循環経済新聞・バックナンバー“2019年1月度”

1月1日・7日合併号ダイジェスト
◇資源循環激変“Ver2.0”
アジア諸国の施策が影響/処理費上昇への対応必須
東京オリパラへ、体制再整備

 「排出事業者が中国などの再生資源輸入規制に端を発した国内処理の混乱や処理処分費上昇の状況を理解してくれない。不法投棄が頻発しなければわかってもらえないのか」(関東の有力産業廃棄物処理業者)。多くのプラスチックスクラップなど約20年にわたって「有価物」だったものがわずか数カ月で「廃棄物」に転換し、廃棄物処理業者やリサイクル業者の採算を直撃した。一方で、“ピンチはチャンス”として、事業の拡充に乗り出す国内外のリサイクル業者が日本を舞台に競り合うかつてない時代になった。東京オリンピック・パラリンピックまで1年半。“資源循環激変Ver2.0”の時代が始まる。

◇新春インタビュー 環境で地方を元気に
持続可能な地域づくりを
- 環境省 環境再生・資源循環局局長 山本昌宏氏に聞く -
 環境省に環境再生・資源循環局が発足して2年目。新たに就任した山本昌宏局長は「3・11東日本大震災」発生後、廃棄物対策課長(当時)となり、災害廃棄物処理のみならず、放射性物質に汚染された廃棄物の処理に一貫して関わり、災害対応の実態を深く知る一人。現在、福島県内の仮置き場からの撤去が進み、中間貯蔵施設が着実に整備されている現状に「目に見える形で復旧・復興の歩みが実感できるようになった」と強調。また、昨年閣議決定された「第5次環境基本計画」の「地域循環共生圏」を踏まえ「持続可能な地域づくりを通し、環境で地方を元気にするための施策を具体化していく」と望んだ。

◇新春インタビュー 資源の国内循環体制構築へ
PCB廃棄物処理を進める
- 環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物規制課課長 成田浩司氏に聞く -
 昨年は4月1日に改正廃棄物処理法が、10月1日に改正バーゼル法がそれぞれ施行され、「有害使用済機器」「特定有害廃棄物等」に対する規制・制度の充実・強化が行われた。一昨年末からは中国で非工業由来の廃プラスチック類が輸入停止となり、東南アジアでも輸入規制が厳しくなっていることに加え、循環産業の振興の観点からも国内での循環体制構築に向けた対応が求められている。高濃度PCB廃棄物(変圧器・コンデンサー)に関しては、北九州事業エリアでの計画的処理完了期限が今年3月末までと近づきつつある。これらの課題にどう対処していくのか、環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課の成田浩司課長に話を聞いた。

◇新春インタビュー 業界振興方策を一層推進
資源・エネルギーの“創り手”へ
- (公社)全国産業資源循環連合会会長 永井良一氏に聞く -
 (公社)全国産業資源循環連合会は、昨年4月に法人名称を変更し、新たなスタートを切った。適正処理に加えて、資源やエネルギーを製造する「創り手」の役割を担うべく、多角的な視点から業界の振興方策を推し進めている。大きな変革の流れの中で一層の発展を目指し、さまざまな課題にどう取り組んでいくか、永井良一会長に聞いた。

◇新春インタビュー “交流”を全ての活動の基盤に
異業種や会員相互の連携構築へ
- 全国産業資源循環連合会 青年部協議会会長 沖川学氏に聞く -
 業界の次代を担う全国産業資源循環連合会青年部協議会。その若きリーダーたちの活躍に近年ますます注目が集まっている。昨年6月、第7代会長に就任した沖川学氏は、活動の大きなテーマとして「交流」を掲げ、異業種団体との意見交換会やブロックを越えた会員相互のネットワーク構築を積極的に推進している。取り組みにかける思いと今後の展開を聞いた。

◇新春インタビュー さわやか、きめ細かに新風
ブロックごとにプラットフォームを/コミュニケーション力生かす
- 全国産業資源循環連合会 関東地域協議会女性部会部会長 二木玲子氏に聞く -
 産業廃棄物処理業のさまざまな現場で、女性が活躍する時代を迎えている。現在、あらゆる業種で人手不足や働き方改革への対応が求められる中で、産業廃棄物処理業界ではいち早く、女性部が立ち上がり、取り組みを進めてきた。さわやかできめ細かな姿勢が、業界に新しい風を送っているのは間違いない。全国産業資源循環連合会関東地域協議会女性部会の二木玲子部会長に話を聞いた。

◇“持続可能な開発目標”と環境ビジネス
既存事業をターゲットに結び付け/異業種連携の促進も
これから始めるSDGs

 昨今、話題に上るようになった「SDGs」。廃棄物・リサイクル業界でも取り組む事例が現れている一方、「耳にはするが具体的なイメージに結び付かない」「CSRの延長でビジネスではない」「大きな枠組みの話で自社には関係ない」といった声も聞かれる状況だ。しかし、SDGsは業界にとって、大きなビジネスチャンスとなる可能性を秘めている。ここでは、国連や外務省、経済産業省、(独)国際協力機構(JICA)などの資料・講演などをもとに、SDGsの概要と廃棄物・リサイクル分野での捉え方と活用法、業界内の先行事例などを紹介する。

