■「循環型社会形成推進基本法案」(自民党案をベースに公明党案を加えた調整案)H12.3.10
目次

 第一章 総則(第一条−第十条)
 第二章 循環型社会形成推進基本計画(第十一条−第二十条)
 第三章 循環型社会の形成に関する基本的施策
  第一節 国の施策(第二十一条−第三十七条)
  第二節 地方公共団体の施策(第三十八条)
 第四章 雑則(第三十九条)
 附則
第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、国民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保していく上で、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会を実現することの緊急性にかんがみ、循環型社会の形成について、基本理念その他の基本となる事項を定めることにより、循環型社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「不用物」とは、事業活動その他の人の活動により、その活動の本来の用に供することのないものとして、気体、液体、固体又は熱の形態で環境中に排出され、又は他の事業活動その他の人の活動に供されるもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)をいう。

2 この法律において「循環的な利用」とは、再使用、再生利用及び熱回収をいう。
3 この法律において「再使用」とは、次に掲げる行為をいう。
 一 不用物を建築物又は製品としてそのまま使用すること(修理を行ってこれを使用することを含む。)。
 二 不用物の全部又は一部を部品その他製品の一部として使用すること。
4 この法律において「再生利用」とは、不用物の全部又は一部を原材料として利用することをいう。
5 この法律において「熱回収」とは、不用物の全部又は一部であって、燃焼の用に供することができるもの又はその可能性のあるものを熱を得ることに利用することをいう。
6 この法律において「環境への負荷」とは、「環境基本法」(平成五年法律第九十一号)第二条第一項に規定する環境への負荷をいう。

(循環型社会形成の推進に関する基本理念)
第三条 循環型社会形成の推進は、人類の存続と繁栄が自然の循環の範囲内において人類以外の生物との共生によって図られることにかんがみ、すべての人の公平な役割分担の下に、環境から得られる資源等を用いた人間の活動を、自然の循環を維持し、損なわず、及び回復しつつ、より効率的に行うことができる社会経済構造への転換を促し、もって環境への負荷の少ない持続可能な社会を形成することを基本として行われるものとする。

(不用物の循環的な利用及び処分の基本原則)
第四条 不用物の循環的な利用及び処分に当たっては、技術的及び経済的に可能な範囲で、かつ、次に定めるところによることが環境への負荷の低減にとって必要であることが最大限に考慮されることによって、これらが行われなければならない。この場合において、次に定めるところによらないことが環境への負荷の低減にとって有効であると認められるときはこれによらないことが考慮されなければならない。
 一 不用物の全部又は一部のうち、再使用をすることができるものについては、再使用がされなければならない。
 二 不用物の全部又は一部のうち、前号の規定による再使用がされないものであって再生利用をすることができるものについては、再生利用がされなければならない。
 三 不用物の全部又は一部のうち、第一号の規定による再使用又は前号の規定による再生利用がされないものであって熱回収をすることができるものについては、熱回収がされなければならない。
 四 不用物の全部又は一部のうち、前三号の規定による循環的な利用が行われないものについては、処分されなければならない。
2 原材料、製品等については、これが不用物となった場合におけるその循環的な利用又は処分に伴う環境への負荷ができる限り低減される必要があることにかんがみ、原材料にあっては効率的に利用されること、建築物又は製品にあってはなるべく長期間使用されること等により、不用物となることができるだけ抑制されなければならない。
3 不用物については、その処分の量を減らすことにより環境への負荷を低減する必要があることにかんがみ、できる限り循環的な利用が行われなければならない。
4 不用物の循環的な利用及び処分に当たっては、環境の保全上の支障が生じないように適正に行われなければならない。

(施策の有機的連携への配慮)
第五条 循環型社会形成に関する施策を講ずるに当たっては、環境の保全に関する施策相互の有機的な連携が図られるようにすることとし、特に次に掲げる事項について必要な配慮がなされるものとする。
 一 自然の改変は、生物の種の絶滅をもたらさないよう特別の配慮を行いつつ、自然の循環を損なうことのない範囲内のものとし、かつ、最小限のものにとどめるとともに、改変される自然については代償措置を講ずること等により改変前の機能をできる限り回復するものとすること。
 二 事業活動その他の人の活動を行うに当たっては、自然エネルギー(太陽光、風力等その他の自然の循環を損なわずに利用することが可能なエネルギーをいう。以下同じ。)をできる限り用いるようにするとともに、再生可能な自然資源については、その再生のための措置を講じて、その自然資源を用いるものとすること。
 三 農林水産業に関する活動その他の自然界における生物を介在する物質の循環に依存し、かつ、これを促進する機能を有する活動に関しては、将来にわたり当該機能が維持増進されるための措置を講ずることにより、循環型社会形成に寄与するよう、持続的な発展を図るものとすること。

