法令

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告示

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廃棄物の処理及び清掃に関する法律の運用に伴う留意事項について
(昭和46年10月25日)



本則



厚生省環境衛生局環境整備課長から各都道府県・各政令市廃棄物関係担当部(局)長あて
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)の施行については、別途厚生事務次官通知(厚生省環第784号)及び環境衛生局長通知(環整第43号)により指示されたところであるが、なお、下記の事項に留意して運用されたく通知する。

第1 廃棄物の範囲等に関すること。
 1 廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物をいい、これらに該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではないこと。
   法第2条第1項の規定は、一般に廃棄物として取り扱われる蓋然性の高いものを代表的に例示し、社会通念上の廃棄物の概念規定を行ったものであること。
 2 廃棄物処理法は、固形状及び液状の全廃棄物(放射能を有する物を除く。)についての一般法となるので、特別法の立場にある法律(たとえば、鉱山保安法、下水道法、水質汚濁防止法)により規制される廃棄物にあっては、廃棄物処理法によらず、特別法の規定によって措置されるものであること。
   なお、これらの法律を所管する部局及び関係行政機関と十分に連絡協議を行い、その円滑な運用に努めること。
 3 産業廃棄物は、事業活動に伴って生ずる廃棄物であり、事業活動というのは反覆継続して行なわれるものであるから、排出源において単一の産業廃棄物としてとらえられる場合が比較的多いものであるが、産業廃棄物がいくつか混合した状態で排出された場合には、廃棄物処理法第2条第4項に規定する6種類の産業廃棄物及び廃棄物処理法施行令(以下「令」という。)第2条に規定する13種類の産業廃棄物(第2条第1号から第13号までに規定するもの)が複合した形態で排出されたものとみなしてとらえるものとし、たとえば「硫酸ピッチ」にあっては、廃酸と廃油の混合物としてとらえるものとすること。また、定義の不明な事業活動に伴って生ずる廃棄物にあっては、排出源、排出されるに至る過程、排出された時点での物の組成内容等を明記した上で、当局と協議し、その運用の円滑な推進を期するものであること。
 4 廃棄物処理法第2条第4項及び令第2条に規定された産業廃棄物の内容は、別紙に示すとおりであること。
 5 下水道法に規定する下水道から除去した汚でいは、産業廃棄物として取り扱うものであること。
第2 産業廃棄物処理施設の範囲に関すること
 1 令第7条第1号、第2号及び第3号に掲げる施設は、汚でいの処理を行なうための施設であって、それぞれ汚でいの脱水、乾燥及び焼却を目的とする施設であること。
 2 令第7条第4号及び第5号に掲げる施設は、廃油の処理を行なうための施設であって、それぞれ廃油の油水分離及び焼却を目的とする施設であること。
 3 令第7条第6号に掲げる施設は、廃酸又は廃アルカリの処理を行なうための施設であって、廃酸又は廃アルカリの中和を目的とする施設であり、中和槽を有するものであること。ただし、放流を目的とする一般の廃水処理に係る中和施設は除くものとする。
 4 令第7条第7号及び第8号に掲げる施設は、廃プラスチック類の処理を行なうための施設であって、それぞれ廃プラスチック類の破砕及び焼却を目的とする施設であること。
 5 令第7条第9号に掲げる施設は、令別表右欄に掲げる有毒物質を含む汚でいの処理を行なうための施設であって、汚でいをコンクリート固型化し、汚でい中に含まれる有毒物質が漏れないように加工することを目的とする施設であること。
 6 令第7条第10号に掲げる施設は、水銀又はその化合物を含む汚でいの処理を行なうための施設であって、汚でい中に含まれる水銀又はその化合物をばい焼により硫化物とし、有害な産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令(昭和48年総理府令第5号)における処分の態様に応じて定める判定基準(以下「判定基準」という。)に適合させることを目的とする施設であるが、水銀又はその化合物から水銀蒸気となって水銀が気散する部分は捕集し、回収できる構造を有する施設であること。
 7 令第7条第11号に掲げる施設は、シアン化合物を含む汚でい、廃酸又は廃アルカリの処理を行なうための施設であって、熱分解、電気分解、アルカリ塩素法分解等によって処理し、汚でいを判定基準に適合するものにし、又は廃酸若しくは廃アルカリにシアン化合物が含まれないようにすることを目的とする施設であること。
