循環経済新聞・バックナンバー“2018年1月度”

1月1日・8日合併号ダイジェストニュース
◇十数年に一度の大転換期
資源循環の行き詰り打開へ/中国規制、再開発絡み合い
改正法で適正処理担保を

  間違いなく、廃棄物処理事業とリサイクル事業にとって、十数年に一度あるかないかという大転換期だ。
 周知の通り、昨年夏から中国による生活系固体廃棄物(生活由来の各種スクラップ)の輸入が抜本的に強化され、一部を除いて、昨年末までにそれらスクラップの中国への輸出がストップした。
 一方、国内、特に東京五輪などで再開発が進む東京などの大都市圏では建設系不燃物などの再資源化が行き詰まるという緊急事態となっている。
 不適正処理が頻発してもおかしくない事態に対して、今年から順次施行される改正廃棄物処理法はいかに対処するのか。

◇新春インタビュー 循環産業を底上げし、国際展開
循環の名にふさわしい地域づくりに貢献
- 環境省 環境再生・資源循環局 局長 縄田正氏に聞く -
- 環境省 環境再生・資源循環局 次長 山本昌宏氏に聞く -
 昨年、環境省に新しい局、環境再生・資源循環局が誕生した。2018年は、その真価が問われる年といえる。縄田正局長は「18年は循環基本計画を策定する年であり、そこにあわせて循環産業を国内で底上げし、国際展開をしていく」と強調。山本昌宏次長は、資源循環政策がもたらす地域活性化について言及、資源循環の名にふさわしい地域づくりに貢献していくと声を寄せた。

◇新春インタビュー 改正廃棄物処理法を周知
政省令の公布に力を注ぐ
- 環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物規制課 課長 成田浩司氏に聞く -
 昨年は改正廃棄物処理法が公布され、廃水銀に対する規制の強化などが行われた。産業廃棄物の適正処理に向けた対策が着実に進む中で「業の振興」やPCB廃棄物対策、POPs含有廃棄物対策、不法投棄対策などの残された課題があることも事実だ。これらの課題にどう対処していくのか、環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課の成田浩司課長に聞いた。

◇新春インタビュー 法案大綱等成果多い一年に
循環型社会の実現へ向け
- (公社)全国産業廃棄物連合会 会長 石井邦夫氏に聞く-
 (公社)全国産業廃棄物連合会では昨年、改正廃棄物処理法への対応や安全衛生の推進、法人名称変更の検討、振興法案大綱の立案・提出など、業界の発展に向けた多くの取り組みを実施した。循環型社会の実現に向けた連合会の方向性をどのように位置付けるのか、石井邦夫会長に聞いた。

◇新春インタビュー 3年目、節目を迎えて
流れ受け継ぎ、次の世代へ
- 全国産業廃棄物連合会 青年部協議会 会長 仲田陽介氏に聞く -
 全国産業廃棄物連合会青年部協議会では、昨年震災からの復興をテーマに全国大会を行った他、規約の見直しや、他団体との交流の強化などを進めている。6代目会長である仲田陽介氏に話を聞いた。

◇新春インタビュー 女性の活躍が業界全体の底上げに
全国的な広がりを
- 全国産業廃棄物連合会関東地域協議会女性部会 部会長 二木玲子氏に聞く -
 2016年4月、通称「女性活躍推進法」が施行され、国を挙げて女性の活躍と社会進出に向けた取り組みが進んでいる。特に男性のイメージが強い産業廃棄物処理業界において、全国また時代に先駆けて長年にわたり業界内での女性の活躍や地位の向上を目指し取り組んできた(一社)東京都産業廃棄物協会女性部“e‐Lady21”の部長であり、新たに発足した全国産業廃棄物連合会関東地域協議会女性部会の部会長にも就任した大谷清運社長の二木玲子氏に、e‐Lady21のこれまでの取り組みや今後の展望について話を聞いた。

◇環境・温暖化は成長産業
管理や監視にドローン活用/気象予測で食品ロス削減
廃棄物ビジネスの新戦略

 日本国内の環境産業の市場と雇用規模を毎年7月に、環境省が発表している。最新のデータを見ると、2015年の環境産業市場は「104兆2559億円」と推測されていた。雇用は、全体で「249万人」となり、市場と雇用の両方とも過去最大となった。市場は00年から1.8倍、雇用は1.4倍成長したことになる。伸び率の鍵は温暖化対策で、廃棄物処理にも低炭素社会構築は、重要視されている。

◇2月、産業廃棄物処理検定
業界あげて本格化/人材育成特集
 (公社)全国産業廃棄物連合会(石井邦夫会長)は人材育成の取り組みを本格化する。その促進の具体的な方策として資格制度を創設する。今年2月に実施される産業廃棄物処理検定はその第一歩。一方、排出事業者向けに創設された処理法に関する検定を社員教育の一環として活用する事例がある。

◇人材不足に新たなアプローチ
持続可能性やコンプライアンスをカギに/事例集
 人材不足は、いまやすべての産業に共通する課題だ。特に廃棄物処理・リサイクル分野では、新卒採用への忌避感や中途採用者への教育不足、また業界イメージなどがハードルとなって、対策が遅れている状況にある。そうしたなか、自社の人材育成はもちろん、育成プログラムをサービスとして展開する企業も現れている。

◇若手経営者インタビュー 目指すのは幸福総和No.1企業
人を大切にする経営で事業拡大/社員とその家族の幸福を
- アドバンティク・レヒュース 代表取締役社長 堀切勇真氏 -
 群馬県を中心に関東一円で収集運搬業を進めるアドバンティク・レヒュースを中核とするATホールディングスは、一昨年は三協興産(川崎市)、昨年はキヨスミ産研(山形市)とグループ化を行い、事業を拡大している。多様な品目の処理ができるようになった他、焼却、最終処分など多くの処理をワンストップでできる体制を整えてきた。事業拡大を進める理由、そして独自の「人を大切にする経営」について代表取締役社長の堀切勇真氏に話を聞いた。

◇廃棄物処理・リサイクルの“インフラ”へ
代替率限界・質転換で乗り越え/災害廃棄物の受入も強化
セメント産業の再資源化

 2017年度、セメント業界は新たな方針の策定に腰を据えた。近年の世界的な情勢に足並みをそろえ、環境への配慮に取り組み続ける日本国内では、生産業としての動脈産業でありながら、廃棄物処理・リサイクル産業としての静脈産業の側面を持つセメント業界の存在感が増している。資源価格低迷でリサイクルにも支障が生じており、社会的な期待が高まる中、その声に応えるための姿勢を整えていく。

◇融雪や空調に地中熱利用
エネルギーコストの削減/二酸化炭素の削減やヒートアイランド抑制など環境にも貢献
地中熱利用の現状と展望

 積雪の多い中間処理施設や最終処分場などで地中熱利用システムの導入が始まり出した。積雪が多い地方の場合、施設の雪かきは予想以上に手間が掛かり、コストもかかる。道路が凍結すれば事故のリスクが高まる。また、ボイラーなどで融雪すればエネルギーコストがかかり、二酸化炭素の排出量も増大させてしまう。一方、地中熱利用の場合、地中の温度をうまく活用することでエネルギーコストをほとんどかけずに融雪をすることができる。ヒートポンプを使うことで二酸化炭素の排出量も削減でき環境に貢献する。今後、産業廃棄物施設などで導入が進むと思われる地中熱利用を紹介する。