(国の責務)
第六条 国は、第三条に定める循環型社会の形成についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、循環型社会の形成に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第七条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、不用物について適正に循環的な利用及び処分が行われることを確保するために必要な措置を実施するほか、循環型社会の構築に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(事業者の責務)
第八条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに際しては、原材料等がその事業活動において不用物となることを抑制するために必要な措置を講ずるとともに、原材料等がそのまま事業活動において不用物となった場合には、これについて自ら適正に循環的な利用を行い、若しくはこれについて適正に循環的な利用が行われるために必要な措置を講じ、又は循環的な利用が行われない不用物について自らの責任において適正に処分する責務を有する。
2 建築物、製品、容器等の製造、販売等を行う事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに際しては、当該建築物、製品、容器等の耐久性の向上及び修理の実施体制の充実その他の当該建築物、製品、容器等が不用物となることを抑制するために必要な措置を講ずるとともに、当該建築物、製品、容器等の設計の工夫及び材質又は成分の表示その他の当該建築物、製品、容器等が不用物となったものについて適正に循環的な利用が行われることを促進し、及びその適正な処分が困難とならないようにするために必要な措置を講ずる責務を有する。
3 前項に定めるもののほか、建築物、製品、容器等であって、これが不用物となった場合におけるその循環的な利用を適正かつ円滑に行うためには国、地方公共団体、事業者及び国民がそれぞれ適切に役割を分担することが必要であるとともに、当該建築物、製品、容器等に係る設計及び原材料の選択、当該建築物、製品、容器等が不用物となったものの収集等の観点からその事業者の果たすべき役割が循環型社会の形成を図る上で重要であると認められるものについては、当該建築物、製品、容器等の製造、販売等を行う事業者は、基本理念にのっとり、当該分担すべき役割として、自ら、当該建築物、製品、容器等が不用物となったものを引き取り、若しくは引き渡し、又はこれについて適正に循環的な利用を行う責務を有する。
4 不用物であって、その循環的な利用を行うことが技術的及び経済的に可能であり、かつ、その循環的な利用が促進されることが循環型社会の形成を推進する上で重要であると認められるものについては、当該不用物の循環的な利用を行うことができる事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに際しては、これについて適正に循環的な利用を行う責務を有する。
5 前各項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に際しては、不用物の循環的な利用によって得られた原材料、製品及び役務(以下「再生品」という。)を使用すること等により循環型社会の形成に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する循環型社会の形成に関する施策に協力する責務を有する。

(国民の責務)
第九条 国民は、基本理念にのっとり、建築物又は製品をなるべく長期間使用すること、再生品を使用すること、不用物が分別して回収されることに協力すること等により製品等が不用物となることを抑制し、製品等が不用物となったものについて適正に循環的な利用が行われることを促進するよう努めるとともに、その適正な処分に関し国及び地方公共団体の施策に協力する責務を有する。
2 前項に定めるもののほか、前条第三項に規定する建築物、製品、容器等については、国民は、基本理念にのっとり、当該建築物、製品、容器等が不用物となったものを同項に規定する事業者に適切に引き渡すこと等により当該事業者が行う措置に協力する責務を有する。
3 前二項に定めるもののほか、国民は、基本理念にのっとり、循環型社会の形成に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する循環型社会の形成に関する施策に協力する責務を有する。

(年次報告等)
第十条 政府は、毎年、国会に、不用物の発生、循環的な利用及び処分の状況並びに政府が循環型社会の形成に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
2 政府は、毎年、前項の報告に係る不用物の発生、循環的な利用及び処分の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。

