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告示

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廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部改正について
(平成9年12月26日)



本則


厚生省生活衛生局水道環境部長から各都道府県知事・政令市市長あて
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成9年法律第85号。以下「改正法」という。)は、平成9年6月18日に公布されたが、その一部は平成9年12月17日から施行されたところである。これに伴い、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令(平成9年政令第353号。以下「改正政令」という。)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成9年厚生省令第85号。)が同月10日に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成9年厚生省令第93号)が本日、それぞれ公布され、それぞれ同月17日、本日から施行されたところである。
 改正法の趣旨及び内容については、別途、厚生省生衛第1112号により厚生事務次官から通知されたところであるが、これらの運用に当たっては、なお、下記の事項に留意の上、遺漏のないようにされたい。

第1 総論
  今般の改正は、最終処分場の逼迫、不法投棄等の廃棄物処理をめぐる諸問題を踏まえ、廃棄物の適正な処理を確保するため、総合的な対策を講ずるものである。
  このため、多量排出事業者にかかる減量化の推進、リサイクル推進のための規制緩和の措置により減量化・リサイクルを推進するとともに、施設設置手続きの明確化、廃棄物処理施設の維持管理の強化、廃棄物処理業者にかかる許可要件の強化、的確な行政実施のための情報交換の促進等廃棄物処理にかかる信頼性・安全性の向上のための措置や、産業廃棄物管理票制度の拡充、不法投棄を中心とした罰則の大幅な強化、原状回復のための措置等不法投棄対策のための措置を講ずることとしている。
  今般の改正においては、廃棄物処理施設の設置をめぐり地域での紛争が多発している状況を踏まえ、地域ごとの生活環境の保全への配慮を組み込んだ施設の設置手続きをはじめ、廃棄物処理施設に係る廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)による規制を強化・充実するとともに、これと併せて廃棄物処理基準等の諸基準の強化・明確化を図ることとしているところである。
  従来、法による規制を補完すること等を目的として、多くの都道府県及び政令市において要綱等に基づき独自の行政指導が行われてきたところと承知しているが、各都道府県及び政令市におかれては法改正及び基準強化の趣旨、目的等を踏まえ、改正された法に基づく規制の円滑な施行に努められるとともに、周辺地域に居住する者等の同意を事実上の許可要件とする等の法に定められた規制を越える要綱等による運用については、必要な見直しを行うことにより適切に対応されたい。
第2 廃棄物の減量及び再生利用に関する事項
 1 多量の産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の排出事業者の処理計画
   都道府県知事は、区域内において多量に産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物を排出する事業場を設置する事業者に処理計画の策定を指示できることとされているが、廃棄物の減量化のための取組を一層推進する観点から、この処理計画において必ず減量に関する事項を盛り込むこととしたので、事業者を適切に指導されたいこと。
   なお、都道府県知事が計画の策定を指示する際の目安となる指針については、別途作成し通知すること。
 2 廃棄物の再生利用に係る認定
  (1) 廃棄物の減量化を推進するため、生活環境の保全上支障がない等の一定の要件に該当する再生利用に限って厚生大臣が認定する制度を設け、認定を受けた者については処理業及び施設設置の許可を不要とする規制緩和措置を講じたこと。なお、本制度の対象となる再生利用は廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)に基づき告示されたものに限ることとなっており、その他の再生利用については、その内容に応じ処理業及び処理施設の許可を得て、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの処理を業として行う者として又は指定を受けて行われるものであることについては、従前と変わりがないこと。
  (2) 廃棄物の適正な処理を確保するため、認定を受けた者についても処理基準の遵守、帳簿の記載及び保存の義務等の規制は適用されるものであり、また、都道府県知事又は市町村長は、認定を受けた者に対する報告徴収(法第18条第1項)、立入検査(法第19条第1項)、改善命令(法第19条の3)及び措置命令(法第19条の4)等の権限を有していることから、これらについて適切に実施されたいこと。なお、厚生大臣が認定を行った者については、都道府県知事及び関係の市町村長あて通知することとしていること。
