循環経済新聞・バックナンバー“2010年10月度”

10月4日号ダイジェストニュース

◇貿易動向 廃プラ輸出がスローに
年内は昨年ペースで推移


廃プラ輸出に陰りが出てきた。円高による輸出不利益の影響が無視できないとの見方がある一方で、日中関係の悪化による摩擦で輸出の動きがスローになってきた。9月の廃プラ輸出は、中国の国慶節(建国記念日)で、10月1日前後1週間ほど休暇期間に入るため、例年、かけこみで輸出してきたが、今年は円高に尖閣諸島問題も加わり「ゆっくりしたペース」(輸出業者)と、動きが鈍い。



◇機密文書処理と融合
高品質RPF月間700t製造/塩素濃度3000ppm以下に

- 上越マテリアル -

上越マテリアル(本社・新潟県上越市、小池作之社長)は、日本RPF工業会の規格に準じた高品質なRPFを月間約700トン製造している。RPF原料を汚れが少ないものに限定することで、約7000キロカロリー/キログラム、塩素濃度3000ppm以下の品質を維持している。



◇B5の製造事業を開始
10月から月3万リットル目指す

- KOC -

石油販売などを手掛けるKOC(大阪府泉大津市、岸部寛志社長)は9月10日付けで、近畿経済産業局から軽油特定加工業者の認可を受け、バイオディーゼル燃料(BDF)を5%混ぜた軽油「B5」の製造を開始した。1カ月当たり3万リットルのB5製造を目指す。物流会社や建設業者などを対象に、10月中旬から販売を行っていく予定だ。



◇年間1000tの大型設備を計画
家電ダストから樹脂を選別

- パナソニックエコテクノロジーセンター -

パナソニックグループのパナソニックエコテクノロジーセンター(兵庫県加東市)は、家電のリサイクル工程で発生するシュレッダーダスト(SR)からポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂を選別、回収する年間1000トン規模の実稼働プラントの導入を計画する。年間300トンの実証設備による試験では、3樹脂をそれぞれ99%以上の高純度で回収できるという結果が得られた。



◇アジア視野に日中協力
自動車リサイクル/中国6大メーカーなど参画

- 中国自動車リサイクル技術創新戦略連盟 -

中国自動車リサイクル技術創新戦略連盟は、日本と中国、韓国、インドなどの世界の自動車生産拠点となるアジアでのリサイクルに係る市場の開拓や技術譲渡などを目的に、日本の関連企業、大学など研究機関との交流、協力などを行うことになった。日本窓口は通達インターナショナル(東京都武藏野市、龍偉社長(工学博士))が事務局になり、連盟の活動報告やイベントなどのコーディネートを行う。



◇苫小牧市内に工場を新設
フライアッシュから路盤材

- 越智建設 -

越智建設(北海道苫小牧市、飯坂一男社長) が、石炭火力発電所から排出されるフライアッシュを主原料に製造するリサイクル路盤材「フライ・クリーン」(FC)の出荷が好調だ。舗装の下層路盤材や凍上抑制材、基礎砂利などに利用されており、2003年に製造を始めて以来、民需を中心に出荷を伸ばす。これを受けて昨年12月、苫小牧市内に製造工場を新設。今年度は出荷ベースで年間8万トンを見込んでいる。



◇オフィスでコピー紙を再生
来年4月から販売開始へ

- デュプロ精工 -

事務機器メーカーのデュプロ精工(和歌山県紀の川市、池田弘樹社長)は、オフィスで使用したコピー紙をリサイクルできる小型製紙装置「RECOTiO(レコティオ)」を開発した。2011年4月から販売を開始する予定。「エコロジー」と「機密保持」、一石二鳥の効果をアピールし、初年度販売台数50台を目指している。



◇支障除去15事案を公表
自治体の支援希望を優先付け

- 環境省 -

環境省は9月17日、第8回「支障除去等に関する基金のあり方懇談会」(座長・浅野直人・福岡大学法学部教授)の会合で、2010年度以降の産業廃棄物適正処理推進基金による支障除去を行う事案15を公表。支援必要額の総額は36億9495万5000円となった。



◇紙おむつ処理システム開発
系列病院で実証試験に成功

- NTT東日本/鈴与 -

NTT東日本が運営するNTT東日本関東病院(東京・品川)は、国内で初めて院内で発生した紙おむつなどを外部に委託せずにすべて院内で処理することに成功した。同社と鈴与が共同開発した紙おむつ処理システム「Ecolution-2NS」を2009年4月から同病院に導入して実証実験を行ってきた。その結果、年間の紙おむつ廃棄量を12トン削減。CO2排出量も500キログラム削減した。