 第二章 循環型社会形成推進基本計画

(循環型社会形成推進基本計画の策定等)
第十一条 政府は、循環型社会の形成に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、次章第一節に定める循環型社会の形成に関する国の施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を定めた循環型社会の形成に関する基本的な計画(以下「循環型社会形成推進基本計画」という。)を定めなければならない。
2 循環型社会形成推進基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 循環型社会の形成に関する施策についての基本的な方針
 二 循環型社会の形成に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき措置
 三 前号の措置の目標及び効果その他政策評価に必要な事項
 四 前三号に掲げるもののほか、循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 環境大臣は、平成十五年十月一日までに、第十三条第一項第一号の規定に基づく中央環境審議会(以下「審議会」という。)の勧告に即して、資源の有効な利用の確保に係る事務を所掌する大臣の協力を得つつ、循環型社会基本計画の案を作成し、閣議の決定を求なければならない。
4 環境大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、循環型社会形成推進基本計画を電子情報処理組織(環境大臣の指定する電子計算機(入出力装置を含む。)と循環型社会形成の推進に関する情報を入手しようとする者の使用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。第十六条において同じ。)を用いた方法その他の環境省令で定める方法により、公表しなければならない。
5 前二項の規定は、循環型社会基本計画の変更について準用する。この場合において、第三項中「平成十五年十月一日までに、第十三条第一項第一号の規定に基づく中央環境審議会(以下「審議会」という。)の勧告に即して」とあるのは、「第十三条第一項第二号の規定に基づく中央環境審議会の意見を聴いて」と読み替えるものとする。

(循環型社会基本計画と国の他の計画との関係)
第十二条 循環型社会形成推進基本計画は、環境基本法第十五条第一項に規定する環境基本計画(次項において単に「環境基本計画」という。)を基本として策定するものとする。
2 環境基本計画及び循環型社会形成推進基本計画以外の国の計画は、循環型社会の形成に関しては、循環型社会形成推進基本計画を基本とするものとする。

(審議会の勧告等)
第十三条 審議会は、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第四十一条第二項に規定する事務のほか、次に掲げる事務をつかさどるものとする。
 一 この法律に定める循環型社会形成の推進に関する基本的事項について調査審議し、その結果に基づいて、平成十四年四月一日までに、第十一条第一項に規定する循環型社会形成推進基本計画の策定のための具体的な指針を環境大臣に勧告すること。
 二 環境大臣の諮問に応じて、循環型社会形成推進基本計画の変更について調査審議し、意見を述べること。
2 審議会は、環境基本法第四十一条第三項に規定するもののほか、循環型社会形成推進基本計画に基づく施策の実施状況を監視し、その結果に基づき環境大臣に必要な意見を述べることができる。

(環境大臣の報告及び内閣総理大臣の指示)
第十四条 環境大臣は、前条第一項第一号の勧告を受けたときは、これを内閣総理大臣及び国会に報告しなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の報告を受けたときは、環境大臣に、循環型社会形成推進基本計画の案の作成について、必要な指示をするものとする。
3 前二項の規定は、前条第二項の意見を受けた場合に準用する。この場合において、第一項中「前条第一項第一号の勧告」とあるのは「前条第二項の意見」と、前項中「循環型社会形成推進基本計画の案の作成について」とあるのは「循環型社会形成推進基本計画に基づく施策に関し、その実施状況を点検し、及びそれらの結果を報告するよう」と読み替えるものとする。

(環境大臣の勧告等)
第十五条 環境大臣は、循環型社会形成のため特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、循環型社会形成推進基本計画に係る施策の施行その他循環型社会形成に係る重要事項について勧告し、及びその勧告に基づいて執った措置について報告を求めることができる。

(循環型社会形成の進捗状況に関する情報の公開)
第十六条 環境大臣は、循環型社会形成の推進に当たっては、地方公共団体、事業者及び国民の理解と協力が不可欠であることにかんがみ、循環型社会形成基本計画の案、循環型社会の形成に必要な措置の進捗状況その他の循環型社会形成の推進に関する情報を、電子情報処理組織を用いた方法その他の環境省令で定める方法により公表するとともに、循環型社会形成の推進に関する地方公共団体、事業者及び国民の意見を把握するよう努めるものとする。

(循環型社会形成の目標時期)
第十七条 政府は、循環型社会の形成の緊要性にかんがみ、速やかに循環型社会形成推進基本計画に即して関係する諸施策をすべて見直し、平成十七年四月一日を目標として循環型社会の形成に必要な措置を講じ、遅くともこの法律の施行後八年以内に、できれば平成二十年四月一日を目標として、循環型社会の形成に必要な施策を施行するものとする。

