循環経済新聞・バックナンバー“2019年10月度”

10月7日号ダイジェストニュース
◇バケットで撹拌・異物除去
日本国内で初めて導入
- 須賀川リサイクル資源開発 -
 産業廃棄物の中間処理・リサイクル事業を手掛ける須賀川リサイクル資源開発(福島県須賀川市、遠藤誠社長)は、ALLU TRANSFORMER社(フィンランド)の「ALLUスクリーンバケット」を日本国内の中間処理・リサイクル施設で初めて導入した。混合・破砕施設投入前の撹拌・異物除去作業に活用している。

◇堺工場の新事務所が完成
出荷ヤード棟も増築開始
- 山本容器 -
 更生(リユース)ドラム缶の製造・販売の山本容器(大阪市城東区、山本修嗣社長)は、ドラム缶のリユース事業で100年近くの実績を重ねる。生産工場として、本社工場と堺工場を持つ。昨年、堺工場の新事務所が完成し、出荷ヤード棟の増築工事もスタートした。2020年6月に完成する予定だ。

◇炭素繊維を水平リサイクル
束状抽出で製品に再利用可能/メーカーと協力して安定供給
- 富士加飾 -
 富士加飾(本社・兵庫県小野市、杉野守彦社長)は9月11日、都内で開催されたセミナーで「コンポジットの開発者から見るカーボンファイバーのリサイクル技術」と題した講演を行った。あわせて、併催していた展示会にはブースを出展し、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から回収した炭素繊維を再びCFRPの充填材として利用する水平リサイクルの技術を紹介した。

◇飼料配送時の消毒徹底を
発生予防へ対応求められる
- 豚コレラ問題 -
 農水省は、昨年以降、発生県が拡大している豚コレラの問題を受けて、豚コレラ防疫対策本部で議論した結果、9月20日付で予防的ワクチンの接種が可能となるよう豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針を改定することを決定した。27日には、牛豚等疾病小委員会が取りまとめた指針の改定案が報告され、この中で、飼料販売業者による消毒の励行を明記する方向が示された。今後、エコフィード製造業者にも対応の強化が求められることになりそうだ。

◇外壁アスベスト除去で見学会
負圧管理が不要
- 宮崎県解体組合 -
 宮崎県解体工事業協同組合(原田忠男理事長)は9月21日、原田建設(宮崎市)で、水を使わない外壁アスベスト除去工法「バキューム吸引・パワーツールケレンシステム」の工法説明会と見学会を開催した。九州県内の解体工事業協会や産業資源循環協会の会員らを中心に約50人が参加。一連の作業模様を見学した後、実機に触れるなど急増するアスベスト除去需要に対する注目の高さがうかがえた。

◇災害廃協力へ意思を確認
事業者を集め説明会開催
- 千葉県産業資源循環協会 -
 (一社)千葉県産業資源循環協会(杉田昭義会長)は9月27日、千葉市内で「台風15号に係る被災市町村による災害廃棄物の処理等説明会」を行った。県内の産業廃棄物処理業者約50人を集め、南房総市・鋸南町の仮置き場での管理状況を説明した他、処理協力の可否について意思を確認した。

◇脱水汚泥など乾燥
高含水から食品廃棄物まで対応
- 山本技研工機 -
 山本技研工機(大阪府八尾市、山本和孝社長)は、脱水汚泥や廃液の乾燥機「ダブルドラムドライヤー」(以下DDD)を製造・販売し、リサイクルや中間処理の施設に納入を進めている。廃棄物処理の中で減容化が求められる中、近年は自治体やプラントメーカーなど幅広い業種からの問い合わせが増加。

10月14日号ダイジェストニュース
◇剪定枝など利用し発電
グループ初の都市型施設を竣工/処理・FITを組み合わせ
- 横須賀バイオマスエナジー/タケエイ -
 タケエイは10月7日、グループで4番目のバイオマス発電施設となる横須賀バイオマスエナジー(神奈川県横須賀市、安倍誠社長)の竣工式を開催した。

◇緊急的対応に期待の声
プラスチック施策で答申
- 東京都廃棄物審議会 -
 東京都廃棄物審議会(安井至会長)は10月8日に東京都庁内で開いた第23回会合で、「プラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方について」と題する最終答申を取りまとめた。廃プラスチックの適正な処理・有効利用を確保するための緊急的対応の項目について、委員を務める(一社)東京都産業資源循環協会の高橋俊美会長は「緊急的対応を盛り込んでいただいたことは心強い。(産業廃棄物処理業界は廃プラスチック滞留について)現時点の課題としてどうすればよいのかということに直面している。スピード感をもって対応してほしい」と述べた。

