循環経済新聞・バックナンバー“2011年1月度”


1月1日号ダイジェストニュース

2011新春特別号No.1

◇静脈産業育成元年がスタート

低炭素と資源循環のミックスで


長期低迷を続ける日本経済。昨年6月、閣議決定された「新成長戦略」では2020年までに90年比で温室効果ガス25%削減の中期目標の実現を掲げており、低炭素社会構築の流れは今後も変わらない。廃棄物ビジネスでも低炭素と資源循環をミックスさせた、付加価値の高いサービスの提供などが期待されてくる。一方、今年4月から施行される改正廃棄物処理法は史上初めて、産廃業者を静脈産業として振興・育成する施策が盛り込まれた。国による静脈産業育成元年のスタートと位置づけられる。



◇新春インタビュー 次回の法改正へ今から議論を
(社)全国産業廃棄物連合会会長 石井夫氏に聞く
新しい業界のあり方を一丸となって


昨年6月、(社)全国産業廃棄物連合会の第4代会長に就任した石井夫氏((社)千葉県産業廃棄物協会会長、市川環境エンジニアリング社長)。今年4月から施行される廃棄物処理法について史上初めて処理業界の要望が色濃く反映されたと評価する一方、実際の運用にあたり、地方自治体による行き過ぎた制度運用とならないよう、制度改正の原理原則を基に、迅速かつ適切に対応していく考えを強調。また、リーマンショック後の経済情勢は構造的な変化の過程であり、廃棄物の量が減少する中で新しい処理業界のあり方を業界が一丸となって議論し、次回の制度改正に向け論点、方向性についての議論を始めると語った。さらに、青年部の活躍を賞賛、女性部会の今後にも期待を寄せた。



◇新春インタビュー 2011年度の産廃施策
環境省産業廃棄物課長 廣木雅史氏に聞く
一部の許認可を緩和へ/規制強化と併せて実施


2010年の廃棄物処理法改正に伴い、今年4月から改正法と施行令、施行規則が施行される。今回の法令改正は、罰金を最高3億円にまで引き上げるなど規制強化を図る一方で、産業廃棄物収集運搬業の許可の合理化や処理業に係る欠格要件の連鎖への歯止めなど一定の規制緩和もなされることが大きな特徴だ。廃石綿等や石綿含有廃棄物への対策、微量PCB含有廃棄物処理などまで、廣木雅史環境省産業廃棄物課長に2011年の産業廃棄物施策を聞いた。



◇2010年の事業展開を振り返る
業際分野などへ設備投資増える/リサイクル技術の高度化が進む
難処理廃棄物の受け皿も増加/大規模施設の中長期的な計画も
業務提携、新規参入が顕著に


依然として景気の先行き不透明感が強かったこの1年。廃棄物処理ビジネスでは多くの分野で業際、新規分野への事業展開があった。 1年間の主な設備投資、事業展開の動向を振り返る



◇産業廃棄物と環境を考える全国大会
廃棄物処理法改正の岐路で開催/富山の舞台へ関係者一同に


第9回「産業廃棄物と環境を考える全国大会」(主催/(社)全国産業廃棄物連合会・(財)日本産業廃棄物処理振興センター・(財)産業廃棄物処理事業振興財団)が2010年11月17日、富山国際会議場(富山市)で開催された。テーマは「循環型社会と改正廃棄物処理法への期待」。(社)全国産業廃棄物連合会傘下の協会員など数百人が参加した。



◇全国バイオマスタウン(2010年度公表分)
公表数は280自治体を突破/多様な地域資源の活用に工夫


「バイオマス・ニッポン」の推進母体であるバイオマス・ニッポン総合戦略推進会議(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、環境省)は、地域のバイオマスの総合的・効率的な利活用を図る「バスオマスタウン構想」の募集を2004年8月末から実施している。 05年2月の第1回から10年11月の第44回まで、バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議により内容が認められて公表に至った市町村は280以上にのぼる。当初の計画では、2010年に500市町村まで拡大することを目指していたので、若干進捗は遅れている。 構想書を公表された自治体は、関係する補助金や交付金が各省庁から優先的に受けられるほか、先進地域として全国から注目されることによる地域活性化、などのメリットが得られる。2010年度(4月以降)に構想書が公表された自治体を、バイオマス情報ヘッドクォーターのデータをもとに総覧する。



◇アジアの循環資源マーケット
経済成長10%が引き起こす歪み
廃プラ輸出市場規模7倍に成長/日本のRPF中国輸出


経済と産業の発展にはさまざまな原材料が必要になるが、バージン素材を製造する設備は、樹脂の化学プラントにしても、製紙工場、高炉や電炉、すべてにわたって初期投資が大きすぎる。結果的に関心が集まる素材が「再生資源」ということになる。例えば、日本の廃プラ輸出市場は、01年に100億-120億円だったが、07年以降700億円程度まで拡大した。09年はリーマンショック後の世界恐慌の影響で600億円だったが、10年は再び700億円以上にはなることが予測されている。廃プラ事業だけで、国内雇用面でも数万人規模で影響を与えるようになったという。



◇リポート 香港・珠江デルタ地域環境ビジネス商談・視察ツアー
2010年11月2日-5日/広東省への窓口として発展


香港経済は近年、急成長を続け世界的にもトップクラスのGDPを誇り、2007年には前年比6.3%の伸びを示した。さらに中国経済が成長する中、香港は国際貿易拠点として発展するのみならず中国広東省への貿易窓口として経済発展している。 しかし、その裏では環境汚染を広東省に広げてしまうという、環境面でのリストも抱えている。その責任から、広東省を含めた珠江デルタ地域の河川・大気・土壌汚染に対し香港政府は環境改善への予算を導入するなど、香港資本の工場に対して環境意識の向上やクリーン産業を促進する動きが活発化している。ツアーでは、地域の環境トレードフェアである「エコ・エキスポ・アジア2010」の視察を始め、関連団体や現地企業を訪ね、活発な交流を展開した。4日間にわたる現地視察のもようをリポートする。



◇レアアースの概況 レアアース資源問題とは何か
中国の生産量は97%、埋蔵量は34%/供給多角化、リサイクルなど技術革新急務


資源問題のなかでも、昨今、もっとも取り沙汰されているのが希土類元素(レアアース)だ。レアメタルと並び先端技術に欠かせない資源である一方、供給先がほぼ中国のみとなっている。 資源ナショナリズムが台頭し、昨秋の尖閣諸島中国漁船衝突事件をきっかけとした中国による事実上の禁輸措置以来、資源問題の代表格として注目を集めるレアアース。安定確保やリサイクルの必要性が叫ばれる一方、断片的な報道が多く、その性質や問題の概要、経緯などはあまり知られていないのが実情だ。 そもそもどんな物質なのか、どのような産業分野で使われるのか、供給先が中国一択となっているのはなぜか――。そうした基礎知識は、供給先の開拓やリサイクル事業本格化の一助になるだろう。