◇小形風力発電の導入件数が急増
信頼や安心を担保する時代に/新規事業や新たな投資対象として注目
小形風力発電の現状と展望

 これまで再生可能エネルギーの普及拡大は太陽光発電を中心に進んできた。しかし、年々、固定価格買取制度(FIT)の調達価格が下がり、業界が縮小傾向にある中で、今、最も注目を集めているのが小形風力発電だ。太陽光発電に代わる投資先として、また新たな産業として、小形風力発電の市場が年々拡大している。産業廃棄物処理業者が新規産業として参入するケースや、最終処分場跡地に設置する計画も出てきた。小形風力発電の現状と課題、今後の展望について考察してみる。

◇来年度、FITはどう変わるのか
輸入燃料も認定基準の対象になるのか/大きく変わる一般木材等バイオマス発電設備
再エネの現状と展望

 再生可能エネルギー事業者や再生可能エネルギーを導入しようと考えている事業者にとって、固定価格買取制度(FIT)の動向は非常に気掛かりだ。調達価格の変更や新たなルールなどは事業の計画や設備の変更など、影響が出ることは必須だ。国は再生可能エネルギーを最大限導入するとしながらも、導入が急速に進んだ太陽光発電や、賦課金の増加により、FITの改定を毎年度行っている。来年度はどうなるのか。FITの価格を決める調達価格算定員会で一定の方向性が示されたので報告をする。

1月15日号ダイジェストニュース
◇和歌山に選別特化の第1号施設
グループ最大の4320m3/日
ふるい下処理で埋立負荷軽減へ

- 大栄環境 -
 大栄環境(グループ本部・神戸市、金子文雄社長)は、第7次経営計画に掲げる「埋立負荷軽減システムの構築」に向け、選別特化型の第1号施設「和歌山リサイクルセンター」を和歌山市内沿岸部の西浜地区に建設、12月11日から稼働を開始した。選別の許可能力はグループ最大級の4320立方メートル(24時間)で、投資額は約10億円。混合廃棄物残渣のリサイクルを徹底し、埋立処分量の6割削減を目指す。

◇中国のプラ輸入禁止対応を
宮城県の緊急セミナーで/政策とRPF、再生まで
 宮城県が12月20日に仙台市内で行った「廃プラ資源中国輸入ストップ緊急対策セミナー」に県内外から廃棄物処理業、リサイクル業、排出企業、行政担当者ら150人以上が参加し、急きょ別会場でもライブ中継を行うなど、あらためて事態への関心の高さがうかがわれた。後藤康宏県環境生活部長は、「県内での(有価物を含む)廃プラの発生量は詳細に把握できていないが、関連業界に多大なインパクトがあるだろう。すでに、『有価買取から処理費支払いになった』、『(バイヤーが)引き取りに来なくなった』などの声も聞く。皆さんに役立ててほしい」と述べた。

◇施設認証、第一号
再生砕石の利用拡大へ
- 成友興業 -
 成友興業(本社・東京都あきる野市、細沼順人社長)は昨年12月、東京都環境局の「再生砕石利用拡大支援制度」で初となる施設認証を取得し、認証機関の(公財)東京都環境公社で施設認証取得証の交付式が同月20日に行われた。

◇特集 燃料転換 廃棄物由来燃料、転換期へ
一部の物は滞貨寸前か/中国規制、需要家方針が影響
化石燃料と凌ぎ削る事態も/新たな利用先確保必須

 中国による生活系のプラスチックスクラップや雑品スクラップなどを対象にした輸入禁止固体廃棄物通告など各種再生資源の輸入規制が抜本的に強化される中で、国内での再生利用のみならず、廃棄物由来の代替燃料の需給、焼却処理の「枠不足」などエネルギー回収・単純処理の事業にも大きな影響が出つつある。一方で、日本の再生原料・廃棄物由来燃料の需要家企業でもこの動向を睨みつつ、中長期の減産傾向とも相まって、従来の利用方法・品目比率を見直すという新たな「燃料転換」の動きがある。従来、バランスよくすみ分けて利用されていた廃棄物由来の代替燃料が競合して玉突きになる懸念があるという時代の到来だ。

◇大型施設の設置は落ち着く
廃プラの搬入量が増加/一部で企業の吸収合併も
焼却処理と埋立処分の現状

 産業廃棄物の焼却処理と埋立処分の分野では、近年特に東日本(東北・北関東)で大型施設の設置・竣工が相次いだ。小規模施設の案件が残っている一方で、大型施設の設置・竣工は現在、一旦落ち着きつつある。一部では、既存の施設を買収(吸収合併)する事例も増えてきた。今後、産業廃棄物発生量の減少や後継者問題等でその動きが加速する可能性もある。昨年には、中国が一部の廃棄物の受け入れを停止する通知を発出した。今後この影響を受けて、焼却施設・埋立処分場での廃プラスチック類の搬入量の増加が懸念されている。

◇廃棄物の価値高める方策
大規模な焼却施設が少ない日本/固定価格買取制度で進展
ごみ発電の課題と期待

 ごみ発電は、導入されることが多くなってきた。焼却だけでは熱エネルギーは放散するだけ。ごみ発電をすると一般発電量の一部を肩代わりすることができ、地球温暖化ガスを削減できる。ごみ発電を増やすために何が必要になるか確認してみたい。

◇増える3品目とバイオマス発電
石炭灰の発生率11.2%/成長途上のマーケット
燃え殻・ばいじん・鉱さい最前線

 日本の電力会社は、火力発電に舵を切った。昨年までは、石油・石炭・天然ガスを分配して発電する方針だったが、環境省が温暖化防止のために、石炭火力発電が増えることを嫌がり、天然ガスを使った発電が増えた。フライアッシュが最も発生するのは、石炭火力発電から出てくるもの。フライアッシュ発生量は、一昨年、昨年と横ばいが続く。

◇廃プラの受入単価上昇傾向
混廃3年前より4000円アップ/バイオマス発電で増えた品目
最終処分場の未来

 最終処分場の建設は、どの地域でも困難を極める。処分場の減少が、日本の最終処分場の受入価格のアップにつながっているが、現在、国内で閉鎖する処分場は、新規と比べて多い。年々減少している。そこで、最終処分場の受入単価のアンケートを実施。埋立処理をしている事業者に対して、産廃の品目ごとの受入単価を調査して、地域ごとにまとめた。さまざまな要因から建設は困難を極めるが、生活する上で必要な施設「最終処分場」の現状を見ることで未来を探る。

◇懸念される診療報酬改定の動き
“適正価格への理解促すチャンスに”/医療廃棄物特集
 かつて処理料金がキロ200円の時代があった感染性医療廃棄物。現在は通常の産廃並みになったとの声が大勢を占めるが、処理に求められる質は変わらない。排出事業者の側に立ち、適正かつ安全安心な処理を提供することが収集運搬、中間処理業者の重要な役割である。本紙では、最新の動向をまとめるとともに、複数の事例を紹介する。

◇処理困難物への対応強化
製造側の回収求める声も/政令20市アンケート調査結果
 近年、清掃工場での処理が困難な家庭系一般廃棄物について、自治体による適正処理体制の強化が進んでいる。政令市を対象にした調査ではスプレー缶や蛍光管について、回収・処理体制が一部変更していることが判明。また、注射針やボタン電池などについても、住民側の要望を受けて新たに受け入れを開始した自治体があることが分かった。処理困難物に関しては適切な回収・処理体制の整備が必要だが、全てを清掃工場が担うことは現実的ではない。自治体からは「メーカーに回収・処理システムの構築を求めたい」との声も挙がっている。

