■「循環型社会形成推進法案」(公明党・竹山私案)H12.2.23
目次

 第一章 総則(第一条−第六条)
 第二章 循環型社会形成の推進に関する基本方針(第七条−第二十六条)
 第三章 循環型社会形成推進計画(第二十七条−第三十一条)
 第四章 循環型社会形成推進委員会(第三十二条−第四十四条)
 第五章 地方公共団体の施策(第四十五条)
 第六章 雑則(第四十六条)
 附則
第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、国民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保していく上で、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会を実現することの緊急性にかんがみ、循環型社会の形成について、基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定め、並びに必要な体制を整備することにより、循環型社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「不用物」とは、事業活動その他の人の活動により、その活動の本来の用に供することのないものとして、気体、液体、固体又は熱の形態で環境中に排出され、又は他の事業活動その他の人の活動に供されるもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)をいう。

(循環型社会形成の推進に関する基本理念)
第三条 循環型社会形成の推進は、人類の存続と繁栄が自然の循環の範囲内において人類以外の生物との共生によって図られることにかんがみ、すべての人の公平な役割分担の下に、環境から得られる資源等を用いた人間の活動を、自然の循環を維持し、損なわず、及び回復しつつ、より効率的に行うことができる社会経済構造への転換を促し、もって環境への負荷の少ない持続可能な社会を形成することを基本として行われるものとする。

(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、前条の循環型社会形成の推進に関する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、循環型社会形成の推進に関する施策を総合的に策定し、及びこれを実施する責務を有する。
2 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国の循環型社会形成の推進に関する施策の推進に呼応し、及び並行して、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(事業者の責務)
第五条 事業者は、基本理念にのっとり、循環型社会形成の推進の重要性を深く認識して、その事業活動に関し、次章に規定する循環型社会形成の推進に関する基本方針に即して、自然の循環の維持、不用物の排出抑制、環境資源の循環利用、再利用及び処分に当たっての無害化処理その他の循環型社会形成の推進に寄与するための措置を講ずる責務を有する。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、国又は地方公共団体が実施する循環型社会形成の推進に関する施策に協力する責務を有する。

(国民の責務)
第六条 国民は、基本理念にのっとり、循環型社会形成の推進の重要性を深く認識して、その日常生活における活動、自発的に行う環境の保全に関するその他の活動に関し、次章に規定する循環型社会形成の推進に関する基本理念に即して、不用物の排出抑制、環境に配慮した製品等の優先的な購入及び使用その他の循環型社会形成の推進に寄与する行動を行うよう心がけるとともに、国又は地方公共団体が実施する循環型社会形成の推進に関する施策に協力する責務を有する。

第二章 循環型社会形成の推進に関する基本方針

(自然の循環の維持)
第七条 自然の改変は、生物の種の絶滅をもたらさないよう特別の配慮を行いつつ、自然の循環を損なうことのない範囲内のものとし、かつ、最小限のものにとどめるとともに、改変される自然については代償措置を講じること等により改変前の機能をできる限り回復するものとする。
2 事業活動その他の人の活動を行うに当たっては、自然エネルギー(太陽光、風力等その他の自然の循環を損なわずに利用することが可能なエネルギーをいう。以下同じ。)をできる限り用いるようにするとともに、再生可能な自然資源については、その再生のための措置を講じて、その自然資源を用いるものとする。
3 農林水産業に関する活動その他の自然界における生物を介在する物質の循環に依存し、かつ、これを促進する機能を有する活動に関しては、将来にわたり当該機能が維持増進されるための措置を講ずることにより、循環型社会形成に寄与するよう、持続的な発展を図るものとする。

(不用物に関する活動の優先順位)
第八条 事業活動その他の人の活動に伴って生ずる気体、液体、固体又は熱の形態による不用物の環境中への排出は、最小限にすることとし、そのための不用物に関する活動の優先順位は次の各号に掲げるところによる。
 一 排出抑制
 二 再使用(その性質及び形状を変更しないで再び使用することをいう。以下同じ。)
 三 資源としての再利用
 四 熱としての再利用
 五 廃棄物としての処分
2 前項の優先順位の適用に当たっては、その技術的可能性、経済的及び社会的費用その他の事情を考慮するものとする。