◇レアアース技術動向 レアアース資源フロー確立へ
先進事例で世界をリードする日本/探鉱・抽出・代替・リサイクルが鍵


さまざまな資源問題が切迫するなかで、資源を持たない国だからこそ省資源化・省コスト化につながる技術を開発してきた日本。レアアースについてもそれは例外ではなく、メーカーや研究機関などを中心に、関連技術の開発に余念がない。 レアアース資源問題に対する技術的なアプローチとしては、「いかに効率よく経済的に取り出すか(抽出技術)」「いかに使わずに製品を作るか(使用量削減・代替材料技術)」「いかに再利用するか(リサイクル技術)」の三つが大きな課題だ。加えて「いかに探すか(探鉱技術)」という点も重要と言える。 ここでは、それぞれの技術分野について最近の事例を紹介していく。




1月10日号ダイジェストニュース

2011新春特別号No.2

◇新春インタビュー 「連携・協業化は待ったなし」

(社)全国産業廃棄物連合会青年部協議会会長 加藤宣行氏に聞く
期待される業界再編の牽引役


(社)全国産業廃棄物連合会・青年部協議会(加藤宣行会長)が展開したCO2マイナスプロジェクトは、損得でなく、まず自ら国のために動くという高い志と、できることからやっていくというわかりやすさで全国に広がった。同プロジェクトを推進してきた加藤氏は、大手企業の参入は避けられず、競争は激化すると業界の現状を分析。既存業者の連携・協業化によるネットワークづくりは待ったなしと訴える。存在感を示した青年部が、業界再編のけん引力を発揮できるかどうか今後の活躍が期待される。



◇新春インタビュー 低炭素社会構築と3R
鳥取環境大学教授・サステイナビリティ研究所長 田中勝氏に聞く
廃プラスチックは未利用燃料/ごみ発電施設は社会にとってプラス施設


低炭素社会の実現は、人類が直面する地球温暖化危機克服のための課題。ごみ処理や産業廃棄物処理分野でも、適正処理に加えた意欲的な取り組みが求められている。田中勝・鳥取環境大学教授・サステイナビリティ研究所長は、分ければ資源として住民に分別を求めてきたが、自治体の抱える事情によって、分別リサイクルの方法はさまざまであると指摘。マテリアルリサイクルに向かない、プラスチック系廃棄物は、ごみ発電の燃料として利用すべきであると強調。また、ごみ発電施設を熱エネルギー回収施設として捉え、施設の大規模化により、高効率化を進めることが重要と語った。



◇“地獄”だと思った所に生きる子どもに光
ドキュメンタリー映画「BASURA バスーラ」 四ノ宮浩監督に聞く
マニラのごみ捨て場舞台に


貧困の象徴として国際的に注目され、批判の対象となったフィリピン・首都マニラの巨大なごみ捨て場“スモーキーマウンテン”。アジアが「世界の工場」「世界の成長センター」としてクローズアップされている現在も、このごみ捨て場が提示した問題の構造は変わっていない。マニラのごみ捨て場に生きる人々を20年にわたって追い続け、ドキュメンタリー映画「BASURA」(タガログ語で「ごみ」という意味)をつくった四ノ宮浩監督に話を聞いた。



◇激変期のプラスチック処理 2009年のデータでみる
ケミカルリサイクル28%増/生産・排出減も再資源化進む
輸出は約150万tを維持


石油化学メーカー、プラスチック関連メーカーなどでつくる(社)プラスチック処理促進協会(高橋恭平会長)の調べによると、2009年の廃プラスチックの総排出量は00年以降続いた約1000万トンから9%減の約912万トンになった。リサイクルについてはマテリアルリサイクル(再生利用)が08年比6%減の200万トン、サーマルリカバリー(熱エネルギー回収)が6%減の486万トンと減少したが、ケミカルリサイクル(高炉還元材化・ガス化原料化)が28%増の32万トンに増加した。



◇激変期のプラスチック処理 東京都廃プラ対策
廃プラ埋立ゼロに挑戦/都処分場が受入停止へ
処理業も急ピッチで対応/コスト増も、値上げ厳しく


東京都中央防波堤外側最終処分場での産業廃棄物系の廃プラスチック類の受け入れが、いよいよ今年3月末で終了する。関連する産業廃棄物処理業各社は、2008年度から開始された3カ年の搬入削減期間の間に、廃プラスチック類の減量化、リサイクル化を急ピッチで進めた。しかし、処理コスト増加の一方で、排出事業者はむしろ処理費値下げを求めてくるなど現場の課題は山積したまま。この課題をクリアできなければ、処理業各社は大きなダメージを受ける。智恵とフットワークの見せ所だ。



◇激変期のプラスチック処理 オフィスなどの弁当がら
手軽さと処理は表裏一体/一廃か産廃か、扱い分かれ
極力食べて、残飯は分別


長引く景気低迷で消費者、勤労者は財布の紐をさらにきつくしばる。食堂やレストランでの外食を極力控える傾向にある一方で、外食業者は店頭での安価な持ち帰り弁当の販売に力を入れている。これが意外においしいのだ。問題はその後だ。食べたあとの弁当箱、業界用語で言う“弁当がら”だが、特に工場や現場、オフィス・事務所で発生する弁当がらの処理処分は扱いが難しい。東京都23区を事例に、持ち帰り弁当の多くで使われているプラスチック製箱の処理を追った。



◇激変期のプラスチック処理 廃プラ輸出から見る現状と展望
過去最高の量で推移/成立金額は前年24%増/国内排出減少もアジア堅調
中国需要旺盛と円高綱引き/為替リスク懸念で荷貯める/低空飛行から一気に脱却へ


2000年以降、年間1000万トン前後で推移してきた廃プラ総排出量は、09年912万トン(前年比86万トン減、9%減)となった。リーマンショック後の世界不況の影響もあり、国内プラスチック製品消費量が前年比(08年比)247万トン(23%減)の843万トンと激減したことによる。 99-09年の10年間で廃プラスチックの有効利用率は、46%から79%と33ポイントもアップした。 特に輸出量は、00年約30万トンから08年約151万トンと、5倍以上も増えた。世界不況の影響が懸念されていた09年も149万トンの輸出量で、ほぼ例年並み。10年は前代未聞の160万トンに迫る勢いを見せている。 いうまでもなく、輸出量の中で9割以上を占める中国・香港は、10年も好調だった。前年比数%アップしていることから最終的には、160万トン近くなるとの予測になった。



◇激変期のプラスチック処理 PETボトル再生利用の行方
高品質フレークを製品認知/世界最大級の繊維工場の現状/中国で高価値利用にシフト
記録的猛暑が繊維上昇の影響に/中国でフレーク乱高下事態/未洗浄の圧縮品輸出の課題


PETボトルの回収や再利用は、日本国内だけでは語れなくなってきた。世界の輸出PETボトルフレークの7割を飲み込む中国をはじめとして、アジアで再生利用が浮上している。指定法人の入札も近づいてきた。昨年の状況を見ることで近未来を推定していきたい。



