琢磨社長)は、アルミ缶、スチール缶、PETボトル、びんなどの容器類を選別・資源化する事業者として66年の実績を持つ。リサイクル事業では老舗の同社が4月から新たな事業として「アグリ事業部」を大阪府堺市で始めた。

◇低濃度PCBの受入開始
絶縁油、電気機器を無害化/今年度、350tの処理計画
- 赤城鉱油 -
 産業廃棄物の焼却処理や廃油リサイクルなどを手掛ける赤城鉱油(群馬県みどり市、齋藤薫社長)は低濃度PCB廃棄物の環境大臣認定を3月1日付で取得し、今月から受け入れを開始した。ロータリーキルン炉と固定床炉を使用し、微量PCB汚染絶縁油やトランス・コンデンサといった電気機器などを無害化する。今年度は350トン、来年度からは1200トンの受け入れを目指す。

◇飼料化分別普及へ
現場の教育ツール完成/排出者向けサイト開設
- Save Earth Foundation -
 (公財)Save Earth Foundation(渡邉美樹理事長)は、食品関連事業者向けに「飼料化のための分別マニュアル」ウェブサイト(http://save-earth.or.jp/manual)を開設した。昨年完成した分別マニュアルに加え、新たに現場従業員を対象にした教育ツールを作成し、サイトからダウンロードできるようにした他、飼料化の実践事例も紹介している。食リ飼料化の普及に向けて、幅広い活用が期待される。

◇コンクリ副産物の再生利用
用途別品質基準を制定
- 国土交通省 -
 国土交通省は3月末、コンクリート副産物の再生利用に関する用途別品質基準をまとめた。1994年に示した「コンクリート副産物の再利用に関する用途別暫定品質基準(案)」に代わる基準となっており、環境保全、資源の有効活用、処分場のひっ迫等の事情から、解体時に発生するコンクリート塊のさらなる有効活用を図っていく。

◇収集・処分共に金額変わらず
感染廃の入札結果を公表
- 東京都財務局 -
 東京都財務局は今年3月、東京都立病院における感染性廃棄物の収集運搬と処分の委託契約について入札結果を公表した。都立4病院の入札結果を本紙で計算した結果、収集運搬の金額が1キログラム当たり約69~88円で、処分の金額が1キログラム当たり約40~53円となった。

◇薪焚き温水ボイラーを発売
木質燃料による熱供給
- ヒラカワ -
 ヒラカワ(大阪市、平川晋一社長)は、薪焚き温水ボイラー「PYROMAT ECO(ピロマットエコ)」の発売を開始した。薪を燃料として、温水を供給。熱効率は90%と高効率で熱エネルギーを生産できる。薪はカーボンニュートラルでありCO2排出量の削減に貢献する。熱出力100キロワットと170キロワットの2タイプを用意。暖房・給湯需要のある老人ホームや温浴施設向けなどに販売を進め、新たな熱源として提案する。

4月25日号ダイジェストニュース
◇災害廃棄物処理の要請相次ぐ
余震で出動困難、人手不足も/熊本地震関連速報
 熊本地方を震源地として、4月14日にマグニチュード(M)6.5の「前震」、さらに16日にM7.3の「本震」が発生した。以降、熊本県から大分県にかけて活発な地震活動が続いており、20日現在も収まる気配が見えない。積み重なる災害廃棄物の処理について要望が高まっているが、ごみ焼却場の破損や人手不足により滞っている。「余震が落ち着くまでは動きようがない」という状況だ。

◇エコAPET製造まで一貫
リサイクル&食品容器製造/中部エコペット工場完成
- エフピコ -
 食品容器大手のエフピコはこのたび、「中部エコペット工場」(岐阜県輪之内町)が完成、使用済みPETボトルの高度リサイクルからエコAPET製の食品容器製造までの一貫ラインができた。従来、中部PETリサイクル工場でつくっていた再生PET原料は京都など他エリアの工場に搬送していたが、製品製造までの一貫工場が完成したことで、輸送コストも削減できるようになった。同社では、「エコAPET製のトレーを1キログラム使ってもらうと、新材のトレーに比べてCO2を約1.61キログラム削減できる。COP21では壮大な目標が打ち出された。小売店にCO2削減の取り組みとしてぜひ採用してほしい」と述べている。

◇2Rの利益で新事業創出
プラ油化、画像技術など/御殿場に環境事業開発拠点
- リコー -
 リコーは4月15日、複合機2Rの中心的な拠点として昨年5月に稼働を開始した「リユース・リサイクルセンター」を含む、使用済みトナーカートリッジなどの低環境負荷の技術実証、環境活動の情報発信を行う三つの機能を持つ「リコー環境事業開発センター」(静岡県御殿場市)を開所した。三浦善司社長は、「製品供給などにとどまらず、ITサービスや各種ソリューションからなるオフィス事業領域を基盤としつつ、環境事業を新分野として拡充する。新センターでスピーディーに成果を出したい」と述べた。

◇廃食用油で発電開始
BDFに代わる新事業
- アーブ -
 家庭や事業所から出る廃食用油を回収、バイオディーゼル燃料(BDF)の製造・販売を手掛けるアーブ(群馬県高崎市、町田秀子社長)は、4月から廃食用油を使ったバイオマス発電事業を開始した。減少傾向にあるBDFに代わり、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)による売電収入で事業基盤を安定させたい考えだ。

◇花巻バイオチップが竣工
燃料用木質チップ、5万t製造
- 花巻バイオチップ/タケエイ -
 タケエイグループでバイオマス発電向けの木質チップ製造を行う予定の花巻バイオチップ(岩手県花巻市、森井敏夫社長)は4月18日、竣工式および内覧会を開催し、地域の森林組合や株主、上田東一花巻市長、行政の担当者など105人の関係者が参加した。

◇海外展開、11件を採択
有害・事業系を処理
- 環境省 -
 環境省は4月11日、2016年度の「我が国循環産業海外展開事業化促進業務」と「循環産業の国際展開による海外でのCO2削減支援委託業務」について選定結果を公表した。東南アジアや中央アジアなどでの有害・事業系廃棄物の処理・リサイクル事業11件を採択した。

◇水冷式焼却炉の新モデルを発売
高い燃焼性と安定運転が特長
- DAITO販売 -
 小型焼却炉の製造・販売を手掛けるDAITO販売(愛知県瀬戸市、井上滋樹社長)は、水冷式焼却炉の「ISGモデル」を発売した。「既存製品であるIHGモデルをベースに構造や設計を一から見直して開発したもの」で、焼却能力の向上と長時間にわたる安定燃焼を実現。今年度は約30台の販売を目指す。

◇29項目にわたる要望
全産連、意見書を提出/許可や区分、排出者責任など
廃棄物処理法見直しに向けて

 (公社)全国産業廃棄物連合会(石井邦夫会長)は、3月31日に公表した「廃棄物処理法の見直しに関する意見」で「産業廃棄物処理業・施設の許可」や「廃棄物区分・品目分類」「再生利用の促進」「排出事業者責任の強化」「処理業者資質向上への支援」「地方ルール」「関連法令に対する要望」について29項目の要望を盛り込んだ。地方公共団体によって異なる産業廃棄物種類の該当性の判断の統一など、現場の声を集約したものとなった。

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