(不用物の排出抑制)
第九条 事業者は、事業活動により製造された物品を販売せずに不用物として排出し、又は事業活動に伴い副次的に得られた物品を不用物として排出しないように、必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、事業者が前項の責任を完遂できるように、必要な措置を講ずるものとする。

(不用物の再使用)
第十条 国は、不用物の再使用に資するため、中古品(一度使用された物品又は使用されていない物品であって、使用のために、対価を得て又は無償で譲渡されるものをいう。以下同じ。)の市場の健全な発展及び活性化を図るために、必要な措置を講ずるものとする。この場合において、国民が自発的に運営する中古品の市場であって、営利を目的としない者の参加により中古品の譲渡が行われるものの発展及び活性化に特に配慮するものとする。

(再利用及び処分に当たっての無害化処理)
第十一条 事業者は、不用物に関し、資源としての再利用、熱としての再利用及び廃棄物としての処分に当たっては、それらによる環境汚染物質の環境への排出により、又は排出された環境汚染物質が環境中に蓄積されることにより、人の健康及び生態系に対して有害な影響を及ぼさないようにするとともに、環境への負荷を最小限にするものとする。
2 前項の人の健康及び生態系に対する有害な影響については、化学物質による現在及び将来の影響並びに特定の化学物質に敏感に反応する人への影響に特に配慮されるものとする。
3 国は、事業者が前二項の責任を完遂できるように、必要な措置を講ずるものとする。

(製造者及び供給者の設計等に当たっての責任)
第十二条 事業者は、動産及び不動産の設計、製造、加工、輸送、販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る動産及び不動産に関して、不用物の排出が抑制されるように長期の使用に耐える建物の供給その他の必要な措置を講ずるとともに、不用物が再使用され、又は資源として再利用され、熱として再利用され、若しくは廃棄物として処分される場合に、環境への負荷が最小限になるように設計の工夫、包装の簡素化、製品に含まれる化学物質の表示その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 事業者は、物品の使用期間の長期化による不用物の排出抑制に資するため、自らが製造する製品ができる限り長期にわたり使用できるよう設計するとともに、自らが製造した製品の部品の生産を当該製品が使用されている間は継続するよう、特に配慮するものとする。
3 国は、事業者が前二項の責任を完遂できるように、必要な措置を講ずるものとする。

(製造者及び供給者の不用物の引取り及び再使用又は再利用の責任)
第十三条 国は、不用物の再使用及び再利用の推進の観点から適当と認められる製品について、その製品の製造、加工又は販売その他の事業活動を行う事業者が、不用物となった製品を引き取り及び再使用又は再利用することとなるように、必要な措置を講ずるものとする。

(環境配慮製品等の優先的購入及び使用)
第十四条 国は、自然エネルギー、中古品、資源として再利用された物品その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等(以下「原材料等」という。)を優先して使用するとともに、地方公共団体、事業者及び国民が原材料等を購入し、及び使用する場合に、環境への負荷の低減に資する原材料等の利用が優先されるように、必要な措置を講ずるものとする。

(排出者の責任)
第十五条 事業活動に伴って不用物を排出する事業者(以下、「排出事業者」という。)は、その排出する不用物に関し、再使用又は資源としての再利用、熱としての再利用若しくは廃棄物としての処分が行われることにより、人の健康及び生態系に対して有害な影響を及ぼさないよう、及び環境への負荷を最小限にするようにするものとする。
2 日常の生活に伴って不用物を排出する国民は、不用物を排出するに当たり、再使用又は資源としての再利用、熱としての再利用若しくは廃棄物としての処分を容易にするものとする。
3 国は、事業者が第一項の責任を完遂できるように、民事上の契約その他の方法による排出事業者の責任の免除を厳しく制限する措置その他の必要な措置を講ずるものとする。
4 国は、国民が第二項の責任を完遂できるように、不用物の分別を適正に行うことができるための措置その他の必要な措置を講ずるものとする。