◇増えるバイオマス発電に比例
石炭灰の発生率10.9%/市場は成長の途上
灰・ばいじん・鉱さい処理の最前線

 FIT制度による木質バイオマス発電施設は、2012年以降、72件を超えた。石炭による火力発電のフライアッシュは微減だが、セメント利用は限界を迎えており、管理型処分場も全国で不足している。焼却灰(燃え殻)やばいじん、鉱さいといった焼却炉やボイラー、電炉や高炉、鋳物などから発生する産廃の処理費用は上昇している。

◇北九州エリアの処理完了へ
期限迎えた変圧器・コンデンサー/安定器の掘り起こしに課題
PCB廃棄物処理最前線

 2018年は、PCB廃棄物の処理にとって一つの節目となった。中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)の北九州事業所が3月31日に高濃度PCB廃棄物の変圧器・コンデンサーの新規登録を終了し、年度末までの処分完了を予定。日本国内では初となる“PCB廃棄物の処理完了事例”が生まれることになる。一方、高濃度・低濃度の双方で処理完了に向けて、新たな課題が見えてきた。

◇廃プラ処理の依頼増加
中国・東南アの禁輸に対応/自然災害に対する社会貢献も
セメント産業の再資源化

 現在、国内では2017年末から続く中国の固形廃棄物の輸入規制によって、廃プラスチック類をはじめとした廃棄物があふれている。さらに、台風や地震などの自然災害の影響を大きく受けたなど、製造業・廃棄物再資源化業の両面で情勢の変化があった。今回の取材で、さまざまなセメント工場で廃プラなどの処理依頼が増加していることがわかった。処理場所を求める廃プラの一部を、セメント工場が引き受けている。

◇新春インタビュー 選別に徹し、品質保持に努力
資源循環型社会の構築に寄与
- 関東製紙原料直納商工組合理事長 大久保信隆氏に聞く -
 2018年、設立55周年を迎えた関東製紙原料直納商工組合。古紙を製紙原料として内外の製紙メーカーに供給、古紙リサイクルを推進している。大久保信隆理事長は「製紙原料商の仕事は、古紙の品質を高めて製紙会社に使いやすい古紙を供給すること。選別に徹し、品質保持に努力し、資源循環型社会の構築に寄与していく」と強調。一方、古紙の持ち去り行為について「見過ごすわけにはいかない。法律を制定できないか検討してもらっている。今後とも断固とした姿勢で臨む」と述べた。

◇国内に回帰する雑品
約70万tが日本に滞留/新たな手法で再資源化を
雑品スクラップ特集

 金属リサイクル分野は現在、大きな転換期を迎えつつある。これまで国外処理に頼ってきた雑品が、中国の固形廃棄物貿易規制や改正された廃棄物処理法・バーゼル法により、日本へ回帰。品位の低いスクラップや複合素材の処理困難物、シュレッダーダストなど残さ物の行き先がなく、処理困難な状況になりつつある。ここでは、統計データと事例をもとに、最新の雑品スクラップ動向を紹介する。

1月14日号ダイジェスト
◇M&Aでグループ初の東北拠点
管理型25万m3への増設急ぐ
- 大栄環境 -
 大栄環境(本部・神戸市、金子文雄社長)は2018年12月25日、福島県小野町で管理型最終処分事業を手掛けている「東北エコークリーン」の全株式を取得し、子会社化した。買収額は非公表。同社グループ初の東北地方の拠点として、福島県内をはじめ東北・北関東方面の需要に応えると共に、地域の資源循環に貢献していく。

◇プラ利用で中間まとめ案
事業系への対策も急務/国内外不適正処理防止へ
- 東京都廃棄物審議会 -
 東京都廃棄物審議会プラスチック部会(部会長=杉山涼子岐阜女子大学特任教授)は昨年12月19日、都庁内で第5回会合を開き、「プラスチックの持続的な利用に向けた施策のあり方について」と題する中間取りまとめ案を明らかにした。温暖化や国連のSDGsに基づく中長期的な取り組みとともに、「海洋へのプラスチックの流出をゼロにする」「(中国などアジア諸国の輸入規制と国内での処理費上昇や在庫増加で)廃プラが国内外で不適正に処理されていることを防止し、適正なリサイクルを進める」ということを早期、緊急の課題としてあげている。

◇ISO認証を2種類取得
労働安全衛生と情報セキュリティ/堅実な事業で信頼獲得
- 中田屋・熊谷工場 -
 リバーグループの中田屋・熊谷工場(埼玉県熊谷市、島元和生社長)は2018年に、国際規格の情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)と、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の認証を取得した。安全で堅実な事業を行っていることを、第三者機関によって証明。取引先との信頼関係を強めた。

◇優良業者認定の活用促す
市町村料金は“原価”望ましい
中間取りまとめで言及/食品リサイクル制度

 食料・農業・農村政策審議会食品リサイクル小委員会と中央環境審議会食品リサイクル専門委員会による、今後の食品リサイクル制度の在り方に関する中間取りまとめ案は、業界団体が運用する優良な登録再生利用事業者を認定する制度の活用や、市町村による事業系一般廃棄物の処理料金設定にもより踏み込んだ格好になった。食リの促進に向けた関連業界の取り組みおよび自治体施策への影響が注目される。

◇公費解体3県で6748棟に
豪雨災害の被災家屋
- 環境省 -
 環境省は、昨年12月18日に開いた災害廃棄物対策推進検討会で、昨年7月に発生した西日本豪雨による被災家屋について、自治体が所有者に代わり解体、撤去を行う公費解体制度の対象が3県(岡山・広島・愛媛)で計6748棟に上ることを明らかにした。同制度は、全壊だけでなく半壊家屋の解体撤去費用まで補助対象を拡大しており、水害では初の財政措置となっている。