(審議会の委員の特例)
第十八条 審議会は、環境基本法第四十一条第四項の規定に基づく政令の規定にかかわらず、第十三条の事務を行うため、特別に七人以内の委員を置くものとする。
2 前項の規定により特別に置かれる委員(以下「委員」という。)は、循環型社会形成の推進に関し優れた識見を有する者のうちから、両議員の同意を得て、環境大臣が任命する。
3 前項の場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議員の同意を得ることができないときは、環境大臣は、同項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。
4 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議員の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議員の事後の承認が得られないときは、環境大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。
5 各議院は、環境大臣から、第二項の規定による委員の任命に係る同意を求められたとき及び前項の規定による事後の承認を求められたときは、当該任命に係る者に、循環型社会形成の推進に関する見識の陳述の機会を与えることができる。
6 委員の任期は、五年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 環境大臣は、委員が破産の宣告を受け、又は禁錮(こ)以上の刑に処せられたときは、その委員を罷免しなければならない。
8 環境大臣は、委員が心身の故障のため職務が遂行できないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、両議院の同意を得て、その委員を罷免することができる。
9 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
10 委員は、非常勤とする。

(資料の提出その他の協力等)
第十九条 審議会は、第十三条の事務を遂行するため必要があると認めるときは、行政機関及び地方公共団体の長並びに特殊法人及び法令に基づく審議会等の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
2 審議会は、第十三条の事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、行政機関及び地方公共団体並びに特殊法人の業務の運営状況を調査し、又は委員にこれを調査させることができる。
3 審議会は、第十三条の事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、第一項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

(政令への委任)
第二十条 この法律に定めるもののほか、審議会がこの法律により属させられた事務を行うために必要な事項は、政令で定める。

 第三章 循環型社会の形成に関する基本的施策

  第一節 国の施策

(不用物の排出抑制)
第二十一条 国は、事業者がその事業活動に際して原材料を効率的に利用すること、繰り返して使用することが可能な容器等を使用すること等により原材料等が不用物となることを抑制するよう、規制その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、国民が製品をなるべく長期間使用すること、商品の購入に当たって容器等が過剰に使用されていない商品を選択すること等により製品等が不用物となることを抑制するよう、これに関する知識の普及その他の必要な措置を講ずるものとする。

(不用物の適正な循環的な利用及び処分のための措置)
第二十二条 国は、事業者が、その事業活動に際して、当該事業活動において発生した不用物について自ら適正に循環的な利用を行い、若しくはこれについて適正に循環的な利用が行われることを促進し、又は循環的な利用が行われない当該不用物について自らの責任において適正に処分するよう、規制その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、国民が、その使用に係る製品等が不用物となったものが分別して回収されることに協力すること、当該不用物に係る次項に規定する引取り及び引渡し並びに循環的な利用及び処分の適正かつ円滑な実施に協力すること等により当該不用物について適正に循環的な利用及び処分が行われることを促進するよう、必要な措置を講ずるものとする。
3 国は、建築物、製品、容器等が不用物となった場合におけるその循環的な利用が適正かつ円滑に行われることを促進するため、当該不用物の処分の技術上の困難性、循環的な利用の可能性等を勘案し、国、地方公共団体、事業者及び国民がそれぞれ適切に役割を分担することが必要であり、かつ、当該建築物、製品、容器等に係る設計及び原材料の選択、当該建築物、製品、容器等が不用物となったものの収集等の観点からその事業者の果たすべき役割が循環型社会の形成を推進する上で重要であると認められるものについて、当該建築物、製品、容器等の製造、販売等を行う事業者が、当該建築物、製品、容器等が不用物となったものの引取りを行い、若しくは当該引取りに係る不要物の引渡しを行い、又は当該引取りに係る不用物について適正に循環的な利用を行うよう、必要な措置を講ずるものとする。
4 国は、不用物であってその循環的な利用を行うことが技術的及び経済的に可能であり、かつ、その循環的な利用が促進されることが循環型社会の形成を推進する上で重要であると認められるものについて、当該不用物の循環的な利用を行うことができる事業者がこれについて適正に循環的な利用を行うよう、規制その他の必要な措置を講ずるものとする。

(再生品の使用の促進)
第二十三条 国は、再生品に対する需要の増進に資するため、自ら率先して再生品を使用するとともに、地方公共団体、事業者及び国民による再生品の使用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