◇新春インタビュー 法改正踏まえ適正処理推進を
各地域における資源の循環に貢献を
- (一社)全国清掃事業連合会 専務理事 山田久氏に聞く -
 2年前に発生した廃棄食品の転売事案は、廃棄物処理法の見直し議論に大きな影響を与えた。昨年の法改正では不適正処理への対応強化などが盛り込まれ、環境省も廃棄物管理チェックシートを公表、都道府県などへ活用を促している。しかし排出事業者の責任意識の希薄化を要因とする不適正処理事案はいまだに多く、一般廃棄物分野においても深刻な問題だ。一廃処理業者は適正処理を守る一員として排出事業者、行政と連携して適正処理を守る役割がいっそう求められているといえる。また一方で深刻化する地球温暖化への対策が喫緊の課題となるなか、循環型社会の構築に向けて資源の地域循環を進める必要性も高まっている。生活環境の保全、および公衆衛生の向上を担う一廃業者に今、何が求められているのか。(一社)全国清掃事業連合会専務理事の山田久氏に話を聞いた。

◇累計560万tを節減
初年度の結果まとまる/自主行動計画2020
 容器包装の3Rを推進する8団体で構成する3R推進団体連絡会(幹事長・宮澤哲夫PETボトルリサイクル推進協議会専務理事)は「自主行動計画2020」の初年度となる2016年度のフォローアップの結果をまとめ、06年度からの資源の節減効果が累計で約560万トンに上ることを明らかにした。

◇需給ギャップの是正へ
進む都内の再開発と解体需要/路盤材用途が減少
再生砕石の利用拡大に向けた都の取り組み

 2年後に控える東京オリンピック・パラリンピック関連工事やアジア地域の業務統括拠点や研究開発拠点の集積を目指した「アジアヘッドクォーター特区」を軸に進む再開発、建築物の老朽化等による建て替えなど、都内各地で建設ラッシュが続いている。

◇各地で混廃施設が誕生
深刻さ増す「空き家」「橋梁」問題/人手不足をAIでカバー
建設系混合廃棄物最前線 ~ふるい下残さの行方~

 老朽化が進む建物の解体需要が続いている。深刻化する空き家対策も相まって、この勢いは当面の間は期待されそうだ。また、これまで想像しなかったような自然災害が日本各地を襲っている。一部の地域では壊滅的なダメージを受け、依然として復旧活動が行われている。

◇規制強化で工事ストップも
コスト増と適正処理で悩む排出業者/除去費用がこれまでの数倍に
アスベスト処理最前線

 “静かな時限爆弾”と言われ、数十年の潜伏期間を経て中皮腫や肺がんを引き起こすアスベスト。深刻な健康被害をもたらす一方、保温性など優れた性質を備えていたことから、建築物では吹付けアスベストをはじめ、耐火被覆材や断熱材、スレート板など多様な製品として使用されてきた。ただ、これまで労災認定などの対象となった人は2万人を超えた。そんなアスベストを含んだ建材を使用した建物は、民間のものだけでも国内に280万棟あると推計されている。しかし、その実態はまだまだ掌握しきれていないのが現状だ。2016年には、北海道札幌市内の小学校と中学校の給食調理用ボイラの煙突で石綿を含む断熱材が使用、中には落下していたものが見つかった。また、昨年は全国の公営住宅約2万2000戸で吹付けアスベストが発見。大きなニュースとなった。

◇石膏ボードリサイクル、ガイドライン策定へ
国内有識者集め策定委員会/全国石膏ボードリサイクル協議会も委員会に協力
石膏ボードリサイクル

 石膏ボードのリサイクルは、処分場ひっ迫などの問題が指摘されつつも、各県のリサイクル認定品の基準も地域ごとに異なるなど、統一的なリサイクル基準が示されていなかった。しかし2016年4月、全国の石膏ボードリサイクルを進める業界団体が集い「全国石膏ボードリサイクル協議会」が発足され、安全品質ガイドラインを策定することで再生石膏のリサイクルを推進していくことを目的として、議論が進められている。

◇新春インタビュー ガイドライン作成と石膏ボードリサイクル
リサイクル率向上に向け基準を
- 福岡大学 教授 佐藤研一氏に聞く -
 増加が進む石膏ボードの排出量。フッ素や硫化水素の問題などが指摘されることも多く、リサイクルを進めるには多くの課題がある。この課題を踏まえた上でリサイクルを進めるために必要な「ガイドライン」、この策定を進めているのが、「全国石膏ボードリサイクル協議会」そして「再生石膏粉の有効利用ガイドライン策定委員会」。同委員会にて委員長を務める佐藤研一福岡大学教授に話を聞いた。

◇2019年に解体系100万t超へ
受け皿確保が急務/利用用途の拡大が鍵
廃石膏ボードリサイクルの現状と今後の課題

 近年、増加傾向にある自然災害に対する防災・減災対策の一環として、また、外国人旅行者を誘致するための改修工事といったリノベーションなど、多くの工事が進んでいる。一時期、一部の地域で「解体工事は落ち着いた」という声もあったが、全国的に需要は高く解体工事は今後も続くとされている。

◇新春インタビュー 瓦リサイクルの先駆者
公共工事利用が年々増加
車載式“瓦”舗装材プラントを開発
- エコシステム 専務取締役 高田実氏に聞く -
 エコシステム(石川県能美市)は、廃瓦をリサイクルした瓦骨材利用舗装「K‐グランド」を開発し、フランチャイズによって30都府県に施工体制を敷く国内有数の瓦専門処理業者だ。同社の廃瓦リサイクルシステムを導入した19企業によって構成される「K‐グランド会」の発足から約3年が経過。徐々に周知され、九州や関西、甲信越などの設計事務所や建設現場からも問い合わせが相次いでいる。

◇ハウスメーカーの循環資源対策
発生抑制から再生利用までを検証/排出事業者の廃棄物対策
 ハウスメーカー各社では、大手を中心に資源を循環していく試みを年々進めている。自社の部材や資材工場とも連携し合い、プレカット加工を徹底するなど施工段階で建設系廃棄物の発生を極小化しようと取り組んでいる。また、建設現場へ搬入される部材・資材の梱包材一つをとっても、簡素化または再利用が可能な素材に切り替えるなど、さまざまな対策が講じられている。

◇これまで通りの経営感覚からの脱却を
1000万円超の支払い命令も/他人事ではない労務管理
労務トラブル最前線 ~問題防ぎ“攻め”の産廃経営~

 会社を経営していく上で、経営者は労使トラブルを見過ごすことはできない。近年、長時間労働はじめ、上司からのパワーハラスメントなどが原因で、過労死・過労自殺が相次いでいるという報道を頻繁に耳にする。

◇除去土壌の受入が開始
福島全体の復興加速へ/課題が残る県外最終処分
中間貯蔵施設の現状

 福島県内の除染作業で発生した土壌・廃棄物や10万ベクレル/キログラム超の焼却灰を搬入する中間貯蔵施設では、今年10月から大熊工区での土壌貯蔵施設等(第1期)の稼働を開始した。一番多くの割合を占める土壌の搬出先が確保されたことで、福島県全体の復興の加速が見込める一方で、県外最終処分の確保などの課題も残っている。