◇焼却灰・ばいじん・鉱さい処理最前線
排出量が増加傾向/有害な重金属など不溶出技術
薬剤による化学的無害化


現在、産廃を種類別に見ると「燃え殻」は、年間200万トンの排出量で、「ばいじん」が1700万トン程度、「鉱さい」が約2100万トンと記されている。この3種で全体の1割弱の排出量と推定される。温暖化対策もあり、木質バイオマスを燃料にした大型ボイラーが全国的に増加する傾向もあり、今後、ばいじん、焼却灰などの排出量は増加する。処理施設の新規なども望まれる。この3種は、管理型処分場で処理する品目でもあることから、安定型品目よりも処理単価は高い。現状の処理施設や最近建設された再生処理工場などを中心に紹介する。



◇産廃処理業者と新会計基準総括
環境に関する会計基準は産廃処理業者にどのような影響を与えるか
公認会計士・税理士 大仲清





◇全国公共関与処分場 都道府県
最終処分料金を抽出し総覧/地域差鮮明な飛散性アスベスト
石膏ボの全国平均は1t当たり2.1万円/30近い施設が稼働、さらに開設の計画も


全国的に産業廃棄物の排出量が減少傾向にある中、最終処分場へ搬入される量も以前に比べると少なくなっている。そのような中、各地域で民間の中間処理および最終処分の料金水準に少なからず影響するのが、公共関与処分場の料金設定だ。今回の特集では、全国の都府県が関与する最終処分場を抽出し、処理料金に的を絞り総覧を試みた。



◇廃タイヤ再生処理のフロンティア 日本の活用状況に変化
韓国チップが燃料として日本に/熱利用に新しい価値が


廃タイヤが新しい展開を見せている。これまで、日本から輸出が多いとの考え方が強かったが、実際には、05年度の21万トンから翌06年20万トン、07年度18万トン、08年度16万トンで昨年は、ついに15万トンまで年々下がってきた。日本国内のボイラーなどの稼働と石炭の値上がりなどがあり、国内利用のメリットが大きくなってきたことが原因としてあげられる。反対に、日本の新規ボイラーは石炭の熱量の約1.5倍ある「タイヤチップ」に目を向けてきた。従来とは逆に日本の廃タイヤ輸入実績が増えてきた事実もある。



◇環境自主行動計画
経団連が循環型社会形成に/最終処分量削減目標クリア
次は「00年度65%程度減」


(社)日本経済団体連合会は、12月14日に、2011年度以降の「環境自主行動計画(循環型社会形成編)」を明らかにした。基本的な考え方は、11年度以降も「産業界全体の目標(産業廃棄物の最終処分量削減)」と「業種別独自目標」によって積極的に3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進するとしたもの。産業界全体の産廃最終処分量削減に関する新たな目標として「15年度の00年度実績の65%程度減」を産業界全体の目標とした。目標達成に向けて、経団連としても処理法の見直しや運用改善を政府に対して求めるとした。



◇寄稿 廃棄物由来燃料(RDF&RPF)の有用性と今後の展望
技術士(衛生工学・環境・建設)等 環境計画センター・専任理事 鍵谷司
日量200t以下の施設はRDF化が有効/JIS適合のRPFの確保は難しくなる


日本が京都議定書で約束した二酸化炭素削減目標の達成期間(08-12年)に至っており、CO2排出抑制のためにエネルギー消費量の抑制が急務。安価なエネルギー源で、かつCO2排出量の少ない廃棄物由来燃料が改めてクローズアップされている。本稿では、廃棄物由来の固形燃料の今後について展望。RDFは日量200トン以下の処理施設でのRDF化を進め、熱の有効利用を図るよう提言。RPFについてはJISに適合した製造物の確保は難しくなるとの懸念を示した。



◇新春インタビュー さらなる法令順守の徹底を
弁護士 阿部鋼氏に聞く
欠格要件の無限連鎖に歯止め


昨年5月の廃棄物処理法の改正により、欠格要件制度が大きく見直された。義務的許可取り消しが無限連鎖となり、欠格要件制度の趣旨とはずれた弊害を生んだとされる。産廃法務に詳しい弁護士の阿部鋼氏は、今回の改正で無限連鎖に歯止めはかけられたが、欠格要件の中身自体は変わらず、飲酒運転やスピード違反でも、その会社の許可を取り消されるのは変わらないと指摘。さらなるコンプライアンスの徹底が必要で、排出事業者から安心される処理業者となる好機として生かしてほしいと語った。




1月17日号ダイジェストニュース

2011新春特別号No.3

◇改正廃棄物処理法

収運合理化で経過措置/有効期間は従前の許可でOK


昨年12月17日、廃棄物処理法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令と廃棄物処理法の施行令の一部を改正する政令が閣議決定され、22日に公布された。施行は4月1日となった。



◇古紙とPETを店頭回収
交通系ICカードにポイント

- トムラ・ジャパン -

飲料容器回収・リサイクル事業を手掛けるトムラ・ジャパン(東京・大田)は、同町田市のスーパー「フードワン森野店」にPETボトルと古紙のリサイクルステーションを設置した。店舗で利用できるオリジナルポイントが発行され、JR東日本のSuica(スイカ)、首都圏の私鉄・バスのPASMO(パスモ)といった交通系ICカードや、オリジナルのポイントカードにためることができる。



◇廃棄系バイオマス活用へ
市町村にガイドライン

- 環境省 -

環境省は、バイオマス推進基本法に基づくバイオマス活用推進基本計画が閣議決定されたことを受けて、2011年度から基本計画に基づく廃棄物系バイオマスの利用促進に向けたロードマップづくりを行うための準備に乗り出す。11年度に技術情報の収集・整理と目標達成に必要な施策を抽出したうえで、12年度に市町村向けに最適なバイオマス利活用技術を提示する。



◇高塩素プラの受入拡大へ
脱塩設備増強、4月にも稼働/廃白土のプラントも建設

- トクヤマ -

トクヤマは、セメント製造の燃料代替として、高塩素濃度の廃プラスチック類に対応するため、約10億円を投じて南陽工場(山口県周南市)の脱塩設備を増強する。来月から試運転を始め、4月をめどに本稼働に入る。廃白土の投入設備の建設も進めており、燃料代替廃棄物の使用原単位を現在の約20キログラムから35キログラムへの引き上げを目標に使用量拡大を目指す。



◇複合型再生工場を建設へ
中国大連市で資源化モデル

- 伊藤忠商事 -

伊藤忠商事と中国現地法人の伊藤忠(中国)集団有限公司、伊藤忠メタルズは、中国・大連長興島臨港工業区で、鉄非鉄スクラップ・廃家電・廃プラを対象とした複合型リサイクル・再生資源合弁事業「大連新緑再生資源加工有限公司(大連新緑)」を設立し、2010年12月24日からスタートした。金属くず事業については、リサイクル企業の鈴木商会(北海道札幌市、駒谷嘉一社長)が担当する。