10月11日号ダイジェストニュース

◇動脈、静脈コラボで一大拠点
原料、RPF等の大型施設完成/機密処理と製紙をリンク

- エコポート九州 -

動脈と静脈のコラボによるリサイクル一大拠点が誕生した。日本紙パルプ商事と有価物回収協業組合石坂グループが出資したエコポート九州(熊本市新港)は、再生可能エネルギーを採用した中間処理工場を総工費約40億円で完成。約8400坪の敷地に、木質ペレット工場や機密書類処理・製紙工場、RPF工場、廃プラスチックマテリアル工場、廃プラスチック1次選別工場、事務所が並ぶ大型施設となった。



◇駅ごみを選別、資源化
処理能力1日当たり63t/繁忙期用の積み替え保管も

- JR東日本 -

東日本旅客鉄道東京支社は10月1日、東京貨物ターミナル駅構内に「JR東日本東京資源循環センター」(東京・品川)を開所した。主に東京支社内の駅や列車などから排出される缶、びん、PET、古紙、混在ごみなどを対象に資源化を行う。同センターの処理能力は1日当たり63トン。管理・運営は、グループ会社の東日本環境アクセスが担当する。



◇ペレットでファンド
付加価値を付けて販売

- ウッドペレット -

ウッドペレット(新潟県南魚沼市、桐生聡悦社長)は自社の製造した木質ペレット燃料について、ユーザーとなる企業が創出した化石燃料代替のCO2削減量を実測して証券化する共同の取り組みに参画、来年をめどに本格的な事業として始めることになった。



◇廃飲料、化粧品も処理
商品廃棄の扱いを拡大/未開梱での処理サービスも

- 有明興業 -

有明興業(本社・東京、松岡和人社長)は、廃棄商品の処理事業で什器類や電子媒体などの従来品に加えて、廃飲料や化粧品サンプルの扱いを始めた。



◇複合布エアバッグリサイクル
世界初、分離技術を開発

- ユニチカ -

ユニチカは、自動車用エアバッグの製造過程で発生する複合布の端材をリサイクルする技術を開発した。東工コーセンと共同で開発したもので、複合布のナイロン部とシリコン部を分離し、それぞれ自動車用パーツの材料を中心として再利用を提案していく。



◇都内に中間処理施設を開設
産廃処理事業に新規参入

- 遠藤商事 -

遠藤商事(本社・東京都国分寺市、遠藤隆之社長)は同社グループ初となる中間処理施設「リサイクルプラントENDOH」(同武蔵村山市)を立ち上げた。同社は主にベンチ、遊具などの組み立て、取り付け工事などの建築事業、グループのサン・エキスプレス(同国分寺市)は貨物運送事業から引っ越し、一般・産業廃棄物収集運搬事業などを展開している。事業領域の拡大やグループ内で取り扱う廃棄物処理の内製化を目的に産廃処分業に参入した。



◇新型自走式スクリーン
メンテナンス性を大幅向上

- 日立建機 -

日立建機は破砕物や土砂、廃棄物などの選別向けとして中型自走式スクリーン「VR512-2」を新たに市場に投入した。従来機種の特長をそのままに、スクリーンボックスのメンテナンス性を大幅に向上させたもので、国内外を合わせて年間10台の販売を目標に売り込んでいく。



◇環境貢献活動をウェブで紹介
県内企業に呼びかけ

- 愛知県 -

愛知県は県内企業の環境分野の社会貢献活動を紹介するウェブサイト「環境分野における企業の社会貢献活動ウェブサイト(仮称)」を作成、現在、掲載に賛同する企業を募っている。



◇助成事業、締め切り迫る
“自前の工夫光るものを応援”

- (財)産業廃棄物処理事業振興財団 -

(財)産業廃棄物処理事業振興財団(樋口成彬理事長)が募集している「2010年度産業廃棄物処理助成事業」の締め切りが今月末と迫っている。同事業は新しい技術開発や起業を後押しする制度。2005年度以後の助成実績は11件で、その大半が継続され、収益が上がっている事業もある。「率直に問い合わせくれれば一歩前進できるよう、前向きにアドバイスしていきたい」(同財団担当者)と話している。