◇再生利用に向けて議論
除染等で生じた土壌を対象/中間貯蔵施設
 中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会(座長・細見正明氏)の第9回会合が昨年12月17日に東京都内で行われた。南相馬市・飯舘村(福島県)での除去土壌再生利用実証事業と大熊町での分級処理システム実証事業について近況報告があった他、「再生利用の手引き(案)」の検討状況が明らかとなった。

◇焼却設備の更新完了
火入れ式で前途祝う
- プランテック/下呂市 -
 環境プラントエンジニアリング事業を手掛けるプランテック(大阪市、勝井基明社長)は昨年12月3日、下呂市新クリーンセンターの新1号炉を完成し、火入れ式を挙行した。下呂市の服部秀洋市長、同社勝井征三会長をはじめ、地元関係者や工事関係者ら約30人が参列。今年3月の完工と本格稼働を前に、新施設の安全操業を祈念した。

◇AIやドローンで人手不足をカバー
作業員足りず新規受注控えの動きも/増加続く解体・建廃発生量
建設系廃棄物の最新動向 ~現状と課題~

 経年劣化による建築物の老朽化はじめ、近年急増する自然災害に対する耐震化工事などで、建物の解体・改修工事が続いている。また、少子高齢化の影響に伴う空き家対策も相まって、この勢いは当面の間は期待できそうだ。一方で、人手不足が常態化している。その打開策として、政府は2019年4月から改正入国管理法を施行する他、AI(人工知能)を搭載した選別ラインや重機などの開発、無人航空機(ドローン)の普及が注目を集めている。

◇産・官・学が連携
完成近づき、大詰めへ/再生石膏粉の有効利用ガイドライン
 石膏ボードのリサイクルは、処分場ひっ迫などの問題が指摘されつつも、各県のリサイクル認定品の基準も地域ごとに異なるなど、統一的なリサイクル基準が示されていなかった。こうした背景に鑑み、2016年4月、全国の石膏ボードリサイクルを進める業界団体が集い「全国石膏ボードリサイクル協議会」が発足され、リサイクルの現状ならびに今後の方向性について議論された。

◇新春インタビュー 石膏ボ、ガイドライン導入で「品質管理」を
規制基準ではなく循環促進を
- (国研)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター 室長 遠藤和人氏に聞く -
 廃石膏ボードのリサイクル率向上に向け4月をめどに「再生石膏粉の有効利用ガイドライン」が完成する。廃石膏ボードをリサイクルする際の受け入れ基準などはこれまで各社、あるいはリサイクル製品ごとに異なることも多く、また参考になる指標となるものもなかった。しかしガイドラインができれば廃石膏ボードリサイクルの品質管理について考え方の核となるものができる。ガイドライン策定と今後の影響について、策定の中核を担った一人である(国研)国立環境研究所の遠藤和人氏に話を聞いた。

◇物性生かす独自施工や用途開発
産学連携による研究盛んに/廃瓦・規格外瓦のリサイクル
 全国で発生する廃瓦の多くは、安定型最終処分場で埋立処分されていることから、再資源化率が低い品目の一つとなっている。一方で、細かく砕くことで砂利に代わる骨材として有効活用でき、路盤材に使用すれば舗装の隆起や構造物の倒壊防止を促すなど、産学連携による研究結果が出ている。保水・透水性に優れる他、さまざまな特性を持つため、2次製品の開発・普及が進めば、さらなる市場が期待される。

◇解体需要増で高まる除去ニーズ
規制強化で停止する除去現場/対策済みでもばく露
アスベスト最前線 ~除去現場と被害者救済~

 アスベストは吸入することで、数十年の潜伏期間を経て中皮腫や肺がんを引き起こす可能性が高い。潜伏期間が長期とされ、忘れた頃に発症するというケースもあることから“静かな時限爆弾”とも言われている。深刻な健康被害をもたらす一方で、保温性など優れた特徴を生かし建築物では吹付けアスベストをはじめ、耐火被覆材や断熱材、スレート板など多様な建材として活用してきた。

◇続く建設・解体需要
求められる建廃発生抑制/排出事業者の廃棄物対策
 建物の建設や解体時に排出される廃棄物について、大手ゼネコン各社では、その抑制へ向けた取り組みを年々進めている。一部の品目では、リサイクル率が90%を超えたものもある。一方で、建設・解体工事で発生する建設系混合廃棄物の再資源化は難しく、その対応に追われているのが実情だ。今回は、スーパーゼネコン5社のCSR報告書や環境・社会報告書などを基に、再生利用やゼロエミッション化など直近の進捗状況を確認するとともに、取り組みの方向性を検証する。

◇2019年に海外で開催される主な環境展示会

◇1日1万tごみ処理を焼却なし
エコ・エキスポ・アジア視察
廃電気・電子の生産者責任導入/香港レポート

 香港は、狭い土地の中に747万人(2018年10月時点)が暮らす。人口密度はシンガポールに次いで世界第2位。毎日1万トンの廃棄物が発生しており、3カ所の埋立処分場に持っていく。現時点では焼却炉がない。経済成長率は、世界の中でも飛び抜けているが、廃棄物の発生も多い。処理施設が不足しているというより満杯を迎えており「まったなし」だ。関係者は深刻な問題にチャレンジしている。昨年10月に香港で開催された環境の展示会から、ごみ処理の視点で「香港の今」を見た。