◇自然減衰で数量が減少
現地管理の継続も決まる/求められる負担軽減
指定廃棄物の動向

 8000ベクレル/キログラム超の指定廃棄物は、千葉県と茨城県、栃木県、群馬県、宮城県で一定数量が保管されている。各県で複数回開催された市町村長会議で管理の方向性を議論した結果、長期管理施設の設置という前提を残しつつ、現地保管を継続する県もあるなど、各県の実情に合わせた対応をとることになった。保管者の負担は長い間続いているため、その軽減に向けた対策が求められている。

◇各自治体の新たな策定状況を総覧
大規模地震等への備え進む/民間事業者との連携が重要に
西日本の災害廃棄物処理計画

 近年頻発する地震や大型の台風、豪雨による自然災害に備えた災害廃棄物処理の対策が急務となっている。東日本大震災を契機として、国が2014年3月に災害廃棄物対策指針を提示したのを受け、各県・市町村でも近い将来に発生が予想される南海トラフ巨大地震などを想定した災害廃棄物処理計画の見直しや新たな策定を推進。膨大な廃棄物が発生すれば被災地だけでは処理しきれないため、県を越えた広域での協力体制の構築が欠かせない。また、廃棄物処理事業者など民間の力を生かすためには、平時からの連携が重要になってくる。現在、環境省の「大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針」をもとに、全国レベルと8地域ブロック(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)単位双方で、災害廃棄物処理体制の構築が進められている。昨年、新たに策定された各自治体の計画概要をまとめた。

1月22日号ダイジェストニュース
◇第3期申請認可分で1.2万t
1月半ば時点で昨年の300分の1/中国廃プラ輸入枠激減
 中国環境保護部の固体廃棄物・化学品管理技術センター発表によると、同国における2018年のプラスチックスクラップ輸入ライセンスが付与されたのは、1月半ばの第3期申請認可分までで合計12社・約1万2130トンとなり、17年に比べて300分の1以下にまで激減することがわかった。中国に輸出していた日本や欧米への多大な影響は必至だ。

◇事業ごみ受付センター開設
23区で一括受付の実験/車両の効率的運用狙う
- エコスタッフ・ジャパン -
 エコスタッフ・ジャパン(東京・中央、田部和夫社長)は1月10日、ワンストップ型廃棄物受付サイト「事業ごみ受付センター」を開設した。

◇LED電球でFC展開
処理業者を窓口に普及へ
- ウェス・ネットワーク -
 廃棄物管理業務を手掛けるウェス・ネットワーク(東京・中央、山岸浩昭社長)は、LED電球のレンタル事業構築に乗り出した。地域への普及を視野に、協力会社の廃棄物処理業者をフランチャイジーとするフランチャイズ制度を導入し、2018年3~4月をめどに、LED電球のレンタルまたは格安での販売を一斉にスタートする。

◇食リ事業の実態把握へ
J・FECを現地視察
- 武部環境大臣政務官 -
 食品リサイクル事業者の実態を把握しようと、武部新・環境大臣政務官が1月15日、相模原市にある日本フードエコロジーセンター(J・FEC、高橋巧一社長)の飼料化施設を視察した。液状飼料化のラインをつぶさに視察した武部政務官は、「環境省がやろうとしていることを具現化したビジネスモデル」と同社の取り組みを高く評価した。

◇複数品目での「分級」許可を取得
7~8割まで再資源化率が向上
- リョクリン -
 産廃の収運から処理、解体工事などを手掛けるリョクリン(愛知県日進市、鈴木隆真社長)は、埋設廃棄物の再資源化率を向上させる一環として既設施設を増強し、「分級」の許可を取得した。分級の許可を取得したことで、掘削作業で発生した鉱さいや燃え殻の混じった埋設廃棄物をそのまま受け入れが可能となった。初年度の受け入れは、分級だけで約2万トンを目指す。

◇大規模震災に備え万全な体制を
新年交礼会を盛大に開催
- 愛知産廃協 -
 (一社)愛知県産業廃棄物協会(永井良一会長)は1月10日、ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋(名古屋市)で「2018年新年交礼会」を開催した。愛知県の大村秀章知事はじめ、会員関係者ら約460人が参加し盛大に行われた。

◇低価格・短工期・高品質
業界シェアが1位
- 横河システム建築 -
 横河システム建築(千葉県船橋市、大島輝彦社長)のシステム建築のブランド「yess建築(イエス建築)」は、廃棄物最終処分場・リサイクル施設に数多く採用されている。これまでに128カ所の施工実績がある。

◇適正処理への対応を強化
三つの項目がポイントに/7年ぶりの大規模な変更
電マニ義務化など政省令準備着々/特集 廃棄物処理法改正

 昨年6月16日に公布された改正廃棄物処理法、大規模な改正としては2010年度以来7年ぶりとなった。ポイントは大きく「廃棄物の不適正処理への対応の強化」、「有害使用済機器の適正な保管等の義務付け」、「親子会社による一体的処理の特例」の三つだ。電子マニフェストの一部義務化が規定されるなど、多くの事業者に影響を与える内容となった。現在(17年12月12日時点)は施行に向けた準備として政省令案等に関する意見公募が行われている。

◇資源循環識者インタビュー 「広域マルチバリュー循環」の可能性
サーキュラーエコノミーの進展
- (国研)物質・材料研究機構 原田幸明氏に聞く -
 欧州を中心とした資源戦略分野から盛んに唱えられている「サーキュラー・エコノミー」(以下CE)。この経済モデルは、G7伊勢志摩サミットでも議題の一つとなり、いまや先進国が取り組むべき課題となっている。一方、欧州から発した概念であるため、日本がこれまで取り組んできた「循環型社会」との違いや、具体的なビジネス像などが分りにくいとの声もある。ここでは、(国研)物質・材料研究機構の原田幸明氏に、CEの概要や、それを発展させたものとして同氏が提唱する「広域マルチバリュー循環」について話を聞いた。

◇不適正、グレーな処理に歯止め
法改正で「有価物」に踏み込み/時代とともに判断基準設け
“廃棄物”と“有価物”の政策

 昨年施行された改正廃棄物処理法では、有害物質を含んでおり生活環境に支障をもたらすおそれがある雑品スクラップを「有害使用済機器」としてヤード業者への届出や保管基準などの規制策を打ち出した。この改正が画期的なのは、「有価物」であっても廃棄物処理法での規制をかけているところだ。適正な再生利用を進める方策などについて、廃棄物処理法はどのように対応してきたのか。

◇新春インタビュー 時代に即したリサイクルを
新たなアジア資源循環模索/効率向上、社会的費用低減
国際動向睨み、素材産業へ

- 経済産業省 リサイクル推進課長 高角健志氏に聞く -
 中国が昨年夏、生活系固体廃棄物(プラスチックなど各種スクラップ)の輸入規制政策を打ち出す一方で、金属などの資源価格はまだ持ち直しきっていない。欧州では、EUが「資源効率」「循環経済」の政策パッケージを打ち出した。かつてない新たな時代に日本のリサイクルはどこへ向かうのか。経済産業省産業技術環境局の高角健志リサイクル推進課長に話を聞いた。

◇新春インタビュー 促進策を新たな段階へ
小電はPRと個別相談強化/容リは魅力的で健全な競争へ
プラリサイクル高度化を

- 環境省 リサイクル推進室長 小笠原靖氏に聞く -
 個別リサイクル法の見直しが一段落し、見直しを受けた施策が実施されている一方で、中国が世界貿易機関(WTO)に輸入禁止固体廃棄物(各種スクラップ)の通告を行ったことで輸出されていた各種スクラップが行き場を失い、日本の関係業界も多大な影響を受けるのは必至だ。リサイクル促進と違法行為への規制強化がますます重要になっている。環境省の小笠原靖リサイクル推進室長に話を聞いた。