 8 令第7条第12号の2に掲げる施設は、廃PCB等又はPCB処理物の処理を行うための施設であって、脱塩素化法又は超臨界水酸化法による分解によって処理し、廃PCB等又はPCB処理物にPCBが含まれないようにすることを目的とする施設であること。
 9 令第7条第13号に掲げる施設は、PCB汚染物又はPCB処理物の処理を行うための施設であって、PCBを除去することを目的とする施設であること。
 10 令第7条第13号の2に掲げる施設は、汚泥、廃油又は廃プラスチック以外の産業廃棄物の処理を行うための施設であって、当該産業廃棄物の焼却を目的とする施設であること。
 11 令第7条第14号に掲げる施設は、産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物の埋立処分を目的とする施設であること。
 12 令第7条に規定する産業廃棄物処理施設は、いずれも独立した施設としてとらえ得るものであって、工場又は事業場内のプラント(一定の生産工程を形成する装置をいう。)の一部として組み込まれたものは含まないものであること。
 13 令第7条に掲げる施設の処理能力は、その施設が標準運転時間に処理できる廃棄物の量をもって表わすもので、いわゆる施設の公称能力である。したがって、たとえば1日の標準運転時間が8時間のものは、1時間当りの処理能力の8時間ぶんをもって表わす。
第3 一般廃棄物処理施設の維持管理等に関すること。 略
第4 産業廃棄物処理施設の維持管理等に関すること。
  産業廃棄物処理施設の維持管理に関しては、次の点に留意するよう関係者を指導されたいこと。
 1 産業廃棄物は、固形状、でい状及び液状を呈し、その種類は多様であり、かつ、有害物質を含むものもすくなくないので、焼却、ばい焼、中和、コンクリート固形化等による安全化又は安定化及び焼却、脱水、乾燥、破砕、圧縮等による減量化に努めなければならないこと。このような処分は、その操作に伴なって大気汚染、水質汚濁、騒音、振動等を惹起する可能性があるので、施設の設計段階でこの点について考慮するとともに、技術管理者は、施設の基本設計と運転仕様を熟知し、規則第12条の6及び第12条の7の維持管理基準を遵守しなければならないものであること。
   なお、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等他の公害防止関係法令による基準が設定されている場合は、これらの基準の遵守を目標に維持管理等を行なわなければならないこと。
 2 規則第12条の6第7項において規定している排水にあたっての放流水の水質基準は、その放流水が直接に公共の水域に排出される単独施設の場合に適用されるものであって、水質汚濁防止法第2条第4項に規定する特定事業場内において他の排水と混合して放流される場合には、水質汚濁防止法第3条の規定に基づく排水基準に従うことはいうまでもないこと。
 3 規則第12条第1項の機能点検は毎月1回以上行なうこと。
 4 以上のほか、第3の2、3、4及び6に準じて行なうようにすること。
第5 ふん尿の使用方法の制限に関すること。 略
(別紙)
(1) 燃えがら……電気事業等の事業活動に伴って生ずる石炭がら、灰かす、炉清掃掃出物等が代表的なものであり、集じん装置に捕捉されたものはダスト類として令第2条第12号に掲げる産業廃棄物として取り扱うものであること。その他熱エネルギー源を物の燃焼に依存している場合の焼却残灰、炉清掃掃出物等についても同様の取扱いとするものであること。
(2) 汚でい……工場廃水等の処理後に残るでい状のもの、及び各種製造業の製造工程において生ずるでい状のものであって、有機質の多分に混入したどろのみを指すのではなく、有機性及び無機性のもののすべてを含むものであること。有機性汚でいの代表的なものとしては、活性汚でい法による処理後の汚でい、パルプ液から生ずる汚でい、その他動植物性原料を使用する各種製造業の廃水処理後に生ずる汚でい(令第2条第4号に掲げる産業廃棄物に該当するものを除く。)、ビルピット汚でい(し尿を含むものを除く。)があること。無機性汚でいの代表的なものとしては、赤でい、けい藻土かす、炭酸カルシウムかす、廃白土、浄水場の沈でん池より生ずる汚でいがあること。ただし、赤でいにあっては、廃アルカリとの混合物として、廃白土にあっては、廃油との混合物として取り扱うものであること。
(3) 廃油……鉱物性油及び動植物性油脂に係るすべての廃油を含むものとし、潤滑油系、絶縁油系、洗浄用油系及び切削油系の廃油類、廃溶剤類及びタールピッチ類(常温において固形状を呈するものに限る。)があること。硫酸ピッチ及びタンクスラッジは、それぞれ廃油と廃酸の混合物及び廃油と汚でいの混合物として取り扱うものであること。
(4) 廃酸……廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃酸類をはじめ酸性の廃液のすべてを含むものであること。したがって、アルコール又は食用のアミノ酸の製造に伴って生じた発酵廃液は廃酸に該当するものであること。廃酸は、液状の産業廃棄物であるが、水素イオン濃度指数を5.8以上8.6以下に調整した場合に生ずる沈でん物は汚でいと同様に取り扱って差し支えないものであること。