◇本州各地を結ぶ物流システムが本格稼働
燃料系から産廃まで幅広く対応/臨機応変な高効率搬送が可能
- アオキミツル商事 -
 アオキミツル商事(本社・神奈川県茅ヶ崎市、青木三留会長)はこのたび、自社製品であるタイヤチップだけでなく、産業廃棄物や木質バイオマス燃料などを広域的に運搬できる物流システムを本格稼働させた。産廃も本州のほぼ全域での収集・運搬を可能にしており、前後のコンテナで異なる積荷を運べるフルトレーラーで効率良く搬送可能。積荷にこだわらない臨機応変な運搬の安定化に成功した。

◇製造ノウハウを積極的に提供
安全性高い飼料の普及へ
- 中部有機リサイクル -
 食品残さの飼料化事業を行う中部有機リサイクル(名古屋市、前川覚社長)は、日量18トンの処理能力を持つ新設備を導入してエコフィードの増産を図る。さらに、製造ノウハウを積極的に他社にも提供することで、品質と安全性の高いエコフィードの普及につなげたい考えだ。

◇国交省や県・市担当者が汚泥処理を見学
発注者主導型工事間利用の推進へ
- 泥土リサイクル協会 -
 (一社)泥土リサイクル協会(愛知県稲沢市、木村孟理事長)は10月2日、協会員の永田重機土木(鹿児島市)の造粒固化施設で、建設汚泥処理施設見学会を開催した。鹿児島3号東西道建設工事の地盤改良工事から排出されている建設汚泥を再資源化するようすを、発注機関(国土交通省や鹿児島県、鹿児島市)の担当者ら約50人が見学。泥土再資源化技術「イーキューブシステム」の処理行程や改質土の品質を確認した。

◇SDGsなど焦点に研修会
過去最多の行政担当者が参加
- 大阪府清掃事業連合会 -
 (一社)大阪府清掃事業連合会(大前清彦会長)は10月7日、大阪市の大阪国際交流センターで、今年度の研修会を開催した。会員の他、府と、過去最多となる府下40市町村の環境行政担当者が参加。衆・参議院議員や市町村議会議員などの来賓も含め約250人が出席し、一般廃棄物処理事業の重要性について理解を深め合った。

◇事業所の悪臭対策に
臭気測定やコンサルにも特化
- 近江オドエアーサービス -
 消臭剤や嗅覚測定製品の製造・販売を手掛ける近江オドエアーサービス(滋賀県近江八幡市、上野昌志社長)は、消臭剤「エアーサーバー」、薬液噴霧装置を開発・販売し、リサイクルや廃液処理、バイオマス施設などに納入を進めている。においを伴う事業所に導入を伸ばす中、近年は多発する自然災害時の臭気対策としても引き合いがあるという。

10月21日号ダイジェストニュース
◇おかげ様で創刊30周年!感謝の思いで
業界に知恵と光を/希望と勇気を持ち難問に挑戦しよう
創刊号メッセージ再掲載(1989年4月28日号)

 おかげ様で、弊社の週刊「循環経済新聞」は今年創刊30周年を迎えることができました。これもひとえに関係業界・団体の皆さまのご支援の賜物です。心より感謝申し上げます。

◇本紙に期待する官庁からのメッセージ
資源循環、環境と経済の相乗的発展の後押しを
- 環境省 環境再生・資源循環局長 山本昌宏氏 -
 週刊「循環経済新聞」創刊30周年、誠におめでとうございます。本稿では循環型社会の形成に向けた環境省の最近の取り組みについてご紹介させていただきます。

◇週刊「循環経済新聞」創刊30周年記念対談
「資源循環の担い手として社会貢献を」/「業界の姿を正しく伝えることが原点」
- 全国産業資源循環連合会 会長 永井良一氏 -
- 日報ビジネス 社長 河村勝志 -
 産業廃棄物処理業界は、適正処理だけではなく、資源循環の担い手へと大きく変りつつある。その業態の変化に伴って、弊紙も創刊以来の30年間で紙面を大きく変えてきた。(公社)全国産業資源循環連合会の永井良一会長と弊社の河村勝志社長が業界の現在と未来について大いに語った。(8月9日、全産連事務局(東京)にて)

◇循環型社会に取り組む関係団体がエール
課題や問題解決に向けて本紙の役割を評価

◇前途洋々の産廃処理業界
創刊号 対談再掲載(1989年4月28日号)/いま第一ラウンドのさなか/業界リーダー対談 No.1
- (社)全国産業廃棄物連合会 会長 太田忠雄氏 -
- (株)日報 社長 河村博氏 -
 社団法人全国産業廃棄物連合会は、その成立から数えてことし四年目、任意団体として結成されてから十一年目となっている。産業廃棄物処理業界を全国的にたばねる唯一の受け皿団体として、行政・民間にかかわらず、同連合会への信頼は高い。かつて、業界の社会的位置付けを求め、社団法人化を“悲願”とした時代は去った。だが、太田忠雄連合会会長は、ようやく今を、「第一ラウンドのさなか」と位置付ける。もっかは多難であるけれど、産廃処理は今後、前途洋々の時代を迎えていくと。産廃処理業界の目標と現段階とを対談形式できいてみた。