◇3省が調査結果を公表
再生砕石の石綿混入問題で


厚生労働省、国土交通省、環境省はこのほど、再生砕石への石綿含有建材の混入を防止するため、都道府県や労働局(労働基準監督署)などが解体現場、破砕施設に対して行った立入検査の結果を公表した。解体現場については6件で石綿含有建材の分別解体、適正処理に関する助言を行った。破砕施設については52件で石綿含有廃棄物の取り扱いに関する改善などの指導を行った。



◇独HSM社と提携
圧縮梱包機など販売へ

- 日本グランツ -

環境機器の販売を行う日本グランツ(埼玉県春日部市、加登忠晴社長)は、圧縮梱包機分野の世界最大手であるドイツ・HSM社と各種機器の販売提携を結んだ。既に数社の顧客から機器の受注があり、2010年12月より実販を開始した。



◇無害化認定も手続き対象に
今年4月をめどに条例改正

- 鳥取県 -

鳥取県は2006年1月に施行した廃棄物処理施設の設置手続きの適正化および紛争予防、調整等に関する条例を改正する。国が認定する無害化処理施設について実証試験前に条例手続きを義務付ける。処理状況の報告等の対象施設に届け出により産業廃棄物処理施設で一般廃棄物を処理した場合を追加することなども盛り込む。改正条例は今年4月1日の施行を予定する。



◇太陽光発電を設置
支援事業の補助金交付で

- 日本ウエスト -

RPFの製造大手で一廃・産廃の収運業や中間処理業、再資源化製品の販売などを手掛ける日本ウエスト(京都市、長田和志社長)は、2010年度新エネルギー等事業者支援対策事業から「太陽光発電導入事業」の採択を受け補助金の交付が決定、太陽光発電を設置した。



◇新春インタビュー 日本の静脈産業の国際展開の1年に
環境省 大臣官房 廃棄物・リサイクル対策部長 伊藤哲夫氏に聞く
優良な処理業者を後押しする今回の法改正


今年4月から改正廃棄物処理法が施行される。優良な処理業者を後押しする内容を法律に盛り込んだことが大きな特長。環境省廃棄物・リサイクル対策部の伊藤哲夫部長は、優良な業者を育成する産業振興の立場での行政展開が求められており、国内企業はじめ日系の静脈産業メジャーの海外展開をバックアップすることを強調。国内の産業廃棄物のさらなる循環的利用にも期待を寄せ、今年が日本の静脈産業にとって新しい展開の年となったと評価されるよう尽力すると考えを示した。



◇建廃の排出事業者の取り組み
17%減の6380万tの排出量/進む施工段階での建廃排出の極小化/急がれる複合残さへの対応


建設系廃棄物の排出量は、国土交通省によると2008年度が約6380トン(05年度約7700万トン)で、前回よりも17%減と2割近く減少した。その中で、建設系混合廃棄物は「08年度267万トン」で前回05年度292.8万トンの9%減の1割弱にすぎない。建設系混合廃棄物は減少しにくい副産物といえる。建設・解体系の混合廃棄物の処理は、細分化されたものが多く、その処理は非常に困難であることから、発生段階での取り組みが最重要の課題となっている。



◇これからの選別技術
混廃処理の最新動向/求められる選別技術の向上


 国内では、2000年に循環型社会元年と定め、「循環型社会形成推進基本法」をはじめ、循環型社会の形成に向けて六つの法律が整備された。建設系混合廃棄物については、「建設工事に係る再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」が02年に完全施行した。同法律では、コンクリート、アスファルトコンクリート、木材といった特定建設資材の分別解体・再資源化を義務づけている。その他の建設資材については、「再資源化が可能なものについては、できる限り分別解体や再資源化を推進していくことが望ましい」としているにとどまっている。建設系混合廃棄物の中で、コンクリート塊とアスファルトコンクリート塊については、リサイクルが大きく推進されている一方、ミンチ状となった混合廃棄物は、ほとんどが埋立処分や焼却処分されているのが現状だ。ミンチ状となった廃棄物のリサイクル率が向上すれば、産業廃棄物全体のリサイクル率が飛躍的にアップするのは間違いないと言っても過言ではない。リサイクルが最も困難とされるミンチ状となった混合廃棄物の選別技術の最新動向を紹介する。



◇石綿処理の動向
アスベスト対策の現状
埋立処分時の二重梱包に薬剤安定化導入/残る費用負担の問題


廃石綿等の埋立処分基準に関する検討委員会による検討結果が出されて「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案」がまとめられた。



◇建設系混合廃棄物処理の最前線
解体系混合ミンチのふるい下の総合判断/急がれる下ごみ対策





◇広がる石膏ボードリサイクル
求められる再生受け皿の増加/年間500億円市場で広がる再資源化


一時期は上昇傾向にあったものの、なかなか改善されない経済環境の影響に伴い、建築着工件数は伸び悩んでいる状況にある。しかし、30-50年前の高度経済成長期に立てられた建物の建て替え需要が2010年あたりから増加傾向に。解体工事の受注件数が大幅に伸びている。老朽化した建物の解体現場で今後増加が見込まれる副産物の一つが「廃石膏ボード」だ。現在も発生量は、多くなっているはずだが、中間処理施設に入る量は、これまでとあまり変化がないのが現状。理由の一つに、景気の影響もあると考えられるが、実際のところ、下ごみと混ざって処理されているとの見方が大半を占める。今後、一層の増加が見込まれることから、避けては通れない廃石膏ボードに注目した。



◇これからの精選別技術とリサイクル
建設混合廃棄物、ふるい下残さの課題/建設系廃棄物をめぐる最大の関心に迫る
適正処理、リサイクルに 向けた論点を整理する


建設系廃棄物の処理現場では、混合廃棄物の選別精度を上げるために、従来の手選別に加え、機械設備を導入してきた。機械選別を経た後の「ふるい下残さ」については、「建設廃棄物処理指針」の安定型処分できる基準(熱しゃく減量5%以内)または「行政処分指針」の判断基準があるのみ。土木資材などに出荷するために処理を施したものから、最終処分場に埋め立てるものまでが同じ言葉で括られている。精選別技術が向上する一方で、リサイクルするための明確な基準はなく、その可否は各自治体の判断に委ねられている。ふるい下残さに限らず、建設系廃棄物は今後、不燃物のリサイクルが課題となる。建設混合廃棄物の適正処理、ふるい下残さのリサイクルに向けた課題、論点を整理した。



◇これからの精選別技術とリサイクル
全国アンケート調査 選別後の不燃残さに関する行政指導
自治体間で見解に開き/「全国一律の基準」求める声も


建設混合廃棄物を選別した後の「不燃残さ」(ふるい下残さ)の行政指導の状況について、循環経済新聞は全国の都道府県、政令指定都市の66自治体にアンケート調査を実施した。回答数は53自治体、回答率は80.3%。中間処理施設の設備、その先の出荷状況によって性状が異なるため、「不燃残さ」の明確な定義付けはなく、再生資材として市場に流通させるための処理施設の要件や品質に関する統一的な見解もない。アンケート結果では、自治体間で見解に開きがみられたほか、「過去に不法投棄事案があった」と回答した自治体からは、全国一律の基準を求める声が挙がっている。