◇廃プラ輸出全般で影響大
MIX古紙年130万t減も/雑品・金属系は未決定
中国の環境規制と循環資源動向

 中国による廃プラ類やMIX(ミックス)古紙、金属系雑品など再生資源の輸入規制強化が、日本のリサイクルや廃棄物処理業界に激震を呼び込んだ。昨年までは、世界中の再生資源が中国に流入していた。廃プラは、地球上の7割が中国に入っていたことになる。すでに昨年7月から、廃プラやMIX古紙の中国輸出への動きが鈍くなってきた。廃プラや古紙など循環資源の中国に対する依存度が高かっただけに、あらゆる産業にとっても無関係ではいられない事態が起こっている。

◇中国・香港向き8割減に
RPFやセメント工場に30万t/国内で30万tの再生ペレット
廃プラ再利用‐転換期

 日本国内から発生する廃プラスチック類は、転換期を迎えている。年間206万トンの原料利用があるが、リサイクル先として154万トン(2016年)が輸出で、中国・香港向けが、130万トン、84%を占めていた。今年から中国に行く廃プラは、20万~30万トンといわれる。7~8割減となる。前代未聞の減少率だ。今まで中国に輸出されていた100万トンの中で、半分は、台湾・ベトナム・タイ・マレーシアが吸収すると見られる。日本国内で回収した廃プラを新たな施設で再生ペレット化する30万トン、RPFやセメント工場など燃料利用が30万トンと見込まれる。

◇“ポスト中国”と“中国新ルート”
輸入規制強化が大きく影響/国内循環は可能性と課題
“世界の工場”、依然存在感/コンパウンドが鍵握る
新たなビジネスモデルも/特集 プラ再生の行方

 中国が昨夏に打ち出した生活由来のプラスチックスクラップなどへの輸入規制強化・禁止施策は、中国の輸入リサイクル業者はもちろん、日本で輸出リサイクルを手掛ける商社やディーラー・リサイクル業者、国内循環利用を進めてきたリサイクル業者に驚きをもって受け止められた。「いつかはこのような時が来ると考えていたが、予想をはるかに超えて急激な規制強化施策が打ち出された」という状況だったが、すでに「ポスト中国の事業展開」「中国新ルート開拓」を見据えた取り組みも始まりつつある。

◇中国・香港の輸出ゼロに
タイ・ベトナム存在感増す/アジア支店や工場稼働続々
PETボトル再生利用動向

 中国・香港への廃プラ輸出規制は、生活系プラから始まった。完全に網にかかったPETくずは、中国向けが2016年に33万トン輸出しており、香港向けが3.3万トン、全体が38万トン輸出されていたことから、実に9割近くが中国・香港に輸出されていた。今年、これがゼロになる。激変期を迎えるPETボトル再生利用動向を探った。

◇市町村回収の約1/3が独自に
中国の規制強化で関心高まる/PETボトル独自処理ルート調査
 PETボトルの市町村分別収集量のうち、約3分の1が自治体・組合単位で独自入札を行う「独自処理ルート」に回っている。指定法人ルートと独自処理ルートのどちらを選ぶかは地域の事情によって判断が分かれるところだが、中国が廃プラ輸入を原則禁止したことで、特に独自処理ルートへの影響に関心が高まっているところだ。ここでは本紙が実施した独自処理ルート調査の状況をまとめるとともに、政令都市・中核市・県庁所在地等の結果の一部を抜粋して掲載。その他、環境省が行った市町村実態調査についても紹介する。

◇高度化の体制、着実に進行
家庭系、事業系ともに/大手の施設そろい踏み
特集 関東のPETボトルリサイクル

 激動のプラスチックリサイクルで注目される際たるものが、中国の輸入規制強化で対象となっている使用済みPETボトルだ。有力リサイクラーの高度な施設が竣工し、輸出リサイクル業者も多い関東エリアの動きを見てみよう。

◇鋼材需要堅調で水準高く
鉄鉱石価格なども影響/需給ギャップ800万tに
鉄スクラップ輸出動向

 2017年1~10月の鉄スクラップ輸出は、東京オリンピックを前にした堅調な国内需要を背景にしつつも、中国の地条鋼廃止に伴う埋め合わせ需要や新たな輸出先の開拓などで数量を維持した。価格は鉄鉱石や原料炭といった鉄鋼原料の高値に支えられ、昨年より一段高い水準で推移している。年初では、鉄鉱石価格の急騰や非鉄価格の上昇が鉄スクラップの価格をけん引。その後は、鉄鉱石の暴落を契機とした国際市況の弱含みで値を下げたが、夏以降は上向いた国際価格に同調して強含みに推移。オリンピックに向けた需要増も重なって、さらに値を上げる展開となった。

◇コモディティ化が定着
投資マネーが価格形成/長期的な資源制約がカギ
非鉄金属国際動向

 2017年の非鉄金属の国際市況は、資源制約を背景とした強含みで推移。中国の動静や地政学的リスクに左右されながらも、多くの鉱種で近年まれに見る高値圏を形成した。特に当年の非鉄金属は、金融コモディティ(商品)として確かな地位を築いたと言えるほど、投資ファンドの影響が拡大。短期的なスパンでのマネーの流動性が大きく、思惑買いや利益確定売りなど、金融市場と同等の値動きを見せた。これまでリスクヘッジ向けの安全資産という性格が強かった非鉄だが、金融商品化が著しく進んだことにより変動性が強まり、リサイクル事業のリスクとなっている。

◇国内外で規制強まる
中国輸出の先行き不透明/国内循環に向けた備えを
雑品スクラップ動向

 最近、いわゆる「雑品スクラップ」に対する規制が強化されつつある。以前から、不法なヤード業者による不適正処理の可能性が指摘され、不法投棄や環境汚染の温床と言われてきた雑品スクラップだが、近年、港湾での火災の原因となり、貿易上でもシップバックの要因となるなど、問題は拡大傾向にあった。そうしたなか政府は、雑品スクラップを廃棄物処理法の枠組みのなかで扱えるよう、同法を改正。一方、主要な輸出先である中国でも、環境の視点から貿易規制の対象となり、国内外で急激に取り締まりが強化されつつある。

◇回収率、利用率、堅調に推移
輸出国・中国の動向に関心/日本の古紙
 (公財)古紙再生促進センターによると、日本国内の古紙回収量は2123万3289トン(2016年度)で、回収率81.3%、古紙利用率は64.2%で、回収、利用率ともに堅調に推移している。近年、自治体が可燃ごみ減量化の一環として雑がみの回収を広げており、異物や禁忌品の混入による品質低下を懸念する声がある。一方、輸出に目を向けると、最大の輸出先である中国は、再生資源への環境規制強化により日本からの輸出量が大きく減少しており、今後の動向に関心が高まっている。

◇大半が資源化されず、焼却
6割の排出者はセキュリティ重視/機密文書の現状
 オフィスから出る古紙のリサイクルが古紙利用拡大の重要な要因とされる中、資源化率が低い機密文書のリサイクルが重要課題となっている。昨年10月、都内で行われた(公財)古紙再生促進センター主催2017年度「紙リサイクルセミナー」では、最新の実態が公表された。社内でシュレッダー処理した後、大半が資源化されず、焼却処理されていること、また、6割の排出事業者が委託契約を結んでいるが、その際最も重視しているのはセキュリティであることがわかった。