◇循環ビジネスに取り組む資源循環協がエール
業界のさらなる発展へ本紙のこれからに期待/3R時代をリードする的確な情報発信を望む声
低炭素・持続可能な社会実現への後押しも期待


◇排出量4億t前後で推移
許可業者数4.7倍に増大/許可施設数7割増
これまでの約30年の排出量・許可施設数・許可業者数の推移

 産業廃棄物の排出量や許可業者・施設数の推移を約30年前から今日まで捉えていくと、排出量が一定レベルで推移しているのに対し、施設や処理業者は急増してきたことが分かる。

◇業界発展に向けて4者から提言とメッセージ
30年を振り返り識者が近未来の廃棄物処理を読む

◇業界の成長、法制度の拡充とともに
高度化進む適正処理・再資源化/廃棄物対策で新時代の予兆も
循環経済新聞と廃棄物施策・業界 30年の歩み

 弊紙は「産廃タイムス」として1989年4月28日に創刊号が発行され、今日まで30年にわたり、毎週月曜日の週刊発行で読者に専門情報を送らせて頂いてきた。ただし、題号は時代の変遷とともに96年7月12日号から「廃棄物新聞」、2000年10月2日号から現行の「循環経済新聞」へと、数度の変更を経てきている。

◇平成疾駆した法改正からの循環型
個別リサイクルの法律が次々成立/紙面で見る週刊「循環経済新聞」30年の歩み
 弊紙は、30年前の1989年に誕生した。この年から平成が始まり、4月に消費税3%が導入。この年の年末に株価が下がり始め、バブル景気が終焉を迎えた。廃棄物処理法の大型改正は、この頃から。リサイクル関連法が整備されたのも平成の30年間といえる。30年間で業界の身を削る献身があり、新しい法律も生まれた。

◇「廃棄物」を追い続けて30年
持続可能な「環境の世紀」目指して!/バブル崩壊、3Rの時代へ移行
ヒストリー“循環経済”

 週刊「循環経済新聞」が「産廃タイムス」として誕生した1989年は、バブル経済の真っ最中であった。やがてバブルは崩壊し、高度成長期から省みなかった負の遺産が表面化。廃棄物処理は、次第にリサイクル・3Rの時代へ移行することになる。しかし一方でダイオキシン問題、豊島事件など、業界は苦々しい痛みを背負い、それらを潜り抜けてきた。近年では災害廃棄物処理、地球温暖化問題、廃プラ問題など、多重的な課題をはらみつつ、新エネルギーやSDGsといった「資源循環」新時代の新たな可能性を携えて前進し続けている。
 廃棄物業界の30年は、平成という時代の写し鏡でもあった。そして次の30年。持続可能な「環境の世紀」目指して、未来を引き寄せようとしている。

◇再生資源とエネルギーの創出
地域と海外との新たな循環/人と技術が集まる業界へ
今後の廃棄物処理・リサイクル業界展望

 国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)や欧州のサーキュラーエコノミー(循環経済)政策、日本の地域循環共生圏など、世界的に次世代のあるべき社会へのビジョンが示されている。
 廃棄物処理・リサイクル業界はそのど真ん中にある。
 足元では、国内外での資源循環の混乱や事業承継、人手不足など課題が尽きないが、次世代に向けた取り組みも芽生えつつある。
 目指すのは、“環境負荷低減と持続的な成長を両立した社会”の実現だ。

◇次世代のリーダーたちが展望を語る
“交流”テーマに業界へ新風を/来年は設立20周年の節目に
本音で未来を切り開く/全産連青年部協議会 ブロック長座談会

 来年6月に設立20周年を迎える全国産業資源循環連合会青年部協議会。これまで若さを生かした柔軟な発想と行動力で次々と斬新な企画を打ち出し、業界に新風を吹き込んできた。現在は、第7代目の沖川学会長がテーマに掲げる「交流」を合言葉に、地域や業種を越えたネットワークを広げ、さらなる躍進に向けて変革を遂げつつある。今回の座談会では、全国8ブロックから次世代を担うリーダーであるブロック長が集い、未来を切り開くための展望を本音で語り合った。

◇女性の力を生かす業界へ
イメージ向上で人材不足対策にも
全産連関東地域協議会 女性部会座談会

 2016年には女性活躍推進法が施行され、女性が働きやすい環境整備を行うことが求められている。同法では社員数301人以上の企業は実施義務、301人以下の企業には努力義務が課せられている。