(製品等に当たっての事前評価のための措置)
第二十四条 国は、不用物の循環的な利用及び処分に伴う環境への負荷の程度を勘案して、事業者が、物の製造、加工又は販売その他の事業活動に際して、その事業活動に係る建築物、製品、容器等に関し、あらかじめ次に掲げる事項について自ら評価を行い、その結果に基づき、当該建築物、製品、容器等に係る環境への負荷を低減することができるよう設計の工夫、包装の簡素化その他の工夫をすることにより、当該建築物、製品、容器等が不用物となることが抑制され、当該建築物、製品、容器等が不用物となった場合におけるその循環的な利用が促進され、並びに循環的な利用及び処分に伴う環境への負荷の低減が図られるよう、必要な措置を講ずるものとする。
 一 その事業活動に係る建築物、製品、容器等の耐久性に関すること。
 二 その事業活動に係る建築物、製品、容器等が不用物となった場合におけるその循環的な利用及び処分の困難性に関すること。
 三 その事業活動に係る建築物、製品、容器等が不用物となった場合におけるその重量又は体積に関すること。
 四 その事業活動に係る建築物、製品、容器等に含まれる人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずるおそれがある物質の種類及び量その他当該建築物、製品、容器等が不用物となった場合におけるその処分に伴う環境への負荷の程度に関すること。
2 国は、事業者が、その事業活動に係る建築物、製品、容器等が不用物となることが抑制され、又は当該建築物、製品、容器等が不用物となった場合においてこれについて適正に循環的な利用及び処分が行われるために必要なその材質又は成分、その処分の方法その他の情報を、その循環的な利用及び処分を行う事業者、国民等に提供するよう、規制その他の必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全上の支障の防止)
第二十五条 国は、原材料等が不用物となることの抑制並びに不用物の循環的な利用及び処分を行う際の環境の保全上の支障を防止するため、人の健康及び生活環境並びに生態系に対して有害な影響を及ぼさないよう、規制その他の必要な措置を講じなければならない。

(原状回復等のための措置)
第二十六条 不用物を廃棄した者、事業活動に伴って不用物を排出する者又は不用物となった者を製造した者(以下「不用物廃棄者等」という。)は、その不用物による人の健康若しくは財産の侵害又は環境の汚染が生じた場合は、その侵害に係る被害の補償、その不用物による影響の範囲及び程度に関する調査、その不用物の除去並びに原状の回復に要する費用を負担するものとする。
2 国は、不用物廃棄者等の責任を完遂できるように、不用物廃棄者等に前項の費用を負担させるため、民事上の契約その他の方法による事業活動を伴って不用物を排出する者の原状回復等の責任の免除を厳しく制限するため必要な措置を講じるとともに、不用物廃棄者等による基金、課徴金、保険制度その他の制度を整備することその他の必要な措置を講ずるものとする。

(原材料等が不用物となることの抑制等に係る経済的措置)
第二十七条 国は、製品等の製造若しくは加工又は不用物の循環的な利用、処分、収集若しくは運搬を業として行う者が原材料の効率的な利用を図るための施設の整備、再生品を製造するための施設の整備その他の原材料等が不用物となることを抑制し、又は不用物について適正に循環的な利用及び処分を行うための適切な措置を執ることを促進するため、その者にその経済的な状況を勘案しつつ必要かつ適正な経済的な助成を行うために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 国は、適正かつ公平な経済的な負担を課すことにより、事業者及び国民によって建築物、製品、容器等が不用物となることの抑制又は建築物、製品、容器等が不用物となった場合におけるその適正かつ円滑な循環的な利用若しくは処分に資する行為が行われることを促進する施策に関し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(公共的施設の整備)
第二十八条 国は、不用物の循環的な利用、処分、収集又は運搬に供する施設(移動施設を含む。)その他の循環型社会の形成に資する公共的施設の整備を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(国の行政機関の整備等)
第二十九条 国は、第十一条第一項に規定する循環型社会形成推進基本計画に定める法制上又は財政上その他の措置が、総合的かつ計画的に講じられるように行政機関の整備を行うものとする。
2 国は、不用物の再使用又は資源としての再利用若しくは熱としての再利用を行う場合と廃棄物としての処分を行う場合とに関し、統一的に適用されるべき法制上の措置について特別の配慮を行うものとする。

(地方公共団体による施策の適切な策定等の確保のための措置)
第三十条 国は、地方公共団体による不用物の循環的な利用及び処分に関する施策その他の循環型社会の形成に関する施策の適切な策定及び実施を確保するため、必要な措置を講ずるものとする。

(地方公共団体に対する財政措置等)
第三十一条 国は、地方公共団体が循環型社会の形成に関する施策を策定し、及び実施するための費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めるものとする。