◇優良性評価が具体化へ
求められる業界の透明性/転売事案から2年
食品リサイクルの行方

 食品廃棄物不正転売事案の発覚からおよそ2年が経過し、この間に食品リサイクル法に基づく判断基準省令の改正や、廃棄物処理制度の見直しを経て発出された環境省通知を通じて、排出業者責任の重要性が改めてクローズアップされた。一方、食品リサイクル業者の側には、食品廃棄物の受け入れから再生利用製品の販路に至るまで、いっそう透明性の高い取り組みが求められる状況になっている。食品リサイクル界の2018年を展望する。

◇BDFにエコマーク
さらなる利用拡大へ/廃食用油最前線
 廃食用油の回収・リサイクルを取り巻く情勢は、適正価格理解の難しさ、慢性化する人手不足など多くの課題を抱えるが、地元に根を張り、奮闘する事業者は少なくない。本紙では、BDFで国内初のエコマーク商品に認定された千田清掃はじめ最新の事例を紹介する。

◇バイオガス発電、本格化
飼料化とのハイブリッド型も/食品リサイクル事例/東日本
 食品廃棄物のバイオガス発電事業が本格化している。秋田県初のバイオガス発電所となるナチュラルエナジージャパンをはじめアミタ・南三陸BIO、飼料化のみならず、バイオガス発電を行うハイブリッド型のアルフォ。東海地区最大規模となる牧ノ原バイオガス発電所の四つの事例を紹介する。

◇業界牽引する飼肥料化事業者
築いた“強み”生かし躍進/バイオガス化も注目集まる
食品リサイクル事例/西日本

 食品リサイクルは原料の性状が幅広く、時間経過による変性や臭気の発生もあるため、高い処理技術やシステムの構築が必要になる。また、排出事業者や農業関連事業者との連携が事業成功のポイントとなる点も特徴だ。ここでは、これらの課題をクリアし、独自の強みを生かしながら食リ業界を牽引してきた事業者の取り組みを紹介。また、近年注目を集めるバイオガス化事業についても取り上げる。

◇新春インタビュー バイオマス産業都市の進捗
各地の構想を実現へ/27市町村45施設が稼働
- 農林水産省 食料産業局 バイオマス循環資源課 課長 川野豊氏に聞く -
 農林水産省など関係7府省が連携して推進する「バイオマス産業都市」について、2017年度は11市町村が新たに選定された。バイオマス事業化戦略(12年9月)で、バイオマスタウンの発展・高度化するものとして位置付けられてから5年が経過したこの構想は、どこまで進捗したのか。農林水産省バイオマス循環資源課課長の川野豊氏に語ってもらった。

◇選定地域が計61地域に
目立つバイオガス発電と熱利用/産業化や地域エネ強化目指す
バイオマス産業都市の進捗

 バイオマス産業都市とは、木質や家畜排せつ物、食品廃棄物といった地域バイオマスの原料生産から収集・運搬、製造・利用までの一貫システムを構築し、環境にやさしく災害に強いまち・むらづくりを目指す一大プロジェクトである。2013年度から関係7府省が都市の選定を進めており、選定地域には連携して支援を行う。今年度、その選定地域は計61地域まで広がった。ここでは、同プロジェクトの概要と進捗を紹介したい。

◇良質安価なエコフィード製造へ
地元畜産業界に貢献したい/和牛の実証牧場も立ち上げ
エコマネジメント/食品リサイクル現場ルポ

 エコマネジメント(和歌山市、阪口宗平社長)は1973年に創業し、工場系汚泥処理を主力とする産業廃棄物処分業を展開してきた。時代の流れで汚泥が減少する中、植物性残さが増加傾向にあった2006年から食品リサイクル事業への参入を検討。12年に「畜産協会わかやま」との連携を強め、繁殖和牛向け飼料の製造を本格化、15年4月にエコフィード認証を取得している。さらに17年2月には、製造飼料の品質向上と普及を見据え、自社で和牛のエコフィード実証牧場をオープンした。
 これらの実績が認められ、地元のブランド牛「赤身が旨い!熊野牛」の認知度アップに向け県との連携事業が決まるなど、今や和歌山の食リをリードする存在となった同社。阪口社長は、「食リビジネスは非常に厳しいが、安価で質の高いエコフィードで地元ブランド牛を飛躍させ、県内の畜産農家に貢献したい」と熱く語る。ここでは、阪口社長と出口正雄会長の協力のもと、同社の飼料化と畜産事業の現場をレポートする。

◇国内で年間621万tが無駄に
官民挙げての取組進む/広がる“食べきり”運動
食品ロス削減を巡る動向

 近年、「食品ロス削減」の機運が国内外で高まっている。食品ロスとは、食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。現在、国内で発生している食品ロスは年間621万トン(2014年度推計)とされ、これは世界全体の食料援助量の約2倍に相当するという。内訳は、事業者からが339万トン、家庭からが282万トンだ。この状況を受け、行政をはじめ、関係各所が連携して食品ロス削減に向けた取り組みを本格化させている。

◇最大国マレーシアに復調兆し
国内発生量は増えるも/土俵際の輸出リユース/古着
 古着の国内発生は確実に増加してきた。ネット販売は好調だが一部、陰りも出てきた。これまでは、ネット販売の売れ残りが輸出に回ることが多かったが、反動が出て、ネットを嫌うユーザーも現れてきた。行政の回収量も増加しているが、品質は悪く、ごみ捨て感の強い懸念が残る。古着の最大輸出国・マレーシアで復調の兆しが見えてきた。昨年の動向から今年の動きを推測したい。

◇住民等との関係性が重要
企業や業界団体が主体に/清掃活動や環境教育を実施
産廃業界と地域との共生

 産業廃棄物処理業は地域に根差した事業内容となっているため、住民等との関係性が企業の存続・発展のためにも重要となる。地域への貢献活動として行われているのは、清掃活動や環境教育、地域スポーツ活動への支援など多岐にわたっている。企業単体で実施するものから業界団体で実施するものまで規模もさまざまだ。

1月29日号ダイジェストニュース
◇国際循環ネット事業化
アジア視野にタイ支社設立/再生ペレット委託加工
- アプライズ -
 リサイクル事業で実績を重ねるアプライズ(大阪市東淀川区、平良尚子社長)は、東南アジアを視野に入れた「国際循環資源ネットワーク」を構築して、廃プラの発生元、原料化、利用事業者をつなぐ事業を本格化した。

◇業界あげて火災防止へ
損保業からみた対応策など学ぶ/中国の古紙輸入動向にも関心
- 日本RPF工業会 -
 (一社)日本RPF工業会(事務局・東京、長田和志会長)は昨年11月21日、東京都内で同工業会安全衛生委員会(吉田潤委員長)の主催により第3回安全大会を開催した。会員企業の82人が熱心に耳を傾けた。

◇半年で小電10tを回収
対象拡大で6倍増加
- 神戸市 -
 兵庫県神戸市は2017年4~9月の期間で、使用済み小型家電を9451.5キログラム回収した。昨年同期間の回収量は1533.2キログラムで、約6倍にも増加。回収場所は減少しつつも、回収対象品目の拡大やボックスの一新などの工夫で、数量を伸ばしている。