◇記者手帳スペシャル 無駄なくし、印象保持
新段階の「商品廃棄」/多品種少量を再資源化へ/処理業も対応高度化


コンビニエンスストアのロスチャージ問題は、店舗で売れ残ったり、商品転換による在庫を抹消するという、いわゆる「商品廃棄」の現在形を示すエポックメイキングだった。製造業から小売業などまで多くの企業は近年、この「商品廃棄」の削減やセキュリティ徹底、さらには“リサイクル”を求めるようになった。新春の記者手帳スペシャルとして、あくまで本紙独自の視点でまとめてみた。



◇ピンポイント設備投資術
コスト削減と高付加価値化/すぐに役立つ現場向き装置事例
少額で効率向上、利益増/


社会的に設備投資が低迷する中、産業廃棄物処理施設、リサイクル施設についての設備投資も例外ではなく低迷している。現在次々と竣工している施設も、実際はリーマンショック前に計画、申請されたものが多い。しかし、投資が全くない訳ではない。肝心なのは何に投資するのかだ。コスト削減と再生資源の高付加価値化にすぐに役立つ“ピンポイント設備投資”に資する装置の一例をまとめた。



◇寄稿 産業廃棄物処理施設の売買
廃棄物法務コンサルタント・行政書士 小野寺廣治
的確な判断での対応重要/景気動向、事業承継など要因/法14条と15条関連明確に
許認可条件のチェックを/法令と財務の両面を見る/機械設備は型番確認も





◇フロン回収集計
業務用冷凍空調機器の結果/ビル解体等の廃棄案件が減少/09年度、量と台数前年比ダウン


経済産業省と環境省は、2009年度のフロン回収・破壊法に基づき「業務用冷凍空調機器からのフロン類回収量等の集計」の結果について2010年12月6日に公表した。同法に基づく第一種特定製品(業務用冷凍空調機器)からのフロン類の回収集計結果は、フロン類の量が約3601トン(対前年度比約172トン減)で、フロン類を回収した業務用冷凍空調機器の台数は約117万台(対前年度比約7万台減)。景気変動による機器販売落ち込みで、廃棄される機器が減少していると推測された。



◇東京都 第三者評価制度
第2回は延べ75社に認定/来年度から更新期迎える


東京都内の業許可を持つ事業者を対象に、(財)東京都環境整備公社が「産廃エキスパート」「産廃プロフェッショナル」を認定する、いわゆる第三者評価制度の第2回認定者が12月21日、公表された。業界トップランナーのエキスパートが37社、中核的役割を担う優良事業者のプロフェッショナルが38社。第1回とあわせ、認定事業者の合計は延べ259社となった。




1月24日号ダイジェストニュース

2011新春特別号No.4

◇公益法人移行にゴーサイン

認定等委が「適合」と答申

- (社)全国産業廃棄物連合会 -

(社)全国産業廃棄物連合会(石井夫会長)が公益法人認定等委員会に申請していた公益法人への移行申請に対し、同委員会が、認定法に定める公益法人としての基準に適合すると認める旨を内閣総理大臣に答申したことが分かった。これにより、全産廃連は所定の手続きを行い、公益法人としての認定を行政庁から受けることになる。



◇新春対談 アジア市場と国内需給(上)
プラ再生利用が激変する/中国が競合者に転化か


国内で循環する廃プラのマテリアルリサイクル市場が55万トン前後で推移する中で、中国への再生プラスチック原料(有価のプラスチック・スクラップ)の輸出量は、2010年には160万トンを超えると見られている。一方、中東や中国での石油化学プラントが相次いで竣工しており、プラスチック需給を巡る国際的な構図は、かつて欧米石油メジャーと総合化学会社がそれを決めていた時代からは激変し、変化は加速するだろう。マテリアルリサイクルの現状とこれからの激動の10年という長期展望について、エコシス・コンサルティングの平田耕一代表取締役とパナ・ケミカルの犬飼健太郎専務取締役に分析してもらった。



◇精肉加工時に出る脂を回収
食品リサイクル率の向上につなげる

- 浜田化学 -

廃食用油の再生利用事業を手掛ける浜田化学(兵庫県尼崎市、岡野嘉市社長)は、スーパーマーケットなどで精肉加工時に出る「肉脂」の受け入れを始めた。これにより、本社・リサイクルセンターの回収量は1カ月当たり30-40トン増えた。食品リサイクル率の向上につながるとして、今後も力を入れていく。



◇セメント向け資源化開始
代替燃料・原材料に/グループネットワーク活用

- ジャパンウェイスト -

アサヒホールディングス傘下で環境保全事業を営むジャパンウェイスト(本社・神戸市、武内義勝社長)は、廃棄物から代替燃料、セメント原料を製造する工場を開設した。昨年12月1日付で横浜市から処分業許可を取得、今月から本稼働に入った。廃油、廃酸、廃アルカリから代替燃料を製造、汚泥、燃え殻、木くず、ばいじん、廃プラスチックなどからセメント代替原料を製造する。従来廃棄処分されてきた排出物のマテリアルリサイクルを目的にしている。



◇微量PCB洗浄技術開発
安全・経済的な処理方法/PCB処理検討委員会が評価

- (財)電力中央研究所 -

(財)電力中央研究所(東京・千代田、各務正博理事長)は、微量PCBが混入した変圧器からPCBを洗浄、除去する技術を開発した。今回発表した技術は、「加熱強制循環洗浄」と「課電自然循環洗浄」で環境省の下、産業廃棄物処理振興財団が運営する「PCB等処理技術調査検討委員会」から、昨年12月27日付で処理技術として妥当なものであるとの評価を得た。



◇石膏ボードの分別解体
マニュアルを作成

- 国交省 -

国土交通省は来年度、解体現場の作業員向けに「廃石膏ボード現場分別解体マニュアル」を公表する。解体現場の担当者に分かりやすく、法令関係や建築物における石膏ボードの使用状況などを整理する予定。今年度中に素案を取りまとめる。「可能ならば来年度初めにモデル工事における検証を加えた上で公表したい」としている。



◇小型圧縮梱包機を開発
ニーズに応え小ロット化

- エヌ・クラフト -

破砕機などの環境機器を製造・販売するエヌ・クラフト(愛知県岡崎市、林憲昌社長)は、廃プラ用の小型圧縮梱包機「AKシリーズ」を新たに市場へ送り出した。従来製品よりも梱包物をコンパクトにまとめることが可能で、小ロットでの処理に対応している。



◇優良性基準適合認定証授与式
1月27日、東京都内で

- (財)東京都環境整備公社 -

(財)東京都環境整備公社は都の「第三者評価制度」に基づき、2010年度優良性基準適合認定証授与式を1月27日午後1時15分から、東京・新宿の角筈区民ホールで開催する。



◇リサイクルポイント導入
廃棄物の重量により還元/日用品、ギフトカードなどに

- 白石総業 -

医療廃棄物の滅菌処理を手掛ける白石総業(栃木県上三川町、白石雄治社長)は、「リサイクルポイント」を導入した。同社に処理委託する廃棄物の重量によってポイントが貯まり、このポイントで日用品やお菓子、ギフトカードなど好きな商品を選んで交換できる。