(原状回復等の責任)
第十六条 不用物を廃棄した者、排出事業者又は不用物となった物を製造した者(以下「不用物廃棄者等」という。)は、その不用物による人の健康若しくは財産の侵害又は環境の汚染が生じた場合は、その侵害に係る被害の補償、その不用物による影響の範囲及び程度に関する調査、その不用物の除去並びに原状の回復に要する費用を負担するものとする。
2 国は、不用物廃棄者等の責任を完遂できるように、不用物廃棄者等に前項の費用を負担させるため、不用物廃棄者等による基金、課徴金、保険制度その他の制度を整備することその他の必要な措置を講ずるものとする。

(循環型社会形成の推進に寄与する経済的措置)
第十七条 国は、循環型社会形成の推進に寄与するため、自然の循環の維持に関する活動並びに不用物の発生抑制、再使用、再利用及び廃棄物としての処分を行う者に対し、次に掲げる措置を講ずるものとする。
 一 これらの者の経済的な状況等を勘案しつつ、必要かつ適正な経済的助成を行うために必要な措置
 二 適正かつ公平な経済的負担を課するために必要な措置
2 国は、廃棄物として処分される不用物を排出する者については、特に当該不用物の量及び処分の困難性の程度に応じて必要な処理手数料を負担させるために必要な措置を講ずるものとする。

(循環型社会形成の推進に寄与する事業の振興)
第十八条 国は、基本方針に即して行われる循環型社会形成の推進に寄与する事業の振興のため、その事業に関し、事業者の創意工夫を尊重しつつ、技術的助言、資金の確保その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、不用物の再使用及び再利用が円滑に行われるように不用物の需要と供給に関する調査を行うとともに、その情報の提供を行うものとする。
3 前二項の措置を講ずるに当たっては、中小企業者に対する特別の配慮をするものとする。

(循環型社会形成の推進に関する教育、学習等)
第十九条 国は、循環型社会形成の推進に関する教育及び学習の振興並びに循環型社会形成の推進に関する広報活動の充実により事業者及び国民が循環型社会の形成についての理解を深めるとともにこれらの者の循環型社会形成の推進に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、必要な措置を講ずるものとする。

(民間団体等の自発的な活動を促進するための措置)
第二十条 国は、事業者、国民又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う循環型社会形成の推進に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

(調査及び情報の公表)
第二十一条 国は、自然の循環に関する環境の状況の調査、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる気体、液体、固体又は熱の形態による不用物に関する発生及び移動並びに排出抑制、再使用、再利用及び処分の活動の状況の調査、不用物の環境中への排出の状況の調査、不用物に関する事業者の活動の状況の調査その他の循環型社会形成の推進のための施策の策定に必要な調査を実施するものとする。
2 国は、循環型社会形成の推進が、すべての人の公平な役割分担の下に行われることにかんがみ、前項の調査を地方公共団体と協力して実施するとともに、その調査に関する情報を公表するものとする。

(科学技術の振興)
第二十二条 国は、生物の種の保全等の自然の循環の維持のための技術、不用物の排出抑制、再使用、再利用及び処分を適正に行うための技術その他の循環型社会形成の推進に関する科学技術の振興を図るものとする。
2 国は、循環型社会形成の推進に関する科学技術の振興を図るため、高等教育における研究者の育成、試験研究の体制の整備、研究開発の推進及びその成果の普及その他の必要な措置を講ずるものとする。

(施設の整備)
第二十三条 国は、排出事業者の責任を確保しつつ国及び地方公共団体が必要な施設を整備し、及び国民の排出者としての責任を完遂できるように地方公共団体及び事業者が施設を整備するにつき、それらが促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

(国の行政機関の整備等)
第二十四条 国は、第二十七条第一項に規定する循環型社会形成推進計画に定める法制上又は財政上その他の措置が、総合的かつ計画的に講じられるように行政機関の整備を行うものとする。
2 国は、不用物の再使用又は資源としての再利用若しくは熱としての再利用を行う場合と廃棄物としての処分を行う場合とに関し、統一的に適用されるべき法制上の措置について特別の配慮を行うものとする。