◇廃棄物処理・制度を調査
自治体・民間施設6カ所を訪問/豪州視察レポート
 日本の約20倍に相当する敷地面積を持つ豪州。その広大な土地から採掘した鉄鉱石や石炭等の豊富な天然資源を国外に輸出することで繁栄してきた。近年では住宅投資市場が活発となっていて、中国をはじめとした海外からの資本も多く流入している。本紙では2018年10月24~31日にクイーンズランド州ブリスベン市とニューサウスウェールズ州シドニー市に所在する自治体・民間施設6カ所を訪問し、廃棄物処理方法・制度について調査した。

◇昨年は2200社が出展
欧州最大規模の展示会
- ポリュテック2018 -
 欧州の中でも最大規模の展示会「ポリュテック2018」がフランス・リヨンで11月27~30日に行われた。昨年で40周年を迎えた歴史のある展示会で、出展社2200社、参加者7万3000人を集めた。環境保護・廃棄物処理に関するカンファレンス(計490本)も同時に開催されるなど、欧州だけでなく全世界から注目を集めている。本紙では同展示会を取材、その一部を紹介する。

◇27道府県1市/産廃税の使途
 産廃税は現在、全国27道府県と1市で導入されている。課税方式は大別して「事業者申告納付」「最終処分業者特別徴収」「最終処分業者課税」「焼却処理・最終処分業者特別徴収」の四つ。税収使途を中心に運用状況をまとめた。

1月21日号ダイジェスト
◇官民連携の地域新電力設立
RDF発電で再エネ地産地消
- 広島県福山市/JFEエンジニアリング -
 広島県福山市とJFEエンジニアリングは2018年12月25日、瀬戸内地方初の官民連携による地域新電力会社「福山未来エナジー」(同市、長谷場洋之社長)を設立した。両者が経営参画する福山リサイクル発電(同市)がごみ固形燃料(RDF)を使って発電した電力を購入し、市内の公共施設に供給する計画で、廃棄物業界からも注目を集めている。電力小売事業は4月から開始する。

◇プラ注目を生かす年に
G20で3Rを世界に発信
- プラスチック容器包装リサイクル推進協議会 -
 プラスチック容器包装リサイクル推進協議会(中井敏雄会長)は1月11日に東京都内で開いた新年賀詞交歓会で、「昨年は(海洋ごみ問題などで)プラスチックに大きな波が来た。今年は、(日本が議長国となる)G20に向けてプラスチック資源循環戦略を発信していく年になる。これを好機ととらえて、良いことは継続し、見直すことは見直すようにしたい」と述べた。

◇改訂ガイドラインを公表
埋立や有害物質情報など焦点/太陽光パネルR
 環境省は昨年12月27日、「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第二版)」を公表した。急速に導入が進む太陽光パネルの適正なリユース・リサイクル・処分を進めるもので、今般の改訂では①埋立処分方法、②有害物質に関する情報伝達、③災害対応策――の3点について大きな見直しを図った。

◇顧客信頼度向上へ
優良産廃業者認定を取得/一廃堆肥化で静岡県初
- エコライフアシスト -
 一廃・産廃の収集運搬・処分と食品リサイクルを手掛けるチューサイグループのエコライフアシスト(静岡県藤枝市、阿井徹社長)は、同県の産廃処分業許可更新に伴い、昨年末までに廃棄物処理法に基づく優良産廃処理業者の認定を取得した。肥料化における同認定の取得は県内で第2号。一廃でも許可を持つ処理業者としては、県内初となる。

◇破砕・選別設備を増強
解体需要の増加を受け
- 創友環境開発 -
 本州最南端の最終処分場として事業展開する創友環境開発(鹿児島市、藤本喜久社長)は、増加する受入量に対応するため、破砕施設の能力を増強した。それに伴い選別施設も新設。インフラ整備が進められている他、老朽化した建物の更新時期を迎え解体や改修工事の需要が増加傾向にあることを受け、破砕設備の増強と選別施設を新設した。

◇小水力発電事業に参入
全国数十カ所で開発見込む
- 群成舎 -
 廃棄物の収集運搬や中間処理、ビルメンテナンスなど環境ビジネスを手掛ける群成舎(群馬県高崎市、芝崎勝治社長)は、サステナビリティ事業の核として再生可能エネルギー発電事業を加速させる。2019年度は大手ゼネコンなどとのSPC(特別目的会社)で1000キロワット級の小水力発電所に着工する他、すでに全国数十カ所での事業調査を進めている。総発電量2万キロワット時を目指す。

◇無人フォークリフトを発売
省人化・自動化に対応
- 三菱ロジスネクスト -
 三菱ロジスネクストは、反射板を検出し自機の位置を把握して走行する、レーザー誘導方式を採用した無人フォークリフト「RACK FORK Auto(ラックフォークオート)」(1.0~1.5トン積)を発売した。現在、生産・物流現場等で重要な課題となっている省人化・自動化・無人化のニーズに応える。

◇特集プラスチックリサイクル 輸出大幅減、国内に波紋
再生~処理全てで品質向上へ/規制先取り企業は新段階に
0  「ジェットコースターに乗っていたようだった。2017年後半頃から、20年近くにわたって『有価物』だったプラスチックスクラップが、わずか数カ月で『廃棄物』になった」(東北エリアの産業廃棄物処理業者)――。中国政府のグリーンフェンス2013から始まった輸入規制は、17年初頭のナショナルソード(国門利剣)の発令から始まった抜本的な禁輸施策になったが、その影響は日本での再生利用(マテリアルリサイクル)だけではなく、RPFなどの燃料化やセメント原燃料化、焼却処理、埋立処分にまで及んだ。日本のプラスチックリサイクルはどこに進むのか。