◇食品リサイクル特集 食リループの進展
2年間で認定25件/効率的な連携が要に


食品リサイクル法の施行から11年目となる今年、食リ法対応の一環として関連事業者の取り組みが一段と進展しそうなのが、食品リサイクルループの構築だ。同法の2007年度改正以降、ループ(再生利用事業計画)の認定を受けたのは、2010年11月1日現在で25件。認定うんぬんにかかわらず進められている取り組みも多く、食リループの話題は当面続くと思われる。



◇食品リサイクル特集 東日本編
事業成功の鍵とは?/信頼を深めループ構築


「顔の見える環境で信頼を深め、事業を展開している」食品リサイクルループ構築に成功している排出事業者は共通してこの言葉を発する。消費者が安心安全の食品を志向する中、製品の履歴が明らかになるループを構築することで信頼性を獲得できる。現在、新規事業として食品リサイクルを実施し、食リ法への対応とともにループ構築を目指す企業が増えている。事業成功の鍵となるのは、ループのうまい組み方だが、現状は農畜産物や加工食品が排出元に戻ってくるまでの環が完結せずループを構築できない企業が多い。昨年、取材したリサイクルループの事例の中から特徴のある取り組みをダイジェストで紹介する。



◇食品リサイクル特集 西日本編
計画認定数が前年比2倍に/処理業者に求められる“提案力”


2010年1-11月までに西日本地域で食品リサイクルループの認定を受けた計画数は前年比2倍の6件となり、順調な伸びを示している。また認定の有無にかかわらず、最近では排出元の食品関連事業者からの要望もあり、食品リサイクル事業をループの構築抜きには語れない状況となってきた。処理業者または食品関連事業者自身が農畜産業に参入する、複数の事業者が共同で取り組むなど、その内容も多様化している。特に処理業者にとっては今後、個別の食品関連事業者に適したループを構築できる提案力がさらに求められていくだろう。その具体的な事例について紹介したい。



◇食品リサイクル特集 排出と処理の取り組み
排出者と処理業者が食リ事業に励む/独自の方法で発生抑制
飼肥料化の受け皿が着々と/各社各様のリサイクルシステム


「食品リサイクルループ」という言葉が注目を集める今、多くの事業者がループ構築を目指している。本紙は昨年、「食品関連事業者の挑戦」と題して連載を行ってきたが、ループの構築に限らず、独自の方法で、食品リサイクルに取り組んでいる事業者が多くいた。これからループ構築を目指す事業者や、ループにこだわらず食品リサイクル事業に取り組んでいる排出事業者・処理業者を昨年取材した中からピックアップして紹介する。



◇新春インタビュー 品質向上の精製方法を提案
バイオマスジャパン社長 内田勝巳氏に聞く
シェアして市場を伸ばす/BDF事業を拡大へ


バイオディーゼル燃料(BDF)事業に取り組むバイオマスジャパン(東京・北)は、より品質の良い燃料を精製することを強化し、ユーザーに燃料の精製方法を提案しながら、プラント・燃料・周辺薬剤の販売、精製技術の開発などを行っている。同社の内田勝巳社長にBDF事業について聞いた。



◇新春インタビュー 現状改善のため新技術を開発
MSD社長 武田章氏は語る


BDF精製装置のノウハウを持つMSD(山形県天童市)は、装置の開発・設計・製造まで一貫した事業を展開している。一般にBDFを製造するだけなら比較的容易にできるため、安易に考えてしまう企業も多く、このことが品質の粗悪な製品が出回る要因となっている。同社の武田章社長は、このままではBDF業界は破綻してしまうと危機感を覚え、特に品質面にこだわった技術の開発に取り組んだ。BDF業界の現状を踏まえた改善点など今後の課題と、同社の対応について武田氏に話を聞いた。



◇バイオ燃料の普及動向
2020年180万キロリットル以上の導入へ


地球規模のエネルギー・温暖化問題に対応するため、バイオ燃料を活用する取り組みが国際的に広がっている。例えば米国では乗用車用のガソリン代替燃料として主にバイオエタノールを、また欧州はトラック等の輸送燃料として主にバイオディーゼル(BDF)をそれぞれ生産している。 日本では2010年6月、バイオ燃料の利用について、「20年に全国のガソリン消費量の3%(180万キロリットルに相当)以上の導入を目指す」との方針を打ち出しており、さらなる技術開発と利用拡大が急がれる。バイオ燃料普及に向けての動きが進む中、その製造・利用に取り組む事業の動向や事例を紹介する。



◇インタビュー 「石油」を生む微細藻類
筑波大学大学院 生命環境科学研究科 渡邉信教授
バイオ燃料の“切り札”に


石油に替わるバイオ燃料の原料として、藻類が脚光を浴びている。トウモロコシなどと比べ圧倒的に油の生産効率が高く、食料と競合しないといった利点を多く持つためだ。すでに世界各国で実用化に向けた動きが加速化しており、日本では筑波大学が産学連携の藻類研究をリードしている。まさに地球温暖化・エネルギー問題の切り札として、期待は高まるばかり。課題は生産性の向上による低コスト化だが、「将来は、日本が産油国になることも可能」という。プロジェクトチームを率いる同大大学院の渡邉信教授に話を聞いた。



◇古紙リサイクル特集
市況乱高下で課題浮き彫り/輸出なくなると余剰分は?/官民連携も今後カギに


自治体が清掃工場に搬入される可燃ごみを減量していく上で要となる古紙のリサイクルをめぐって、古紙業界では3年前、古紙価格が高騰から一気に暴落するという市況の乱高下に見舞われた。当時浮き彫りになった点を中心に、古紙リサイクルを今後さらに進展させていくうえでの課題について、関連業界の証言を基に探ってみた。



◇インタビュー 古紙の輸出動向
古紙ジャーナリスト 本願靜雄氏
中国の需給状況に注視/2011年は変化の年に


日本の古紙輸出量は、2001年に146万トン台になって以降、年々増加してきた。09年の輸出実績は491万4000トンを記録。古紙回収量が2166万トンだったので23%は輸出に回っていたことになる。国別に見ると、中国向けが約8割を占めており、今後も中国の古紙需給動向は注視していく必要がある。10年の古紙輸出状況を振り返るとともに、今年予想されるについて、古紙ジャーナリストの本願靜雄氏に聞いた。



◇首都圏事業系一廃の動向
様変わりした民間処理/透明性前提に提案営業/排出者の信頼獲得がカギ


オフィスや小売・外食の店舗が集中する首都圏は、全国でも事業系一般廃棄物の処理動向が最も注目されている。清掃工場に搬入される事業系ごみの削減を図る自治体や、多様化する排出事業者のニーズに対応して展開を図る首都圏一般廃棄物処理業者の動向を追った。



