法令

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告示

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廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について
(昭和46年10月16日)



本則



厚生省環境衛生局長から各都道府県知事・各政令市市長あて
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号、以下「廃棄物処理法」という。)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号、以下「令」という。)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号、以下「規則」という。)の施行については、別途厚生省環第784号事務次官通知により指示されたところであるが、なお、下記事項に留意のうえ、運用にあたって遺憾のないようにされたい。

第1 総則的事項
 1 目的
   廃棄物処理法は、廃棄物を適正に処理し、生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とするものであり、清掃法に比較し、あらたに公害対策基本法に規定する生活環境の保全ということがその目的として加えられたが、これは、廃棄物の収集、運搬及び処分に先立っての排出についての規制を意図するものではなく、廃棄物の適正な処理を行なうための処理体系の整備を図ることによって、生活環境の保全に努めるべき旨を規定したものであるので、法の運用にあたっては、この趣旨を十分に理解したうえで行なわれたいこと。
 2 廃棄物の定義
  (1) 廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、汚でい、廃油、ふん尿その他の汚物又はその排出実態等からみて客観的に不要物として把握することができるものであって、気体状のもの及び放射性廃棄物を除く。固形状から液状に至るすべてのものをいうものであること。
    なお、次のものは廃棄物処理法の対象となる廃棄物でないこと。
   ア 港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するもの
   イ 漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動を行なった現場附近において排出したもの
   ウ 土砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの
  (2) 一般廃棄物とは、産業廃棄物以外のすべての廃棄物をいい、産業廃棄物とは、単に営利を目的とする企業活動にとどまらず、公共的事業をも含む広義の事業活動に伴って排出された廃棄物のうち、燃えがら、汚でい、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類及び令第1条第1号から第13号までに掲げる廃棄物をいうものであること。
    なお、令第1条第13号に掲げる廃棄物は、廃棄物処理法第2条第3項に掲げる6種類の産業廃棄物及び令第1条第1号から第12号までに掲げる12種類の産業廃棄物を処分するために処理したものであって、その形態又は性状からみてこれらの18種類の産業廃棄物に該当しないものに変化したものも産業廃棄物であることを規定したものである。
 3 事業者の責務
  (1) 事業者は、その事業活動に伴って排出されるすべての廃棄物について、その廃棄物が産業廃棄物に区分されるか一般廃棄物に区分されるかにかかわらず、全般的に処理責任を有するものであること。
  (2) 事業者は、その事業活動に伴って生ずる製品等が廃棄物となった場合において、市町村の清掃事業等が処理困難な事態に至らないようにしなければならないものであること。したがって、地方公共団体において容器、包装その他の問題に関し、事業者に対し、廃棄物処理の立場から指導又は助言を行なうことができること。
 4 地方公共団体の責務
  (1) 市町村は、清掃事業の実施にあたっては、ごみ処理施設、し尿処理施設その他の廃棄物の処理施設の整備及び運営の近代化を図り、効果的な清掃事業を実施しなければならないこと。
  (2) 都道府県は、市町村の清掃事業が効果的に遂行されるように必要な援助を与えることに努めるとともに、その管轄区域内の産業廃棄物の全般的な収集、運搬及び処分の状況を把握し、事業者、廃棄物の処理業者又は地方公共団体の廃棄物の処理事業によって、管轄する区域の全域にわたって産業廃棄物の適正な処理が行なわれるようにしなければならないこと。
 5 地域住民の義務
  (1) 市町村の住民は、その占有し又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めるとともに、市町村長が定める計画に従って建物内の大掃除をしなければならないこと。
  (2) 公園、広場その他の公共の場所を利用する者及び当該公共の場所を管理する者は、当該公共の場所を常に清潔に保つように努めなければならないこと。
第2 略
第3 産業廃棄物に関する事項
 1 産業廃棄物に関する処理計画
  (1) 都道府県知事は、その管轄する区域内の産業廃棄物の適正な処理を促進するため、当該産業廃棄物全般にわたって処理計画を策定しなければならないこと。
  (2) 処理計画には、産業廃棄物処理施設及び最終処分地の適正配置に関する計画、中継基地の配置を含む広域輸送計画等、産業廃棄物の処理に関する基本的事項を定めなければならないこと。
  (3) 処理計画の策定にあたっては、処理の実施に関して緊急度の高い最終処分地の確保及び環境汚染源として重要な廃棄物の処理施設(例えば廃油処理施設)の設置に係る部分より早急に着手すること。
  (4) 処理計画に関する事業者、産業廃棄物処理業者及び地方公共団体の処理の分担範囲の調整を可及的すみやかに図らなければならないこと。