(国及び地方公共団体の役割分担等)
第二十五条 国は、循環型社会形成の推進に関する施策を策定するにつき、国、都道府県及び市町村の役割分担を明確にするとともに、相協力してその施策を実施できるように必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、地方公共団体が循環型社会形成の推進に関する施策の策定及び実施に関し、必要な技術的助言、財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

(国際協力)
第二十六条 国は、不用物が本邦以外の地域に移動することにより、その地域の環境及び地球環境に影響を及ぼすことのないよう、必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、国際協力の実施に当たっては、循環型社会が、本邦以外の地域においても形成されることが地球環境保全の見地から重要であることにかんがみ、国際的な情報の提供、技術的助言、経済的支援その他の循環型社会形成の推進に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるものとする。

第三章 循環型社会形成推進計画

(循環型社会形成推進計画の作成)
第二十七条 政府は、循環型社会形成に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、前章に定める循環型社会形成の推進に関する基本方針に即し、次の各号に掲げる事項に関し、講ずべき必要な法制上又は財政上の他の措置を定めた循環型社会形成の推進に関する計画(以下「循環型社会形成推進計画」という。)を作成しなければならない。
 一 循環型社会形成の推進に関し、国が講ずべき措置
  イ 自然の循環の維持に関する事項
  ロ 不用物の排出抑制に関する事項
  ハ 不用物の再使用又は資源としての再利用若しくは熱としての再利用に関する事項
  ニ 廃棄物としての処分に関する事項
  ホ 製造者及び供給者の設計等に当たっての責任に関する事項
  ヘ 製造者及び供給者の不用物の引取り及び再利用の責任に関する事項
  ト 国、地方公共団体、事業者及び国民による環境への負荷の低減に資する原材料等の優先的使用に関する事項
  チ 排出者の責任に関する事項
  リ 不用物による人の健康等への侵害等に係る原状回復等のための費用負担、税、課徴金、基金、保険制度等に関する事項
  ヌ 循環型社会形成の推進に寄与する経済的措置に関する事項
  ル 循環型社会形成の推進に寄与する事業の振興に関する事項
  ヲ 循環型社会形成に関する教育、学習等に関する事項
  ワ 民間団体等の自発的な活動を促進するための措置に関する事項
  カ 循環型社会形成に関する調査及びその情報の公表に関する事項
  ヨ 循環型社会形成のための科学技術の開発及び普及に関する事項
  タ 循環型社会形成のための施設の計画的整備に関する事項
  レ 国の行政機関の整備に関する事項
  ソ 国及び地方公共団体の役割分担等に関する事項
  ツ 循環型社会形成の推進に関する国際協力に関する事項
 二 前号イからツまでに掲げる国の措置の目標及び効果その他政策評価に必要な事項
 三 前二号に掲げるもののほか、循環型社会形成の推進に必要な事項
2 環境大臣は、平成十五年十月一日までに、関係行政機関の長の協力を得て、循環型社会形成推進計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
3 循環型社会形成推進計画は、必要に応じて、見直し、改定するものとする。

(循環型社会形成推進計画の案についての意見の聴取等)
第二十八条 環境大臣は、前条第二項の規定により循環型社会形成推進計画の案を作成したときは、電子情報処理組織(環境大臣の指定する電子計算機(入出力装置を含む。)と循環型社会形成推進計画に係る情報を入手しようとする者又は次項の規定により意見を述べようとする者の使用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続した電子情報処理機器をいう。以下同じ。)を用いた方法その他の環境省令で定める方法により、これを公表するものとする。
2 循環型社会形成推進計画の案に意見を有する者は、環境省令で定める期間内に、環境大臣に対し、電子情報処理組織を用いた方法その他の環境省令で定める方法により、意見を述べることができる。
3 環境大臣は、前条第二項の閣議の決定を求めるに当たって、前項の意見の概要及び関係行政機関の長の協力を得てとりまとめた当該意見に対する見解を、電子情報処理組織を用いた方法その他の環境省令で定める方法により公表するとともに、閣議に提出しなければならない。
4 政府は、循環型社会形成推進計画を作成したときは、これを国会に報告するとともに、電子情報処理組織を用いた方法その他の環境省令で定める方法により公表しなければならない。