◇環境プラントメーカーの受注動向 (社)日本産業機械工業会の調査から
2010年度上期は微増に/官公需はプラス推移/ごみ処理は1000億超で折り返し


(社)日本産業機械工業会が大手プラントメーカーなどの会員約100社を対象に調査する環境装置受注状況で、2010年度上半期(4-9月)の環境装置受注が明らかになった。トータルでは官公需の増加により、前年同期比104.7%の2304億円で年度前半を折り返した。装置別でみると、ごみ処理装置は都市ごみ処理装置の海外向けが減少したことから、前年同期比95.5%の1096億円となっている。



◇国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律
判断の基準を満たす物品は調達目標を設定

- 環境省 -

環境省は、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(「グリーン購入法」)に基づき特定調達品目およびその判断の基準等の見直しにあたって案を取りまとめ、2010年12月3日-2011年1月4日、パブリックコメントを実施した。その際に添付された、「特定調達品目及びその判断の基準等の見直し(案)のポイント」と「基本方針に定める基本的考え方」について紹介する。



◇インタビュー 塩素分・収率面が課題に
巴工業 機械本部 馬場次雄氏
プラスチック製容器包装MR技術向上へ


昨年夏に取りまとめが行われた「プラスチック製容器包装の再商品化手法及び入札制度の在り方に係る取りまとめ」では、材料リサイクル手法優先的取り扱いを、容器包装リサイクル法の次期改正見直しまで継続することとなった。 しかし、中環審/産構審プラスチック製容器包装に係わる再商品化手法合同会合の議論では、環境負荷低減効果、再商品化に要する経済コスト、その他の考慮事項の観点から、材料リサイクル、ケミカルリサイクルの評価が行われ、材料リサイクル優先はコストや残さなどの問題から疑問視される声も上がった。今後、材料リサイクル事業者に必要となってくるポイントはどういったことなのか。機械メーカーとして技術面からプラスチック製容器包装に携わっている巴工業機械本部・馬場次雄氏に話を聞いた。



◇容リプラ材料リサイクル動向
各事業者の取り組みを追う






1月31日号ダイジェストニュース

2011新春特別号No.5

◇安定型と破砕施設を再開

ヒ素対策装置を設置/事業化の第1号に

- 島根産廃協同組合 -

島根県産業廃棄物環境事業協同組合(福代明正代表理事)は、埋立容量約18万立方メートルの安定型処分場と日量360トン(6時間稼働)の処理能力を持つがれき類の破砕施設の譲受け許可で事業を再開した。組合方式で処分場を蘇らせたケースは全国的にも珍しい。



◇良質原料の流れが変わるか
保管、輸出の可能性も/RPFのJIS認証


RPF(廃プラスチック、紙くずなどによる固形燃料)のJIS規格認証について、関係業者が注目している点がある。長期的には良質な廃プラなどの原料が認証を得た業者に集まってくるようになること、JIS規格に基づく「工業製品」として一定量の保管や輸出などへの可能性が開けること、グレードが高い「RPF-A」などが製紙業界以外の需要家にもさばけるようになることなどだ。



◇廃棄うどんを有効利用
バイオエタノールを抽出

- ちよだ製作所 -

ちよだ製作所(香川県高松市、池津英二社長)は、冷凍うどんの製造工程で発生する廃棄うどんからバイオエタノールを生成するプラントを製作し、1月21日から実証実験を開始した。産官学共同研究として2011年度末まで実施する。エタノール抽出後の残さも、同社が開発した「メタン発酵プラント」を組み合わせることで、再利用が可能だ。



◇難処理物の資源化事業を拡大
都市ごみ焼却灰、ASR

- 住友大阪セメント -

住友大阪セメントは、セメント製造の原燃料代替として都市ごみ焼却灰やASRといったリサイクル困難物の使用を拡大する。同社赤穂工場(兵庫県赤穂市)、子会社の八戸セメント(青森県八戸市)で昨年から開始した焼却灰の資源化事業が順調に推移していることから、高知工場(高知県須崎市)でも受け入れを計画する。



◇30社133拠点に拡大
設立5周年で達成/安心安全の全国ネット

- エコスタッフ・ジャパン -

廃棄物処理・リサイクルに係る安心安全の全国ネットワーク化を進めるエコスタッフ・ジャパン(東京・中央、田部和生社長)は、設立5周年で東北から九州・沖縄まで全国30社133拠点(昨年12月現在)にまで認定企業を広げた。



◇自ら利用で指導要綱を策定
建設汚泥、コンクリ廃材を対象に

- 横浜市 -

横浜市は市内の建設工事から発生する建設汚泥、コンクリート廃材の自ら利用に関する指導要綱を策定する。最終処分場の残容量の減少、今後の海洋投入処分量の削減などから、排出事業者自らが適正に再生利用するための必要事項を定める。



◇マイボトル協力店388に増加
ごみを出さないライフスタイルへ

- 埼玉県 -

埼玉県はPETボトルなどの使い捨て容器ごみの削減を契機として、ごみを出さないライフスタイルの定着を図るため、外出時に水筒などのマイボトルを携帯する「みんなでマイボトル運動」を事業者や市町村などと連携して推進。現在、マイボトル用にコーヒー、緑茶、冷水などを提供するマイボトル運動協力店が388店舗となっている。



◇新春インタビュー レアアース・レアメタル
経済産業省リサイクル推進課長 岡田俊郎氏に聞く
リサイクルで確保/既存システムと連携、効率回収/技術開発と設備導入を支援


世界的にひっ迫しているレアアース、レアメタルといった希少資源は、安定的に確保する仕組みをどう構築するかが大きな課題だ。リサイクルの分野からこの課題に取り組む経済産業省・岡田俊郎リサイクル推進課長は「全力でレアアース・レアメタル関連の補正予算を執行していきたい」と語っている。



◇自動車・家電シュレッダーダスト
難処理物だが有用資源/次の課題はガラスの資源化
選別技術進化で用途増/金属・樹脂回収、熱利用


自動車破砕残さ(ASR)は「難処理物」の代表として知られ、かつては埋め立てが主流で、製錬所が一部を利用するぐらいだった。2005年に施行された自動車リサイクル法を契機にリサイクルの流れが急速に進んだ。09年度のASRの再資源化率の平均は80・9%となり、5年間で約20%も向上した。家電のシュレッダーダストは、複数種のプラスチックが混在、臭素系難燃剤が添加されている樹脂もある。ウレタンやゴム、ガラス繊維なども含まれている。これらの選別は困難とされてきたが、最近では新しい技術が開発され、100%に近い純度で選別できるようになった。家電ダスト由来の樹脂もマテリアルリサイクルの道が開けてきた。



◇廃塗料リサイクル
確保難のプラ、廃油に代替/カロリー生かして燃料に
環境意識向上も追い風/処理技術は多様化


廃塗料は粘性が高くスラッジ化している形状のものも多い。一度に廃棄されるロットが小さいことからもリサイクルが遅れていた。近年、排出事業者の環境意識の高まりやセメントメーカーで良質な廃プラスチックや廃油などの燃料代替となる廃棄物の確保が難しくなったことから廃塗料が着目された。廃塗料の持つ熱量を有効的に利用するため、固化処理、固形燃料化などでハンドリングを改善させてリサイクルする取り組みが加速している。焼却処理でも単純焼却でなく廃熱を回収してサーマルリサイクルされている。さまざまな形でリサイクルに取り組む企業の動きをまとめた。