◇新春インタビュー ビジョン今年度内に中間取りまとめの策定へ
あらゆる面での資源循環を/環境貢献とビジネスを両立
- 経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課長 福地真美氏に聞く -
 2017年末から開始した中国による生活系固形廃棄物の輸入規制の抜本的な強化に始まり、18年は国内外の資源循環の構図に大きな変化が起きた。経済産業省では現状をどのように捉え、今後につなげていくのか。資源循環経済課長の福地真美氏に話を聞いた。

◇新春インタビュー 日本発のプラ循環戦略示す
G7憲章を上回る取組を
- 環境省 環境再生・資源循環局総務課 リサイクル推進室長 冨安健一郎氏に聞く -
 中国禁輸政策による世界的な再生資源循環の混乱や海洋プラスチック問題に対して、日本がプラスチック資源循環をリードする目標を打ち出す。中央環境審議会で審議している「プラスチック資源循環戦略(案)」を取りまとめ、今年日本で開催されるG20で世界に発信する。それとともに、廃プラリサイクル・処理混乱への緊急的措置を拡充し、省CO2型リサイクル等高度化設備導入促進などで関係事業者の取組支援をさらに強化する。環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室の冨安健一郎室長に話を聞いた。

◇前年7割の18年は100万t見込み
前年7割を受け入れる/占有率90%から9%に
廃プラ輸出動向

 中国が環境規制で廃プラ由来のスクラップを一切受け付けなくなった。昨年は、ベトナム、タイ、マレーシア、台湾、韓国といったアジア諸国が代替地として前年7割の廃プラを受けてくれた。今年は、どのような動きになるのか探求した。

◇特集プラスチックリサイクル 再生、処理の“品質”向上へ
日本国内の事業環境一変/一歩先を見据えた対応を
 中国のプラスクラップ禁輸施策と東南アジアなどでの頻繁に変わる輸入停止・再開や新規受け入れで国際資源循環が新たなステージに向かっている。日本では、再生利用が難しく輸出でも行き場をなくしたグレードのプラスクラップや廃プラが国内の再生利用や処理処分などあらゆる手法の事業に影響を及ぼした。1990年代末から中国へのプラスクラップ輸出が急増した時代を“資源循環激変Ver1.0”とするならば、これからは日本を舞台に国内、海外の業者が高度なレベルで競り合うかつてない時代、“資源循環激変Ver2.0”の到来だ。

◇特集プラスチックリサイクル 急速なキャッチアップ
変貌する中国の再生利用機器/先導的なメーカーは日欧品質へ
 中国は2013年のグリーンフェンスから始まり、17年のナショナルソードとそれに続く施策でプラスチックくず(プラスクラップ)の輸入について規制強化からほぼ禁輸へと舵を切った。一方で、再生利用のための関連機器メーカーには、欧州メーカーなどからのOEMや技術提携で世界市場を視野に入れた品質へと着々とキャッチアップを進めている。MSC(仙台市)の麦谷貴司社長の取引先を中心に、大きく変わりゆく中国の姿を追ってみた。

◇関東で大規模業者そろい踏み
容リ指定法人にも新規登録/事業系も“多国籍”で対応
PETボトルのリサイクル/東日本

 東日本でのPETボトルリサイクルのトピックは、間違いなく、関東エリアでの世界初の「フレーク to プリフォーム」の始動と、大手容器メーカーが2019年度上期の指定法人(容リ協)の再生処理事業者として登録されたことだ。さらに、事業系についても指定法人への登録再生処理事業者の他、中国繊維メーカー系のリサイクル業者が大型工場を竣工した。関東エリアの業者には北海道にも拠点を持って指定法人の入札に参画しているところもあり、日系を含む多国籍の大規模業者から中堅業者までが高度リサイクルで競り合うという世界的にも類例がない状況になっている。

◇アジア各国に原料流通増える
フレーク系6割、プレス他9割/マレーシア・タイ・ベトナム・韓国・台湾
PETボトルのリサイクル/西日本&輸出

 西日本のPETボトルのリサイクル回収は、受け皿が多岐にわたる。アジア各国への輸出や国内メーカーの原料利用、高品質の再生フレークとして中国に輸出する動きもあったが、今のところスタートしていない。直近の3年間は、PETくず輸出のプレス他の品目は、増えている。廃プラ輸出が3割減少している中で増加傾向にあるプレス品は、日本のPETボトルの品質の良さと人気の裏付けとなっている。

◇日本国内還流で処理費は上昇
発生量900万t中16%が埋立・焼却/再資源化に向けた課題「ミックス」
増える廃プラ混合廃棄物

 日本国内から発生する廃プラ発生量は、2017年度で年間900万トン((一社)プラスチック循環利用協会)と言われる。廃プラは、種類が分けられ、異物がなければ価値が高まる。有価物で取引されるということになる。廃プラ含有率が多い混合廃棄物の処理状況を見ることで、今後のリサイクルの課題を探る。