(循環型社会の形成の推進に寄与する事業の振興)
第三十二条 国は、循環型社会の形成の推進に寄与する事業の振興のため、その事業に関し、事業者の創意工夫を尊重しつつ、技術的助言、資金の確保その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、不用物の再使用及び再利用が円滑に行われるように不用物の需要と供給に関する調査を行うとともに、その情報の提供を行うものとする。
3 前二項の措置を講ずるに当たっては、中小企業者に対する特別の配慮をするものとする。

(循環型社会の形成に関する教育及び学習の振興等)
第三十三条 国は、循環型社会の形成を推進するためには事業者及び国民の理解と協力を得ることが欠くことのできないものであることにかんがみ、循環型社会の形成に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実のために必要な措置を講ずるものとする。

(民間団体等の自発的な活動を促進するための措置)
第三十四条 国は、事業者、国民又はこれらの者の組織する民間の団体(次項において「民間団体等」という。)が自発的に行う不用物に係る回収活動、不用物の譲渡又は交換のための催しの実施、建築物、製品、容器等が不用物となった場合にその循環的な利用又は処分に寄与するものであることを表示することその他の循環型社会の形成に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、前項の民間団体等が自発的に行う循環型社会の形成に関する活動の促進に資するため、不用物の発生、循環的な利用及び処分の状況に係る情報その他の循環型社会の形成に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。

(調査の実施)
第三十五条 国は、不用物の発生、循環的な利用及び処分の状況、これらの将来の見通し又は不用物の処分による環境への影響に関する調査その他の循環型社会の形成に関する施策の策定及び適正な実施に必要な調査を実施するものとする。

(科学技術の振興)
第三十六条 国は、不用物の循環的な利用及び処分に伴う環境への負荷の程度の評価の手法、建築物、製品、容器等が不用物となることの抑制又は不用物について適正に循環的な利用及び処分を行うための技術その他の循環型社会の構築に関する科学技術の振興を図るものとする。
2 国は、循環型社会の形成に関する科学技術の振興を図るため、研究体制の整備、研究開発の推進及びその成果の普及、研究者の養成その他の必要な措置を講ずるものとする。

(国際的協調のための措置)
第三十七条 国は、不用物が本邦以外の地域に移動することにより、その地域の環境及び地球環境に影響を及ぼすことのないよう、必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、国際協力の実施に当たっては、循環型社会が、本邦以外の地域においても形成されることが地球環境保全の見地から重要であることにかんがみ、国際的な情報の提供、技術的助言、経済的支援その他の循環型社会形成の推進に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるものとする。

  第二節 地方公共団体の施策

第三十八条 地方公共団体は、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた循環型社会の形成のために必要な施策を、その総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする。

 第四章 雑則

(国会に対する説明)
第三十九条 環境大臣は、第十一条第三項の期日までに循環型社会形成推進基本計画の案を作成し、又は閣議の決定を求めることができない場合であって各議院又はその委員会から説明のため出席することを求められたときは、当該各議院又は委員会に出席し、その理由を具体的に述べて説明しなければならない。
2 政府が第十七条の期日までに循環型社会の形成に必要な措置を講ずることができない場合又はその施策を施行することができない場合であって各議院又はその委員会から説明のため出席することを求められたときは、内閣総理大臣及び当該措置を講ずることができない国務大臣又は当該施策を施行することができない国務大臣は、当該各議院又は委員会に出席し、その理由を具体的に述べて説明しなければならない。

 附 則

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第二章の規定は、平成十三年一月六日から施行する。

(環境省設置法の一部改正)
第二条 環境省設置法の一部を次のように改正する。
 第四条第四号の次に次の一号を加える。
 四の二 循環型社会形成推進基本計画(循環型社会形成推進基本法(平成十二年法律第  号)第十一条第一項に規定する計画をいう。以下同じ。)の案の作成及び公表、循環型社会形成推進基本計画の実施状況の点検、必要な措置についての関係行政機関の長への勧告及び関係行政機関からの報告の徴収並びに循環型社会の形成に必要な措置の進捗状況その他の循環型社会形成の推進に関する情報の公表に関すること。

(見直し)
第三条 審議会は、平成二十一年四月一日までに、この法律の施行の状況について検討を加え、この法律に代わる新しい法律等に関して、環境大臣に勧告し、環境大臣はその旨を内閣総理大臣及び国会に報告するものとする。