(5) 廃アルカリ……廃ソーダ液、金属せっけん液をはじめアルカリ性の廃液のすべてを含むものであること。したがってカーバイトかすは、廃アルカリとしてではなく汚でいとして取り扱い、埋立処分にあたっては、浸出液の処理を行なうこと。廃アルカリの水素イオン濃度指数を調整した場合に生ずる沈でん物の取扱いは、廃酸の場合と同様とするものであること。なお、工場廃液は、(4)若しくは(5)又は(4)及び(5)の混合物として取り扱うものであること。
(6) 廃プラスチック類……合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず等合成高分子系化合物に係る固形状及び液状のすべての廃プラスチック類を含むものであること。
(7) 令第2条第1号に掲げる産業廃棄物……「紙くず」という。産業廃棄物に該当するものは、日本標準産業分類による大分類Eに該当する事業の事業活動に伴って生ずる紙くずであって工作物の新築、改築(増築を含む。)又は除去に伴って生じたもの、中分類18、小分類191のうち新聞巻取紙を使用して印刷発行を行なう細分類1911、細分類1921のうち印刷出版を行なうもの、細分類1951及び1952に該当する事業の事業活動に伴って生ずる紙くずであって、壁紙、障子、紙、板紙等の古紙が含まれるものであること。
(8) 令第2条第2号に掲げる産業廃棄物……「木くず」という。産業廃棄物に該当するものは、日本標準産業分類による大分類Eに該当する事業の事業活動に伴って生ずる木くずであって工作物の新築、改築(増築を含む。)又は除去に伴って生じたもの、中分類16、小分類171及び181に該当する事業の事業活動に伴って生ずる木くず並びに輸入木材の輸入を業務の一部又は全部として行なっている総合商社、貿易商社等の輸入木材に係る木くずであって、おがくず、バーク類等が含まれるものであること。
(9) 令第2条第3号に掲げる産業廃棄物……「繊維くず」という。産業廃棄物に該当するものは、日本標準産業分類による大分類Eに該当する事業の事業活動に伴って生ずる繊維くずであって工作物の新築、改築(増築を含む。)又は除去に伴って生じたもの、中分類14に該当する事業の事業活動に伴って生ずる繊維くずであって畳、じゅうたん、木綿くず、羊毛くず等の天然繊維くずが含まれるものであること。
(10) 令第2条第4号に掲げる産業廃棄物……「動植物性残さ」という。産業廃棄物に該当するものは、日本標準産業分類による中分類12及び13(小分類136を除く。)、小分類206及び細分類2093に該当する事業の事業活動に伴って生ずる動植物性残さであって、あめかす、のりかす、醸造かす、発酵かす、魚及び獣のあら等が含まれるものであること。魚市場、飲食店等から排出される動植物性残さ又は厨芥類は、事業活動に伴って生じた一般廃棄物として取り扱うものであること。
(11) 令第2条第5号に掲げる産業廃棄物……天然ゴムくずが含まれるものであること。
(12) 令第2条第6号に掲げる産業廃棄物……鉄鋼又は非鉄金属の研磨くず及び切削くず等が含まれるものであること。
(13) 令第2条第7号に掲げる産業廃棄物……「ガラスくず」という。ガラスくず、耐火れんがくず、陶磁器くず等が含まれるものであること。
(14) 令第2条第8号に掲げる産業廃棄物……高炉、平炉等の残さい、キューポラのノロ、ボタ、不良鉱石、不良石炭、粉炭かす等が含まれるものであること。
(15) 令第2条第9号に掲げる産業廃棄物……「がれき類」という。工作物の除去に伴って生じたコンクリートの破片、レンガの破片、その他各種の廃材の混合物を含むものであって、もっぱら土地造成の目的となる土砂に準じた物を除くものであること。ただし、地下鉄の工事現場等から排出される含水率が高く、粒子の微細なでい状のものにあっては、無機性の汚でいとして取り扱うものであること。
(16) 令第2条第10号に掲げる産業廃棄物……「家畜ふん尿」という。産業廃棄物に該当するものは、日本標準産業分類による小分類015に該当する事業の事業活動に伴って生ずる動物のふん尿(畜舎廃水を含む。)であって、牛、馬、豚、めん羊、山羊、にわとり、あひる、がちょう、うずら、七めん鳥、兎及び毛皮獣等のふん尿が含まれるものであること。なお、家畜ふん尿を動物のふん尿処理施設において処理したものも、家畜ふん尿に該当するものであること。
(17) 令第2条第11号に掲げる産業廃棄物……「家畜の死体」という。産業廃棄物に該当するものは、日本標準産業分類による小分類015に該当する事業の事業活動に伴って生ずる動物の死体であって、動物の種類は、ふん尿の場合と同様であること。
(18) 令第2条第12号に掲げる産業廃棄物……「ダスト類」という。産業廃棄物に該当するものは、大気汚染防止法に規定するばい煙発生施設において発生するばいじんであって、集じん施設において捕捉されたものであること。なお、集じん施設の集じん方法は、乾式、湿式のいずれの方法であるかは問わないものであること。