◇累計660万tを節減
17年度フォローアップ報告
- 3R推進団体連絡会 -
 容器包装の3Rを推進する8団体で構成する3R推進団体連絡会(川村節也幹事長)は、「容器包装3R推進のための自主行動計画2020」(2016~20年度)について17年度実績のフォローアップ報告を行った。リデュース目標に対して軽量化は着実に進展し、第1次自主行動計画からの累計削減量は8素材合計で約660万トンに達した。リサイクル率・回収率は前年度よりやや低下した素材があるものの、目標値の水準をおおむね維持。スチール缶、アルミ缶、プラスチック容器包装、段ボールの4品目で前年度から引き続き目標値を維持していた他、PETボトル、アルミ缶、紙製容器包装で前年度からリサイクル率・回収率が改善した。

◇万博会場で実演のごみ処理「未来予想図」
「SDGs」時代に突入/ドローンが運ぶ再生発電燃料
産廃処理業の新規事業

 2020年の東京五輪の次は、25年の大阪万博が待ち受ける。6年後といっても今から準備をしても早すぎることはない。前回の大阪万博は、1970年で50年前のこと。会場内では、未来の生活を垣間見ることができた。2025年に開催する万博会場では、どのような廃棄物処理や循環資源、再生エネルギー活用の社会を構築しているのか「未来予想図」を構築してみたい。

◇新春インタビュー 新施設が3月9日に竣工式
関東圏最大級の処理能力/働き方改革にも着手
- 東武商事 代表取締役 小林増雄氏に聞く -
 東武商事では、廃酸・汚泥等の液状廃棄物の処理・リサイクルを行う「松伏スマート・リサイクル・システムズ」と、汚泥・燃えがらの処理・リサイクルを行う「吉川スマート・リサイクル・システムズ」が昨年末に完成し、現在3月9日の竣工式に向けて準備を進めている。既存施設と新施設を組み合わせ、どのように発展させていくのか、小林増雄社長にその展望・戦略を聞いた。

◇新春インタビュー 環境ビジネスとしてドメイン転換を
業界、国を超えた連携も
- 石坂産業 代表取締役 石坂典子氏に聞く -
 建設系廃棄物の処理、リサイクルを中心に進める石坂産業(埼玉県三芳町)は、環境教育の「体験の機会の場」研究機構を発足させ、環境省との官民協定を締結した他、AI等テクノロジーを取り入れた技術開発を企業連携で進めている。多角的な経営と近年の取り組みについて石坂社長に話を聞いた。

◇全国の新たな策定状況を総覧
民間事業者との連携が重要/頻発する地震等への備え急務に
自治体の災害廃棄物処理計画

 「平成」は多くの自然災害に見舞われた。2018年だけでも、6月に大阪北部地震、7月に西日本豪雨、9月に台風21号、北海道胆振東部地震が発生している。大規模災害への備えは急務となっているが、災害廃棄物処理計画の策定率60%を目指す国の方針は浸透せず、いまだ策定済みの市区町村は全体の4分の1にとどまっている。一方で、業界団体や地域の民間事業者との協定を締結、または新たに協力体制を強化するケースは増えている。民間事業者の知見が求められる場面が増えてくる中、自治体と一層の連携強化を図っていく必要が出てくるだろう。ここでは昨年、新たに策定された各県の計画概要をまとめた。

◇広島・岡山・愛媛で計224万t
迅速な復旧・復興を目指す/西日本豪雨の災害廃棄物
 昨年7月に全国各地で甚大な被害をもたらし、激甚災害にも指定された西日本豪雨から半年が経った。この災害では、台風や梅雨前線の影響により広い範囲で記録的な大雨が降り、川の氾濫や洪水、土砂崩れが全国31道府県で同時多発的に起こるという異例の事態となった。特に大きい被害が出た岡山県、広島県、愛媛県で発生した災害廃棄物の総量は計約224万トンにも上る。迅速な復旧・復興を目指す3県の災害廃棄物処理の進捗をまとめた。

◇北海道で最大震度7を記録
処理施設稼働に影響も/福島では中間貯蔵施設が稼働
東日本の災害廃棄物

 今年発生した災害の中でも最大震度7を記録したのが北海道胆振東部地震(昨年9月6日発生)だ。災害廃棄物の発生だけでなく、停電による各インフラへの影響が長期にわたった。福島では中間貯蔵施設の稼働開始によって除染廃棄物等が順調に搬入されている。一部では再利用・減容に向けた検証が行われるなど、県外最終処分への準備が進められている。

◇金属リサイクルは次のステージへ
中国の動向がカギに/鉄・非鉄金属市況年間動向
 2018年のリサイクル金属市況は、鉄・非鉄ともに中国の影響を大きく受けた。固形廃棄物の輸入規制にはじまる環境規制政策の厳格化により、中国側の鉄・非鉄リサイクラーが整備・淘汰され、雑品スクラップや雑線などの日中間で行われてきた国際循環ルートが廃止を余儀なくされた。また、世界最大の非鉄消費国である中国の経済動向が、非鉄国際市況を大きく揺さぶっている。ここでは、18年内の鉄・非鉄それぞれの市況動向を取りまとめた。

◇品質を保持しないと輸出できない
資源循環に寄与する圧縮梱包機/資源循環事情
 2017年に中国で施行された「ナショナル・ソード」により、MIX古紙の輸入規制や環境政策の「ブルースカイ2018」では、固体廃棄物の異物混入率が0.5%以下とされた。日本の古紙は選別に徹し、品質を保持しないと輸出ができなくなる可能性がある。一方、回収した古紙や空き缶などを圧縮、梱包する工程が欠かせない。リサイクラーのみならず、廃棄物処理業者の施設に導入され、資源循環に寄与している。