(循環型社会形成の目標時期)
第二十九条 政府は、循環型社会の形成の緊要性にかんがみ、速やかに循環型社会形成推進計画に即して関係する諸施策をすべて見直し、平成十七年四月一日を目標として循環型社会の形成に必要な措置を講じ、遅くとも法律の施行後八年以内に、できれば平成二十年四月一日を目標として、循環型社会の形成に必要な施策を施行するものとする。

(循環型社会形成の進捗状況に関する情報の公開)
第三十条 政府は、循環型社会形成の推進に当たっては、地方公共団体、事業者及び国民の理解と協力が不可欠であることにかんがみ、前章に定める循環型社会形成の推進に関する基本方針に関連する諸施策の見直し及び循環型社会の形成に必要な措置の進捗状況に関する情報を、電子情報処理組織を用いた方法その他の環境省令で定める方法により公表するものとする。

(年次報告)
第三十一条 政府は、毎年、前条の見直し及び進捗状況に関する情報の要旨を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。

第四章 循環型社会形成推進委員会

(循環型社会形成推進委員会)
第三十二条 内閣府に、循環型社会形成推進委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。

(所掌事務)
第三十三条 委員会は、この法律に定める循環型社会形成の推進に関する基本的事項について調査審議し、その結果に基づいて、平成十四年四月一日までに、第二十七条第一項に規定する循環型社会形成推進計画の作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告するものとする。
2 委員会は、循環型社会形成推進計画に基づく施策の実施状況を監視し、その結果に基づき内閣総理大臣に必要な意見を述べることができる。

(勧告等の尊重)
第三十四条 内閣総理大臣は、前条の勧告又は意見を受けたときは、これを尊重しなければならない。

(準用)
第三十五条 第二十八条第一項及び第二項の規定は、委員会が前条第一項の勧告をする場合に準用する。この場合において、第二十八条第一項中「環境大臣は、前条第二項の規定により循環型社会形成推進計画の案を作成したときは、電子情報処理組織(環境大臣」とあるのは「委員会は、第三十三条第一項の勧告をしたときは、電子情報処理組織(内閣総理大臣」と、「循環型社会形成推進計画に」とあるのは「勧告に」と、「環境省令」とあるのは、「内閣府令」と、同条第二項中「循環型社会形成推進計画の案に」とあるのは「勧告について」と、「環境省令」とあるのは「内閣府令」と、「環境大臣」とあるのは「委員会」と読み替えるものとする。

(循環型社会形成推進計画の案の作成の指示等)
第三十六条 内閣総理大臣は、第三十三条第一項の勧告を受けたときは、これを国会に報告するとともに、環境大臣に循環型社会形成推進計画の案の作成を指示するものとする。
2 内閣総理大臣は、第三十三条第二項の意見を受けたときは、環境大臣に、循環型社会形成推進計画に基づく施策に関し、その実施状況を点検し、環境省設置法(平成十一年法律第百一号)第五条第二項に基づき関係行政機関の長に勧告し、及びそれらの結果を報告することを、指示するものとする。
3 内閣総理大臣は、前項の結果、必要があると認めるときは、環境大臣に、循環型社会形成推進計画の変更の案の作成を指示するものとする。
4 環境大臣は、前項の指示を受けたときは、関係行政機関の長の協力を得て、循環型社会形成推進計画の変更の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
5 第二十八条の規定は、循環型社会形成推進計画の変更について準用する。


(組織)
第三十七条 委員会は、委員七人をもって組織する。

(委員)
第三十八条 委員は、優れた識見を有するもののうちから、両議員の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
2 前項の場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議員の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、同項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。
3 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議員の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議員の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。
4 委員の任期は、五年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 内閣総理大臣は、委員が破産の宣告を受け、又は禁錮以上の刑に処せられたときは、その委員を罷免しなければならない。
6 内閣総理大臣は、委員が心身の故障のため職務が遂行できないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、両議院の同意を得て、その委員を罷免することができる。
7 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
8 委員は、非常勤とする。