第3 廃棄物処理業者に関する事項
 1 廃棄物処理業の欠格要件の強化
  (1) 廃棄物処理業者の一層の資質の向上と信頼性の確保を図るため、その処理業の許可に係る欠格要件として、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に違反した者を追加するとともに許可を取り消された法人の役員であった者(取消に係る聴聞の通知があった日以前60日以内に役員であった者を含む。)で当該取消しから5年を経過しないものを追加したこと。
  (2) また、欠格要件に係る役員の範囲に、相談役、顧問等の名称に関わらず法人に対し実質的に支配力を有していると認められる者が含まれることとしたが、都道府県等における許可に際しての審査に資するよう、相談役又は顧問若しくは一定比率以上の株式を有する株主又は一定比率以上の出資をしている者に該当する者の氏名及び住所等を記載した書類を廃棄物処理業の許可の申請書に添付することとしたこと。
  (3) 上記も踏まえ、廃棄物処理業の許可の申請について、当該申請者が法第7条第3号第4項に該当しないことの審査を厳格に行われたいこと。
 2 名義貸しの禁止
   名義貸しとは、無許可業者等に対し許可業者が許可証を貸与すること等により外見上許可業者としての体裁を整えさせ、許可業者の名義をもって業を行わせることをいうが、このような行為は、無許可営業を助長し、法の根幹をなす廃棄物処理業の許可制度の信頼を失墜させる行為であることから、これを禁止し、これに違反した許可業者に対して無許可営業の場合と同様の罰則を科すこととしたこと。
 3 一般廃棄物収集運搬業及び一般廃棄物処分業の許可の更新期間の延長
  (1) 平成9年3月の閣議決定により再改定された規制緩和推進計画(平成7年3月閣議決定)を踏まえ、一般廃棄物収集運搬業及び一般廃棄物処分業の許可の更新期間を1年から2年に改めること。
  (2) この許可の更新期間の延長は、平成10年4月1日から施行されること。なお、同日以降に許可の申請を行う者に係る当該許可の更新期間のみならず、同日において既に許可を有している者に係る当該許可の更新期間についても延長されるものであるので、留意されたいこと。
 4 産業廃棄物の処理の受託の禁止
  (1) 事業者が無許可業者に産業廃棄物の処理を委託した場合、事業者については委託基準違反となるが、受託した無許可業者については、処理の実行行為を行わずに第三者に処理を再委託したとき等には罰する仕組みがないとの問題が指摘されていたことから、許可を受けた産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者等以外の者は、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を受託してはならないこととし、無許可業者が産業廃棄物の処理の委託を受け、これをさらに第三者に再委託する行為を防止することとしたこと。
  (2) 産業廃棄物の処理を受託できる者としては、許可を受けた産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者のほか、法第14条第1項ただし書等に規定する専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分を業として行う者等を定めたこと。
  (3) これに違反して産業廃棄物の処理を受託した者に対して、委託基準違反と同様の罰則を設けたこと。
第4 罰則の強化
  産業廃棄物の不法投棄等が横行している背景には、罰金額に比べて不法投棄に伴う不当利得が大きく、罰則の抑止効果が必ずしも十分に働いていないことがあるとの指摘を踏まえ、産業廃棄物の不法投棄に対する罰則等を大幅に強化したこと。特に、法人が絡む不法投棄事案については、反復継続して行われ大規模になるものがみられることから、行為者に対する罰金額の上限と切り離し、法人に対して十分な抑止効果を発揮できる罰金額としたこと。なお、詳細については、別添を参照されたいこと。
第5 情報交換の促進
 (1) 国の責務として、都道府県等の産業廃棄物に係る事務処理が円滑に実施されるよう、国と都道府県等及び都道府県等相互間の情報交換をより緊密なものとするため、ブロック会議の開催や厚生行政総合情報システム(WISH)を活用した産業廃棄物行政に関する情報の提供を進めていく予定であり、必要な協力を願いたいこと。
 (2) さらに、国において、情報交換の結果を踏まえ、事例集の策定及び提供並びに必要に応じ基準の明確化等の措置を講じていく予定であること。
第6 その他
 (1) 改正法及び改正政令のうち、第2、第3の1、2及び4、第4並びに第5に掲げる事項は平成9年12月17日から施行され、第3の3に掲げる事項は平成10年4月1日から施行されること。
 (2) 改正法のうち施設設置手続きの明確化、廃棄物処理施設の維持管理の強化等及び改正政令のうち建設系の廃棄物に係る定義の見直し、PCB汚染物等の処理基準の見直し、埋立処分基準の強化、産業廃棄物等の委託及び再委託基準の強化及び産業廃棄物適正処理センターの委託の基準については平成10年6月17日から、改正法のうち産業廃棄物管理票制度の拡充については平成10年12月1日から、改正政令のうち保管基準の見直しについては平成11年4月1日からそれぞれ施行することとされたが、これらの施行に当たっては別途通知することとしていること。
別添 略