1月28日号ダイジェスト
◇埋立容量91万m3、供用計画20年
青森の三戸管理型を拡張
- ウィズウェイストジャパン -
 カレット事業から一廃・産廃の収集運搬・中間処理・最終処分まで廃棄物事業を広く手掛けるウィズウェイストジャパン(さいたま市大宮区、山田耕社長)は、三戸ウェイストパーク産業廃棄物管理型最終処分場(青森県三戸町)を拡張・開設した。拡張施設は埋立地面積が4万1900平方メートルで、埋立容量91万5000立方メートル。

◇エンプラ高付加価値化
委託で再生ペレット生産も
- マルカツ産業 -
 プラスチックのコーディネーターとして実績を重ねるマルカツ産業(堺市、寺下陽介社長)は、小口の再生ペレットの製造で、国内のユーザーのみならず、海外からも関心が高まったことを明らかにした。同社は、品質の高い廃プラを受けることができ、委託加工とペレット販売の両方を手掛ける。

◇中国溶剤再生拠点を4カ所に
許可数量合計は年間15万t
- リファインHD -
 溶剤リサイクル大手のリファインホールディングス(東京本社・東京、川瀬泰人社長)は今春、中国の成都市で有機溶剤の高度リサイクル工場の操業を開始する。中国での溶剤リサイクル拠点はこれで3カ所。2020年には4カ所目となる工場を稼働させる予定で、4工場合計で年間15万トンの処理許可を取得する。

◇鶏ふんの肥料化で4基導入
品質評価高く、アジアへ輸出
- 長崎油飼工業 -
 長崎油飼工業(長崎県諫早市、本田友宏社長)は、中部エコテック社製の縦型発酵堆肥化装置コンポSシリーズの「S‐20ET」と「S‐90ET」を計4基導入し、鶏ふんの肥料化事業を開始させている。製造した有機肥料はアジアに輸出しており、今後は国内での販路開拓も進めていく。

◇周南バイオマスセンターを開設
未利用材や竹をチップ燃料に
- 和泉産業 -
 和泉産業(山口県周南市、和泉貴信社長)は、周南市内の自社が保有する山林地帯(採掘事業による跡地)を整備し、「周南バイオマスセンター」を開設した。昨年12月から、山口県内の木質バイオマス発電所向けに間伐材等の山林未利用材や竹をチップ化し供給を開始。マルマテクニカより購入したVermeer(バーミヤ)社製の移動式破砕機(35トン/時)で、自社山林の伐採木や森林組合等から受け入れた原木を切削チップに加工し、年間1万トンの燃料供給を目指す。

◇両国間で政策対話を実施
環境インフラ技術も紹介
- 日本/ベトナム -
 環境省(日本)と天然資源環境省(ベトナム)は1月9~11日、ハノイで「日本・ベトナム環境ウィーク」を開催した。政策対話をはじめ、日本の環境インフラ技術の紹介やビジネスマッチング、個別分野のワークショップ等を実施した。

◇特装車の稼働状況を記録・蓄積
IoT利用の新システム発売
- 極東開発工業 -
 極東開発工業(兵庫県西宮市、髙橋和也社長)は、特装車の稼働状況を記録・蓄積するIoT基盤を利用したサービス支援システム「K‐DaSS」を開発した。その構成要素の一つである「サービスツールシステム」を2月から正式リリースする。

◇事業系食ロス削減へ本腰
制度見直しの行方は?/市町村料金にも一歩踏む
今後の食品リサイクル施策

 食品リサイクル法に基づく基本方針などの見直しに向けて、食料・農業・農村政策審議会食料産業部会食品リサイクル小委員会と中央環境審議会循環型社会部会食品リサイクル専門委員会の合同会合が昨年10月から4回にわたって開催され、その中間取りまとめにあたる「今後の食品リサイクル制度のあり方について(案)」が12月26日から1月24日までパブリックコメントにかけられた。今回の取りまとめ案を基に、今後の食リ推進施策で、ポイントとなる点を整理する。

◇バイオガス発電、本格化
廃食用油を燃料に/食品リサイクル事例
 2018年は食品廃棄物のバイオガス発電事業が本格化した。中でも、首都圏で注目を集めているのがJバイオフードリサイクル(横浜市)のバイオガス発電施設。新電力をセットにしたリサイクル・ループの提案が注目を集めそうだ。また、廃食油では飼料用油脂に代わる発電燃料への利用が始動。エネルギーの地産地消と温暖化防止対策のニーズの高まりを背景に注目を集めている。

◇循環システム構築で地域貢献
アプローチ方法さまざま/創意工夫が成果生み出す
食品リサイクル事例/西日本

 バイオマスは広く薄く分布しているため、その有効活用は難しいとされる。中でも食品残さは性状が幅広く、時間経過による変性や臭気の発生もあることから、リサイクルシステムの構築に当たっては創意工夫と高い処理技術が求められる。ここでは、各事業者が原料に応じた処理方法を選択し、独自の視点で事業展開を行って成果を生み出している事例を紹介する。共通の思いは「リサイクルを通じた地域への貢献」だ。