第三十九条 各議院は、内閣総理大臣から、前条第一項の規定による委員の任命に係る同意を求められたときは、当該任命に係る者に、循環型社会形成の推進に関する見識の陳述の機会を与えることができる。

(委員長)
第四十条 委員会に、委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

(資料の提出その他の協力等)
第四十一条 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、行政機関及び地方公共団体の長並びに特殊法人及び法令に基づく審議会等の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
2 委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、行政機関及び地方公共団体並びに特殊法人の業務の運営状況を調査し、又は委員にこれを調査させることができる。
3 委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、第一項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

(参与)
第四十二条 委員会に、重要な会務につき意見を述べさせるため、参与を置くことができる。
2 参与は、関係行政機関又は地方公共団体の職員、学識経験のある者、事業者、国民又はこれらの者の組織する民間の団体等に幅広く人材を求め、内閣総理大臣が任命するものとする。
3 参与は、非常勤とする。


(事務局)
第四十三条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。
2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。
3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

(政令への委任)
第四十四条 この法律に定めるもののほか、委員会に必要な事項は、政令で定める。

第五章 地方公共団体の施策

第四十五条 地方公共団体は、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた循環型社会形成の推進に必要な施策を、これらの総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする。この場合において、都道府県は、主として、広域にわたる施策の実施及び市町村が行う施策の総合調整を行うものとする。

第六章 雑則

(国会に対する説明)
第四十六条 循環型社会形成推進委員会の委員長又は指定する者は、循環型社会形成推進委員会が第三十三条第一項の期日までに循環型社会形成推進計画の作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告できない場合であって各議院又はその委員会から説明のため出席することを求められたときは、当該各議院又は委員会に出席し、その理由を具体的に述べて説明しなければならない。
2 環境大臣は、第二十七条第二項の期日までに循環型社会形成推進計画の案を作成し、又は閣議の決定を求めることができない場合であって各議院又はその委員会から説明のため出席することを求められたときは、当該各議院又は委員会に出席し、その理由を具体的に述べて説明しなければならない。
3 政府が第二十九条の期日までに循環型社会の形成に必要な措置を講ずることができない場合又はその施策を施行することができない場合であって各議院又はその委員会から説明のため出席することを求められたときは、内閣総理大臣及び当該措置を講ずることができない国務大臣又は当該施策を施行することができない国務大臣は、当該各議院又は委員会に出席し、その理由を具体的に述べて説明しなければならない。

附 則

(施行期日)
1 この法律は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、第三十八条第一項(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)及び第三十九条の規定は、公布の日から施行する。

(特別職の職員の給与に関する法律の一部改正)
2 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次のように改正する。第一条第十九号の十二の次に次の一号を加える。
 十九の十三 循環型社会形成推進委員会の委員

(内閣府設置法の一部改正)
3 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
 第四条第三項第五十二号の次に次の一号を加える。
 五十二の二 循環型社会の形成の推進に関する事項に係る事務の連絡調整に関すること。
第三十七条第三項の表中「 情報公開審査会 行政機関の保有する情報の公開に関する法律 を「 情報公開審査会 行政機関の保有する情報の公開に関する法律 」に改める。
循環型社会形成推進委員会 循環型社会形成推進法(平成十二年法律第 号

(環境省設置法の一部改正)
4 環境省設置法(平成十一年法律第百一号)の一部を次のように改正する。
 第四条第四号の次に次の一号を加える。
 四の二 循環型社会形成推進計画(循環型社会形成推進法(平成十二年法律第  号)第二十六条第一項に規定する計画をいう。以下同じ)の案の作成及び公表、循環型社会形成推進計画の実施状況の点検、必要な措置についての関係行政機関の長への勧告及びそれらの結果の内閣総理大臣への報告並びに循環型社会形成の推進に関する基本方針(同法第二章に規定する基本方針をいう。)に関連する諸施策の見直し及びその進捗状況に関する法律の公表に関すること。

(見直し)
5 循環型社会形成推進委員会は、平成二十一年四月一日までに、この法律の施行状況について検討を加え、この法律に代わる新しい法律等に関して、内閣総理大臣に勧告し、内閣総理大臣はその旨を国会に報告するものとする。