◇レアメタル資源問題の概況
素材大国・日本を支える重要資源/懸念も残る法制化
リサイクルと代替の両面で戦略を


2010年は希少金属資源に熱い視線が注がれた1年だった。希土類元素(レアアース)を含むレアメタルの存在が一般にまで浸透し、認知度は飛躍的に高まったと言える。 先端技術に欠かせない素材、また、その偏在性や国際市場での高騰により今後の確保が難しくなる金属、叫ばれるリサイクルの必要性など、さまざまな角度から語られるレアメタル。その具体的な用途や市場規模、産業におけるポジション、小型家電リサイクル法制化への動きなどを踏まえ、現状を確認する。



◇レアメタルリサイクル事例
回収促進へのアプローチ活発化/都市鉱山開拓に新たな試み/他業種からの参入も加速


使用済み電化製品などに含まれる金属資源のリサイクル活用、いわゆる「都市鉱山」の開発は1980年代に提唱されて以来、さまざまなアプローチがなされてきた。特に近年はリサイクルの主対象を高騰するレアメタルに移し、その効率的な回収、分離・抽出などの分野で研究開発が活発化している。 特に2010年は官民の別なく、各分野でさまざまな試みが具体化した1年だった。ここでは、使用済み製品の回収に関する民間企業の取り組み、都市鉱石からレアメタルを分離する各種機器やシステムの開発などの事例を紹介する。



◇未利用材活用で森を守れ
企業の新たな挑戦を追う


木質バイオマス資源は大きく、▽間伐などの林地残材▽製材工場等残材▽建設発生木材――に分類される。そのうち製材工場等残材や建設発生木材はパルプ原料や燃料などに利用されているが、林地残材はほとんど利用されていない。その背景には、間伐材の搬出コストなど日本林業が直面している課題がある。未利用材を事業に活用し、林業活性や森林保全につなげようとする企業の挑戦を追った。



◇木質バイオマス最前線 インタビュー
最新研究の現場から


間伐材などの木質バイオマスは、焼却しても大気中のCO2濃度を高めないカーボンニュートラルな資源として注目され、食料資源と競合しないなどの利点を持つ。特に日本は国土の約70%が森林であり、燃料や工業用素材といった活用法を新たに見いだすことは資源確保の上で有望とされる。木質バイオマス活用の可能性について、研究の最前線に立つ京都大学大学院教授の坂志朗氏と近畿大学理工学部准教授の井田民男氏に話を聞いた。



◇環境識者インタビュー 域特性を考慮した取り組みが課題
神戸山手大学 中野加都子氏/カール・ハインツ・フォイアヘアト氏
日独比較研究から見る我が国の現状


日本の環境政策史には、大きな転換期が二つある。一つは公害対策に揺れた1970年前後、そしてもう一つは循環型社会への指向が強く現れた2000年前後だ。97年の京都議定書の採択を契機として、循環型社会形成推進基本法の制定をはじめとする法整備が一気に進められ、我が国の環境行政は活発化した。その際に参考とされたのは、環境先進地域である欧州、特にドイツの政策だったという。 循環型社会推進基本法の制定から今年で11年。日本の環境施策はどのように変化してきたのか、今後はどのようなことが期待されているのか。環境分野に関する日独比較研究で知られる神戸山手大学教授の中野加都子氏と同大客員教授のカール・ハインツ・フォイアヘアト氏に話を聞いた。



◇鉄スクラップ輸出動向
中国向け伸び悩む/輸出量は全体的に低調で推移





◇特集 電子マニフェスト
注目される実務面でのメリット/排出事業者の導入促進が重要


適正処理を担保するツールとして普及利用拡大が期待されている電子マニフェスト。普及率向上へ無料キャンペーンが展開されている。じわじわと増えている背景にはやはり、紙マニフェストに比べ、改ざんや紛失などの人為的な事故が防ぎやすいこと、物理的にもコスト削減にもつながることなど、実務面でのメリットが注目されている。多くの関係者が指摘するように排出事業者の導入をいっそう促進することが重要で、そこから処理業者の加入率を高める方策の抜本的強化が課題といえそうだ。



◇汚染土壌の現状
進む原位置処理へのシフト/最新技術を紹介


昨年4月に改正土壌汚染対策法が施行、まもなく1年が経過しようとしている。 改正に至った理由として、▼法に基づかない自主調査においての土壌汚染発見の増加▼汚染対策としての掘削除去の偏重▼汚染土壌の不適切な処理による汚染の拡散―が主な理由だ。問題点として、“法に基づかない自主調査においての土壌汚染発見”が9割を占めていたほか、汚染土処理の8割が掘削除去の現状だった。 以上の問題を中心に踏まえ、改正法では、(1)土壌汚染状況の把握のための制度の拡充(2)規制対象区域の分類等による講ずべき措置内容の明確化(3)搬出土壌の適正処理の確保などの法整備が行われた。



◇大型column 建設汚泥のリサイクルのあり方について
官民連携で新たな再資源化スキームを/汚泥改良材の潜在需要は低くない


建設廃棄物のリサイクル対策が、岐路に立っている。1990年代以降、特に建設リサイクル法が制定された2000年以降、建廃対策は分選別の徹底と個別品目ごとのリサイクル率の向上に主眼が置かれてきた。再資源化施設の整備とユーザー開拓の双方で、その方策は間違いなく90年代と00年代の対策をリードしてきた。しかし、今度は景気動向に配慮して、建廃の排出量の増減とユーザー需要の強弱への対応が迫られつつある。不況などで需要が鈍い時期には、廃材・再生材のストック機能の充実や、非需要期でも安定した受け皿になり得るユーザーを確保するのが課題になる。 建設汚泥の場合、地域差はあるものの、首都圏では東京外郭環状道路やリニア新幹線など大規模な地下トンネルの工事を控えており、今後も発生量が大きく減るとは考えられない。一方では、公共工事の削減を受けて土木資材での需要が減少しており、再開発で排出増が見込まれるコンクリート塊の再生砕石とともに、官民連携で新たな受け皿の仕組みを構築する必要がある。



【週刊 循環経済新聞・付録 低炭素経済新聞 1月31日号】

◇2011年度から環境税を導入
石油石炭税に上乗せ/税収2400億円を温暖化対策に

- 政府 -

政府税制調査会は、昨年12月の2011年度税制改正で、今年10月からの地球温暖化対策のための税(環境税)導入を決めた。現在の石油石炭税に上乗せ、税率を2015年にかけて段階的に引き上げるとしている。 昨秋の臨時国会で成立が期待されていた「地球温暖化対策基本法案」は、同じく12月に継続審議となっており、主要3政策うち、環境税だけが動き出すことになる。



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