◇新春インタビュー バイオマス産業都市の進捗
先行事例を水平展開へ
- 農林水産省食料産業局 バイオマス循環資源課長 片貝敏雄氏に聞く -
 農林水産省など関係7府省が連携して推進するバイオマス産業都市構想で、2018年度は5市町が新たに選定され、13年度からの選定数は、累計84市町村となった。バイオマス事業化戦略(12年9月)の総合支援戦略として位置付けられ、地域バイオマスを活用した産業の創出を目指してきたこの施策は現在、どこまで成果を上げているのか。農林水産省バイオマス循環資源課長の片貝敏雄氏に語ってもらった。

◇産廃処理施設での導入が始まる
地球温暖化防止にも寄与/省エネ効果の高い地中熱利用システム
 ここ数年、空調や給湯、融雪などで省エネ効果が高いと、地中熱利用システムが注目されている。公共施設やオフィスビル、工場、住宅などで導入が進み、近年では産業廃棄物処理施設や道路の融雪などへも導入が進んでいる。省エネによる二酸化炭素の削減や、排熱を出さないことからヒートアイランド対策など、環境に配慮した再エネとしての呼び声も高い。地中熱利用システムの仕組みや特徴、実際に導入した産業廃棄物処理業者の事例を含め、地中熱利用システムによる省エネ効果やエネルギーコストの削減、環境貢献などをみてみる。

◇インタビュー 地域経済の活性化を推進
人づくり道づくりが鍵/木質バイオマス利用の現状と今後
- トーセン 代表取締役 東泉清寿氏に聞く -
 木質バイオマス発電施設が増加し、稼働もまた増え、木材の利用も進んでいるように見える。しかし地域によっては十分木材を購入できないケースも少なくない。木質バイオマス利用を進めることで、本当に地域経済を活性化し、地方創生を進めることができるのか。その現状や課題について日本最大の国産材製材メーカーであり、木質バイオマスを用いた地方創生を進めるトーセン(栃木県矢板市)の東泉清寿社長に話を聞いた。

◇インタビュー 木質バイオマス利用の現状と今後
小型ガス化熱電併給システムを推進/国産材で地域経済価値向上へ
- シン・エナジー 代表取締役社長 乾正博氏に聞く -
 太陽光、地熱、風力、小水力、バイオマス、バイオガスと多岐にわたる再生可能エネルギー事業を全国で展開。昨年4月1日付で洸陽電機からシン・エナジーに社名を変更した。日本サステイナブルコミュニティ協会の副理事長で、地域資源を生かした地域経済価値向上や地域サステイナブルの実現に努めている。

◇インタビュー 木質バイオマス利用の現状と今後
地域にとって必要な存在に/小規模施設の導入を
- フォレストエナジー 代表取締役社長 沼真吾氏に聞く -
 バイオマス発電所の企画開発、資金調達から発電所の運営までを手掛ける事業会社フォレストエナジーを14年に創業、代表取締役社長。これまでに100億円規模のプロジェクトや、中小規模のさまざまなプロジェクトに携わり、昨年にはボルタージャパンとの業務提携も行っている。

◇投入チップの傾向と推移
58事業所の稼働状況/全国木質バイオマスボイラーアンケート
 2018年12月初頭、全国で木質バイオマスボイラー、もしくは同燃料を活用した火力発電所を運営する企業を対象にアンケートを実施した。1年以上の稼働実績を持つ155事業所へ回答を依頼したところ、58事業所から有効回答があった。今回で7年目の調査となっており、例年通り設置時期や稼働率、チップ使用量・由来別の割合、ボイラーメーカー、様式(熱利用・発電)、発電出力、FITを導入した事業者向けに制度の対象期間(20年間)終了後、事業を継続するかどうかを聞いた。

◇全国で木質バイオマス発電所が稼働
年間チップ必要量は1157万t/木質バイオマス発電所マップ
 2012年7月、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が施行されて以降、木質バイオマス発電施設が全国で立ち上がっている。山林未利用材とされる間伐材・林地残材にスポットが当たり、林業家や素材生産業者による原木の全幹集材やチップ化事業の動きが活発化。未利用材由来の木質チップ市場が生まれ、発電所を軸に全国で流通するようになった。また、多くの木くず処理業者の生木チップ加工業参入を促している。

◇200億円、輸入量100万t目前
急増する輸入木質ペレット
 増加が続く木質バイオマス発電施設だが、昨今建設が増えているのが数十メガワットクラスの発電施設だ。これらの発電施設ではPKSに加え、海外産の木質ペレットを使用しているケースが多い。また石炭混焼の火力発電施設でも多くの輸入ペレットが使用されている。輸入ペレットについては賛否があるが、使用量は国産ペレットのはるか上を行く。しかし再生可能エネルギーの普及が遅れる日本では、CO2排出量の低減などの目標達成のため、輸入ペレットを使用してもバイオマス発電を拡大していくべきだという意見もあれば、バイオマス発電はやはり国産木材を中心にすべきという意見も多い。

◇待ったなしの温暖化対策
早ければ11年後に1.5℃上昇/激変する地球環境
 昨年10月に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の1.5度C特別報告書を発表し、世界に大きな衝撃を与えた。特別報告書は、2030年に世界の気温が産業革命前に比べて1.5度C上昇すると警鐘を鳴らした。気温上昇を1.5度C前後にとどめるには、世界の温室効果ガス排出量を2030年までに2010年比で45%削減し、2050年ごろまでに実質ゼロにしなければならない。1.5度C特別報告書が意味するものは何か。また私たちはどう対応していかなければならないのか。パリ協定以後、世界や日本の動向を注視してきた(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)コミュニケーション・共創担当ディレクターの大塚隆志氏に話を聞いた。

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