10月18日号ダイジェストニュース

◇改正廃棄物処理法
政省令案パブコメ開始/12月初め政令公布へ


環境省は10月7日、廃棄物処理法の施行令の一部を改正する政省令案を公表、パブリックコメントを開始した。8月3日の第13回中央環境審議会廃棄物処理制度専門委員会(委員長・田中勝・鳥取環境大学教授・サステイナビリティ研究所長)で示された素案をベースにしているが、新たに廃石綿等の埋立処分基準の見直しが盛り込まれている。パブリックコメントの締め切りは11月8日。同省廃棄物・リサイクル対策部制度企画室によると、政令については11月中をめどに閣議決定などの手続きを経て12月初めに公布となり、省令については来年1月頃公布となる予定。



◇PETボトル引取115%も
製品販売量が前年割れ

- 日本容器包装リサイクル協会 -

日本容器包装リサイクル協会は、市町村からの引取状況や再商品化製品販売量を記録した再商品化実績報告(総括表)を明らかにした。8月単月で、市町村からの引取状況は、各品目とも前年を超えており、PETボトルは最大伸び率で前年115%となった。再商品化製品販売量は、逆にPETボトルだけが前年割れの96.3%を記録した。



◇リサイクル肥料の認証取得
食品残さ受入量拡大へ

- オンリー -

大栄工業グループのオンリー(三重県伊賀市、山本文生社長)は、食品残さを原料に製造するたい肥「みのりくん」について、(財)日本土壌協会から9月21日付で食品リサイクル肥料の認証を受けた。食品リサイクル製品―認証・普及制度に基づくもので、製品には識別マークが付与される。これを機に、食品残さ受入量の拡大を積極的に進めていく考えだ。



◇第一種フロン類を回収破壊
年間60tの処理能力持つ

- 北陸エアコン -

空調設備の施行・販売などを手掛ける北陸エアコン(石川県金沢市・山嵜慎一社長)はフロン類の破壊処理事業を開始し、10月1日からプラントを稼働させた。処理能力は年間60トンで、他社からフロンを回収して破壊する事業としては、北陸地域で初の取り組みとなる。



◇処分業者の許可更新など追加
廃棄物マネジメントサービス拡大/NTT-MEと共同で

- 伊藤忠メタルズ -

伊藤忠メタルズ(本社・東京、岡正樹社長、金属リサイクル事業部)はNTT-ME(本社・東京、大木一夫社長)と共同で、電子マニフェスト用ソフト「Smart. i-recycle」を開発した。伊藤忠メタルズが手掛ける廃棄物マネジメントサービス事業の一環で、廃棄物の適正処理と排出事業者の管理業務の合理化、コンプライアンス体制補完を目的とする。



◇資源循環センターが稼働
ゼロエミ加速へ既設施設を統合/今後は自社解体材も

- 積水ハウス -

積水ハウスは、自社住宅の新築やリフォーム施工現場から排出される建設系廃棄物のリサイクル処理について、同社の関連会社であるアルメタックス(大阪市北区、引間龍冶社長)に委託する。これに伴い、アルメタックスは滋賀県栗東市内の自社工場跡地に「積水ハウス栗東資源循環センター」を建設、10月6日から本格稼働を開始した。



◇スマートモバイルを利用
浄化槽維持管理で新商品/保守点検・清掃点検などに

- ジーテック -

環境ソリューションシステムの開発、販売を手掛けるジーテック(本社・広島市、田中雅彦社長)は、浄化槽の保守点検・清掃点検向けの新商品「ミスターアクアSモバイル」を発売した。浄化槽の保守点検結果や清掃記録の登録、記録票・作業伝票・請求書等の印刷が現場で行えるもので、帰社時の作業日報の登録も備える現場端末システムの新バージョンになる。



◇優良認定新たに2社
次回12月1日から申請受付

- 徳島県 -

徳島県は9月21日、2010年度第1回の優良産業廃棄物処理業者として、新たにアサヒプリテック(兵庫県神戸市)とサンパイ(徳島市)の2事業者を認定した。これにより、優良認定事業者は32事業者となった。