  (5) 処理計画に定める産業廃棄物の処理は、令第3条又は第6条に規定する処理基準に準拠するものとし、最終処分にあたっては、埋立処分を行なうのに特に支障がないと認められる産業廃棄物にあたっては、海洋投入処分を行なわないように努めること。
 2 事業者の産業廃棄物の処理
  (1) 事業者は、その産業廃棄物の処理を産業廃棄物処理業者又は地方公共団体が実施する処理事業に委託する場合を除き、自らの責任において行なわなければならないこと。
  (2) 事業者は、その産業廃棄物の処理を行なうにあたっては、令第6条に規定する産業廃棄物の収集、運搬及び処分の基準に従うとともに、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、規則第8条に規定する産業廃棄物の保管の基準に従って、保管しなければならないこと。
 3 地方公共団体の産業廃棄物の処理
  (1) 市町村及び都道府県は、その管轄区域内における企業活動の実態、産業廃棄物の排出実態等を考慮し、広域的に処理することが適当であると認められる産業廃棄物その他地方公共団体による処理が生活環境の保全の見地から必要であると認められる産業廃棄物について、その処理事業を実施することができるものであること。
  (2) 市町村又は都道府県が産業廃棄物の処理事業を実施する場合には、産業廃棄物処理施設の設置に要する費用その他産業廃棄物の処理に要する費用は原則として事業者から徴収するものであること。この場合において、通常は、施設の減価償却に必要な経費を利用料金に算入して事業者に対し費用負担を求めることとなるが、事実上利用者の大部分が特定される場合においては、施設の設置に要する費用を事業者に負担させることができるものであること。
 4 産業廃棄物処理業
  (1) 現在、事業者の委託を受けて産業廃棄物の処理を業としている者が存在するが、廃棄物の処理が必らずしも適正に実施されず、不法投棄等が頻発している実情にかんがみ、産業廃棄物の処理を業として行なおうとする者は、都道府県知事又は政令市市長の許可を受けなければならないものとしたこと。
  (2) 産業廃棄物の処理業者であっても、もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物、すなわち、古紙、くず鉄(古銅等を含む)、あきびん類、古繊維を専門に取り扱っている既存の回収業者等は許可の対象とならないものであること。
  (3) 産業廃棄物処理業の許可は、許可を受けようとする者の申請に基づいて行なわれるものであるが、産業廃棄物処理業者がその業務を申請時の業務内容以上に拡大しようとするときは、業の廃止届を提出させ、改めて許可の申請を行なわせること。
  (4) 産業廃棄物処理業者は、令第6条に規定する産業廃棄物の収集、運搬及び処分の基準に従って、産業廃棄物の処理を行なわなければならないこと。
 5 産業廃棄物処理施設
  (1) 令第7条各号に定める産業廃棄物処理施設を設置しようとする者は、その工事に着手する前に都道府県知事又は政令市の市長に届け出なければならないこと。
  (2) 既設の産業廃棄物処理施設については、都道府県知事又は政令市の市長は、事業者から早急に報告の徴収を行ない、その実態を把握すること。
  (3) 産業廃棄物処理施設は、維持管理基準に従って維持管理を行なうとともに、維持管理に関する技術上の業務を担当させるため、技術管理者を置かなければならないこと。
第4 その他の事項
 1 投棄禁止
  (1) 市町村が一般廃棄物の処理を行なう必要があるものとして一定の計画を策定する廃棄物処理法第6条第1項に規定する区域及びその地先海面並びにその他の区域においても下水道及び河川その他の公共の水域にあっては、一般廃棄物の投棄は禁止されること。
  (2) 地先海面を含むわが国の全域において産業廃棄物の投棄は禁止されること。
  (3) 地先海面とは、わが国の領海すなわち、海岸から三海里までの海域及び内湾、内海を指すものであること。
  (4) その他公共の水域には、農業用排水路が含まれるものであること。
 2 報告の徴収
  (1) 都道府県知事又は市町村長は、廃棄物処理法の施行に必要な限度において、関係者から必要な報告を求めることができること。
  (2) 都道府県知事又は政令市の市長が報告を求めることができる者は、事業者、産業廃棄物処理業者及び一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設の管理者であること。
  (3) 市町村長が報告を求めることができる者は、事業者、一般廃棄物処理業者及びし尿浄化槽清掃業者であること。
 3 立入検査
  (1) 都道府県知事又は市町村長は、廃棄物処理法の施行に必要な限度において、環境衛生指導員その他の職員をして関係する場所に立入検査を行なわせることができること。
  (2) 都道府県知事又は政令市の市長がその職員をして立入検査を行なわせることができる場所は、事業者の産業廃棄物の保管若しくは処分の場所、産業廃棄物処理業者の事務所又は事業場及び一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設のある土地又は建物であること。
  (3) 市町村長がその職員をして立入検査を行なわせることができる場所は、一般廃棄物処理業者又はし尿浄化槽清掃業者の事務所又は事業場であること。
 4 技術管理者
  (1) 一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設の管理者は、当該施設の維持管理に関する技術上の業務を担当させるため技術管理者を置かなければならないものであること。
  (2) 技術管理者は、規則第17条に定める資格を有するものでなければならないものであるが、産業廃棄物の処理に関する技術上の実務に従事した経験には、従来工場又は事業場において産業廃棄物を排出し又は処理する過程において技術上の実務に従事した経験が含まれるものであること。