◇地域資源の活用推進へ
消化液利用など支援枠
- 農水省18年度予算から -
 農水省は、2018年度の持続可能な循環資源活用総合対策として、バイオマスや再生可能エネルギーの活用推進と、食品産業における食品ロス削減などに向けた取り組みを支援する。昨年12月に概算決定した18年度予算から、概要が明らかになった。

◇適合チップ認定制度に共同宣言
需要者とメーカーで
- 関東木材資源リサイクル協会 -
 関東木材資源リサイクル協会(東京・中央、藤枝慎治会長)は1月19日、関東全体会議を行い、適合チップ認定制度について、木質チップメーカーとユーザー含む需要者が共同宣言を行った。開会に伴い藤枝会長は「現在リサイクル業界は大きな変革の時期を迎えている。リサイクル製品、さらに働き方改革もあり、週休2日制や祝日に加え2020年には下請け法が改定になる。経営の高度化、収益改善を進めていくことが必須となる」とあいさつした。また藤枝会長は共同宣言について「すでに関係省庁には説明しており、好評を得ている。多くの会員に適合チップの認定を受けて欲しいと考えている」と話した。

◇処理の知識・経験を語る
シンポジウムを開催/災害廃棄物
 環境省は昨年12月、東京都内で災害廃棄物対策に関するシンポジウムを開催した。災害廃棄物について処理・輸送・報道の分野で関わった学識者や行政担当者、マスコミ、民間事業者がその経験や知識を語った。

◇インタビュー 海外で廃棄物発電施設を竣工
国際的に設計体制が整う
- JFEエンジニアリング 取締役 専務執行役員 環境本部長 澁谷榮一氏に聞く -
 JFEエンジニアリングは昨年、廃棄物・アクア分野を統合した環境本部の立ち上げやミャンマーでの廃棄物焼却発電施設の竣工などを実現した。近年では、海外のグループ会社を含めたグローバル規模での設計体制を構築、今後東南アジアを中心に案件獲得を図る。国内・海外の事業展開・戦略について取締役専務執行役員環境本部長の澁谷榮一氏に聞いた。

◇インタビュー 日本の森林資源の有効活用を
林道・伐採や燃料の搬出の課題も/木質バイオマス利用の現状と今後
- (一社)日本木質バイオマス エネルギー協会 会長 酒井秀夫氏に聞く -
 東京大学名誉教授。専門は森林利用学、木材の伐採搬出、山からユーザーまでの輸送など。2017年度から(一社)日本木質バイオマスエネルギー協会の会長に就任した酒井秀夫氏に、日本の木質バイオマス利用の現状と今後について話を聞いた。

◇インタビュー 木質チップの品質向上と需給
在庫過剰の傾向と動向/木質バイオマス利用の現状と今後
- 認定NPO法人全国木材資源 リサイクル協会連合会 理事長/関東木材資源リサイクル協会 会長 藤枝慎治氏に聞く -
 木質バイオマスという言葉を多く聞くようになったものの、その根本には廃材を有効に利用するという前提がある。そうした建設系廃材を主とした木質チップ製造業や需要者からなるNPOが全国木材資源リサイクル協会連合会となる。今年度から新たに理事長に就任した藤枝慎治理事長に話を聞いた。

◇木質チップの品質向上へ
メーカーと需要者の相互理解を/「適合チップ」認定のためのガイドライン策定
- 関東木材資源リサイクル協会 -
 関東木材資源リサイクル協会は、今年から新たに「適合チップ」の取り組みを開始する。
 本取り組みでは「ガイドライン」を策定し、そのガイドラインに基づいて運営された施設において製造された木質チップを適合チップとして取り扱う。ガイドラインについても、木質チップの品質はもちろん、それを製造する工場・設備の管理、作業手順の徹底、労働安全や地域貢献などを含めた総合的な内容となっている。特に重要なのは、メーカーと需要者相互の理解のもとに設けられたガイドラインであることだ。

◇インタビュー 発電事業者らで連携協議会を発足
県と協力し未利用木材を集荷/木質バイオマス利用の現状と今後
- バイオマスエナジー東海 代表取締役 藤村重樹氏 -
- バイオマスエナジー東海 常務取締役 稲垣欣久氏 -
 岐セン(岐阜県)の本社・穂積工場内に建設された、岐阜バイオマスパワーが運営する木質バイオマス発電所(出力6250キロワット)は、2014年11月から運転を開始。約3年間安定稼働を続けており、同発電所の隣に2基目となる発電所(同6800キロワット)を建設し、20年秋の稼働を目指している。

◇インタビュー 熱の積極利用が鍵か
木質バイオマス利用の現状と今後
- WBエナジー/BERI 代表取締役社長 梶山恵司氏に聞く -
- バイオマスアグリゲーション 代表取締役 久木裕氏に聞く -

◇投入チップの傾向と推移
56事業所の稼働状況/全国木質バイオマスボイラーアンケート
 2017年12月初頭、全国で木質バイオマスボイラー、もしくは同燃料を活用した火力発電所を運営する企業を対象にアンケートを実施した。1年以上の稼働実績を持つ151事業所へ解答を依頼したところ、56事業所から有効回答があった。今回で6年目の調査となっており、例年通り設置時期や稼働率、チップ使用量・由来別の割合、ボイラーメーカー、様式(熱利用・発電)、発電出力、FITを導入した事業者向けに制度の対象期間(20年間)終了後、事業を継続するかどうかを聞いた。

◇全国で木質バイオマス発電所が稼働
年間チップ必要量は900万t/木質バイオマス発電所マップ
 2012年7月、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が施行されて以降、木質バイオマス発電施設が全国で立ち上がっている。山林未利用材とされる間伐材・林地残材にスポットが当たり、林業家や素材生産業者による原木の全幹集材やチップ化事業の動きが活発化。未利用材由来の木質チップ市場が生まれ、発電所を軸に全国で流通するようになった。また、多くの木くず処理業者の生木チップ加工業参入を促している。

◇17年は累計120万t近くへ
背景に外材需要の高まり/PKS輸入動向
国内木質発電計画の大規模化で

 パームヤシ殻(PKS)の輸入量の増加は2017年も止まらなかった。最新の貿易統計によると、17年における11月までの累計はすでに105万4488トン(金額では約120億円)に。これに12月分が加われば、120万トン近くに達する可能性も出てきた。ここ数年の輸入量の推移は、▽12年が2万6211トン(約2億5000万円)▽13年が13万1224トン(約15億5000万円)▽14年が24万4178トン(約29億5000万円)▽15年が45万6084トン(約58億円)▽16年が76万1410トン(約82億円)――。数十万トン規模で増え続けており、国内でPKSを活用した発電事業が活発化していることを裏付けている。

◇年々増加する竹林、分布北上に懸念
資源化し建材や燃料へ/竹のマテリアル・サーマル活用
 現在、日本には15万9000ヘクタールの竹林があり、その99%を占めるのはモウソウチクやマダケとされている。これらの竹は、生態系被害防止外来種リスト(環境省・農林水産省作成)で産業管理外来種(産業または公益的役割において重要であるが、利用上の留意事項が求められるもの)に指定されており、里山における生態系・生物多様性への脅威となっている。

◇27道府県1市/産廃税の使途
 産廃税は現在、全国27道府県と1市で導入されている。課税方式は大別して「事業者申告納付」「最終処分業者特別徴収」「最終処分業者課税」「焼却処理・最終処分業者特別徴収」の四つ。税収使途を中心に運用状況をまとめた。