◇在宅医廃処理の進ちょく状況
市町村回収、1割増/「心理的抵抗」が阻害

- (財)日本産業廃棄物処理振興センター/(社)日本医師会 -

在宅医療から出る非鋭利な廃棄物を回収する市町村の割合が3年前の前回調査に比べ10%増加していることが、(財)日本産業廃棄物処理振興センター(岡澤和好理事長)と(社)日本医師会が行った調査で明らかになった。全体的には取り組みが十分とはいえず、改善の余地のある状況が続いている。阻害要因として市町村側に「在宅医療廃棄物に対する心理的抵抗感を払拭できない」実情があることも浮き彫りにされた。



10月25日号ダイジェストニュース

◇経営改善の動き広がる
山梨、滋賀で検討が本格化

- 廃棄物処理センター -

公共関与の廃棄物処理センターに経営改善の動きが広がっている。現在、全国で14の施設が稼働している。当初計画していた搬入量が思うように集まらず、(財)山梨県環境整備事業団は今年4月、横内正明県知事を本部長に「廃棄物最終処分場対策本部」を立ち上げた。



◇PPメインに月間500t
200メッシュで高品質に/国内ユーザーに太いパイプ

- 金子合成 -

金子合成(本社・埼玉県宮代町、金子昌平社長)は、使用済みの梱包バンドやプラスチックコンテナなどポリプロピレン(PP)を主体に、再生ペレットを月間400-600トン生産、最近は芝生の保護材向けの需要が増えた。



◇下水汚泥由来のバイオガス
全国初、家庭へ供給開始

- 神戸市/神鋼環境ソリューション/大阪ガス -

神戸市、神鋼環境ソリューション、大阪ガスは10月12日、神戸市東灘処理場に下水汚泥由来のバイオガスを都市ガスとして使えるように精製する設備を完成。大阪ガスの導管に直接注入する事業を本格的に開始した。



◇クリニックなど小口収集を展開
約2000件のネットワークを構築

- ナリコー -

病院から出る廃棄物とは別に、クリニックなどの小口の収集・処理も貴重なビジネスニーズだ。千葉県を中心に医療廃棄物や産業廃棄物を処理しているナリコー(千葉県成田市、加瀬佳正社長)は、県の医師会などから推薦を得て、クリニックなどの小口収集に力を入れてきた。現在、約2000件のネットワークを構築している。



◇来年2月からペレット混焼
CO2排出量15万tを削減

- 常磐共同火力 -

常磐共同火力は来年2月から、勿来発電所(いわき市)で石炭の代替燃料として木質ペレットの利用を始める。初年度は4万4000トンを混焼する。



◇汚染土処理業の許可取得
浄化施設では神戸市内初

- セーフティーアイランド -

産業廃棄物の収運業や中間処理業などを手掛けるセーフティーアイランド(兵庫県神戸市、上野公義社長)は10月5日、改正土壌汚染対策法の定める土壌汚染の業許可を取得した。



◇先進的な施設を助成
10年度追加募集開始

- 島根県 -

島根県は、産業廃棄物の排出抑制や減量化、リサイクルなどに効果が高く、先進性を有する施設などを新たに設置または改造する費用の一部を助成する事業を実施しているが、2010年度事業の対象者を追加募集する。募集期間は11月5日(金)まで。



◇森林資源の有効活用に向けて
林業を取り巻く課題/新たな動向を探る

木材価格の低迷や安価な外国産材の普及、就業人口の減少、高齢化などの複数要因が重なり、わが国の森林資源の多くは有効活用されていない。その中で、地球温暖化対策、再生可能エネルギーの普及をエンジンに、国産材の利用拡大、林業分野の活性化につなげるため、実証事業や事業化に乗り出す企業も増えている。



◇未利用資源を取り込め
草木系バイオマス利活用関連機器

林地残材の効率的な伐採、搬出とその有効利用に向けて、実証試験や事業化に乗り出す組合、企業が増えている。各社の取り組みを追った。


◇「商品廃棄損」とは何か
構造的課題がより複雑化/特集・商品廃棄

- 寄稿 公認会計士・税理士 大仲 清 -

長引く景気低迷で、消費者の財布の紐が固くなったと言われて久しい。それでも、メーカーや小売の業界は、さまざまな手法で売り上げ、利益の向上を図らなければ、厳しい市場を生き残れない。



◇機密抹消と再資源化を両立
市場経済を支える受け皿/商品廃棄処理の行方

商品廃棄の処理は、排出事業者=メーカー・小売にとって、通常の産業廃棄物とは扱いが違う。最も大事なのは企業名、ブランド名が抹消されることで、近年はその処理に一層の信頼性を求めるようになっている。



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