◇地図なき荒野を切り開く
シェアと規模の時代へ/生き残りかけM&Aも
アジア資源循環も岐路に/産業廃棄物処理業界の再編

 「国内での廃棄物や再生資源の排出量は間違いなく減少しているが、一方で関連業者数は多すぎる。競争による生き残り、業界再編は必至だ」、「欧州の静脈産業メジャーが影響力を強めつつあり、中国系の企業が日本にリサイクル施設をつくる事例も増えつつある。日系の廃棄物処理業・リサイクル業も企業規模を大きくして対抗する必要がある」――。近年、廃棄物処理業界や資源リサイクル業界の業界再編を耳にする機会が増えている。今回は一般的な分析や意見はさておき、無謀ながら本紙編集記者独自の見方から、産業廃棄物処理の業界地図を探ってみた。

◇トップインタビュー
- 東武商事 代表取締役社長 小林増雄氏に聞く -
- ミダック 代表取締役社長 矢板橋一志氏に聞く -

◇廃棄物処理のプラットフォームへ
リバーHDが目指す未来図/高度循環型社会のインフラ作成
日本の静脈メジャー実現へ/廃棄物・リサイクル業界再編

 スズトクホールディングスは2017年11月、社名を「リバーホールディングス」(本社・東京、松岡直人社長)に改め、廃棄物処理業界の再編と経営基盤強化を本格的に進めることになった。産業革新機構(本社・東京、勝又幹英社長)から10月時点で32億3000万円を上限とする出資を受け、廃棄物処理の新たなプラットフォームを作成すると宣言し、年間売上高1000億円を超える「静脈メジャー」の形成を目指し、積極的な統合・提携を続けている。

◇成長期待の新規処理ビジネス
アジア都市のインフラ整備追い風に/PKS供給ヤード次々開設
海外に進出するリサイクル事業

 中国の環境政策で、廃プラやMIX古紙が流れにくい事態に陥っている。プラ系でいうならば、タイ、ベトナム、マレーシア、台湾が代替地として浮上してきているが、視界良好とはいえず不透明さが残る。他にも、日本のリサイクルや処理専門技術は、世界中から求められている。海外に進出する事業内容を紹介する。

◇年率7%の経済成長率を維持
発展加速で廃棄物処理が課題に/現地の行政や施設でヒアリング
カンボジア・ベトナム視察レポート

 発展著しい東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも、年率約7%の高い経済成長率を維持するカンボジアとベトナム。都市化の加速に伴い、急増する廃棄物の処理が重要な課題として浮上している。本紙では、2017年11月4~11日の8日間、2国の行政機関や廃棄物処理施設の視察を実施。現地の生の声を聞き、最新の状況を調査した。

◇2018年に海外で開催される主な環境展示会
◇水銀廃棄物に区分・基準等が新設
幅広い分野の事業者に関係/新たに求められる事業者・処理業者の対応
- (公社)大阪府産業廃棄物協会 事務局次長 龍野浩一氏 -
 昨年10月1日施行の改正令等により、水銀関係の廃棄物を排出する事業者や処理業者がその対応に追われたことは記憶に新しい。本紙でも、これをテーマとするセミナーを企画・開催したところ、好評を博し、もっと話を聞きたいという声が多数届いている。そこで、セミナーでご講演いただいた(公社)大阪府産業廃棄物協会事務局次長の龍野浩一氏に話を伺う。

◇施行令等改正で新たな定義
37品目と対象は幅広く/水銀使用製品産業廃棄物の処理
 廃棄物処理法施行令等の改正によって新たに「廃水銀等」、「水銀含有ばいじん等」、「水銀使用製品産業廃棄物」が定義された。特に「水銀使用製品産業廃棄物」の対象は37品目と幅広く、その処理基準等にも従来からの変更が加えられている。

◇コンプラリスク軽減で引き合い
改正を受け関心高まる/制度が難解との指摘も
水銀廃棄物処理の動向

 改正廃棄物処理法が10月1日より施行され、水銀廃棄物関連では、新たに「水銀使用製品産業廃棄物」「水銀含有ばいじん等」「廃水銀等(特別管理産業廃棄物)」の3分類が追加され、それぞれに処理基準が新設された。行政・排出事業者・処理事業者で対応が進んでいるものの、今なお関係者に戸惑いは見られる。ここでは、改正の経緯から各ステークホルダーの動向などについて紹介する。

◇処理に向けた体制整う
保管者サポートにニーズ/低濃度では低価格化も問題に
PCB廃棄物処理の最新動向

 PCB廃棄物の無害化処理の処理環境は落ち着きつつある。安定器を除いた高濃度は処理のめどが立ち始め、低濃度についても認定事業者がほぼ出そろった状況だ。一方で、高濃度では安定器の処理が期限内に完了するか差し迫った状況にある他、低濃度では処理費の低価格化が顕著に進行しているという。

◇上昇するアスベスト処理費
感染性の市場規模200億円に/オゾン層破壊のフロン分解
有害物処理最前線

 有害性の高い特別管理産廃は、安全な処理が求められる。かつて便利だったが、人体に悪い影響を与えることが判明して、今は使用できない素材も少なくない。世界的に見ても、改めて有害性を指摘したケースもある。アスベスト(石綿)やPCBなど特別管理廃棄物に指定され、厳格な処理目標を定めた例もある。有害物処理の最前線を探求する。

◇適正処理システムの構築急務
総務省勧告で関心高まる/全国的なネットワーク化進む
太陽光パネルの循環利用

 使用済み太陽光パネルの適正処理と循環利用への関心は、近年、顕著に高まっている。そもそも処理困難物として処理業者での受け入れが難しいうえ、自然災害による損壊パネルの大量廃棄なども起きており、現状でも回収・処理に関するシステムづくりは急務だ。こうした状況を踏まえ、総務省は昨年9月に実態調査に基づいて環境省と経済産業省に法整備を含めた検討を勧告。民間でも本格的な排出を前に、いち早くビジネス化に取り組む事業者が現れている。

◇先端素材のリサイクル事情
将来の大量排出に向け/出口戦略が焦点に
炭素繊維の再資源化動向

 昨今の産業の高度化は、そのまま新たな産廃処理品目の登場につながっている。一方、そうした先端材料は複合的に製造されたものが多く、単純な処理では十分な処理が難しいのが実情だ。世界的にリサイクルへの志向が強まり、メーカーの責任として先端の材料の再資源化に取り組む例も増えている。なかでも炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、日系企業が世界シェアの6割を持つ一方で、効率的なリサイクルが難しく、大半が処理困難物として最終処分されているのが実情だ。ここでは、CFRP再資源化の動向を紹介する。

◇東日本で安定型処分場が枯渇
当面は分散流通で対応/処理体制の見直しが必須課題
ガラス陶磁器くず流通危機

 中部以東の本州全域で、建廃系を中心にガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず(以下、ガラ陶)が流通危機を迎えている。

◇フォークリフトの高機能化へ
耐久力強い粗破砕/元気な環境機器システム
 日本の資源循環促進や環境負荷低減、作業効率化や安全安心の向上をキーワードに、海外の先端の技術やシステムが国内で活躍している。フォークリフトの高機能化を目指すカスケードジャパンリミテッド、耐久力が強い粗破砕にこだわるコウキを取り上げる。また、小型の廃電線皮剥き機を開発し、知的障がい者の就労支援につながった事例を紹介する。

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