◇改正の大半は規制強化一辺倒
背景に頻発する不適正処理/期待される処理業者振興方策
業界展望① 廃棄物処理法・資源有効利用促進法

 廃棄物処理法は、1970年(昭和45年)に制定され、以降、何度も改正されている。その大半は規制強化一辺倒。背景には頻発する不適正処理や不法投棄があったことは論を待たない。2000年代に入ると、優良な処理業者を認定評価する制度が誕生、規制から育成へ流れが変わり始める。現在、環境省により処理業者の振興方策が提言され、今後の取り組みが期待されている。一方、資源有効利用促進法は、廃棄物処理法とは違い、製造の上流工程に重点を置き、3Rの促進を求めている。

◇中国規制がもたらす大変革
国内循環の構築待ったなし/高度選別と大量処理へ
業界展望② 再生資源

 資源効率(RE)がグローバルな関心事となり、サーキュラー・エコノミー(循環経済/CE)の構築に向け各国が動き出す中、基礎となるのが各種の再生資源だ。特に日本の再資源化技術は、単なる資源循環にとどまらず、低CO2化や環境保全といった社会課題解決を実現するものとして期待が寄せられている。

◇海外輸入規制で事業激変
国内外の取り組み、再編へ/回収と処理で海洋プラゼロ可能に
再生や燃料化、埋立全てで/業界展望③ 廃プラスチック

 中国によるプラスチックくずの輸入禁止と東南アジアなどでの輸入規制は、プラスチックの再生利用業界のみならず、廃プラスチックなどを再資源化・処理処分する業界にも多大な影響を及ぼしている。国際的には海洋プラ問題が議論され、輸出先国の変化や輸出するプラくずの高品質化、国内では高グレード品を巡る競り合いと低グレード品の処理処分のひっ迫がある。関係業界はこの事態を受けて、急速に業態を変化させている。

◇“循環”が新たな経済を生み出す
課題解決と価値創造を両輪に/CEが描く未来
業界展望④ 使用済み製品・工場系

 使用済み製品の循環は、家電リサイクル法のように、社会課題解決型の取り組みから始まった。しかし、3R意識が社会へ受容されるにつれ、拡大生産者責任の考え方が広がり、小型家電リサイクル法のような推奨型の法令も登場。世界的にはサーキュラー・エコノミー(CE)といった概念とも結びつき、新たな展開を見せている。

◇不正転売事案が転機に
適正処理の徹底へ体制構築進む/食リ制度は新ステージ突入
業界展望⑤ 食品リサイクル

 食品リサイクル業界は、2016年1月に愛知県で発覚した産業廃棄物処理業者「ダイコー」(同県稲沢市)による廃棄食品の不正転売事案で大きな転機を迎えた。「排出事業者責任」や「適正処理料金」がクローズアップされるようになり、食品リサイクル法制度の見直しにもつながった。「適正処理の徹底」をいかに実現するか。業界挙げての取り組みが進められている。

◇分選別の定着経てさらなる技術革新
対応の軸は新築系から解体系へ/省人・省力進む中間処理
業界展望⑥ 建設リサイクル

 1980年代末から今日まで、建設リサイクルの歩みは分選別の徹底と、個別の単品リサイクルルートの確立を積み重ねることで成り立ってきた。昨今では新築建廃の減少と解体建廃の増大で、建廃の質や排出体系が変わってきており、人手不足対策とも相まって、省人化・省力化の技術革新も踏まえた処理・リサイクル体系の構築が始まりつつある。

◇混合廃棄物の処理費が上昇傾向に
医療系の受け入れ条件が困難/太陽光や公園など跡地利用計画
業界展望⑦ 焼却・埋立処分

 全国の産廃の焼却処理の事業者は、1000社余り、最終処分事業者は800社ほどある。廃プラと木くずが増えているのは共通の課題でもある。両施設とも建設は困難を極める。新規の処分場より閉鎖する処分場が多い。焼却処理と埋立処分は、SDGs時代に逆行しているように思われがちだが、資源のエネルギー回収の有効な手段が「焼却」で、大震災の復興の貢献度が高い施設は「最終処分場」でもある。焼却と埋立の未来を探求する。

◇導入が進む再生可能エネルギー
木質バイオマス発電は正念場/急がれる主力電源化
業界展望⑧ エネルギー

 再生可能エネルギーの導入が加速している。太陽光発電、風力発電、小水力発電、木質バイオマス発電、バイオガス発電、廃棄物発電など、どの発電分野も導入が拡大する。一方で課題も多く指摘されている。今後、再生可能エネルギーはどのように進んでいくのか。太陽光発電や木質バイオマス発電の動向から探ってみた。

◇大規模災害が毎年発生
民間事業者が処理に尽力/人的・建物被害が広域化
業界展望⑨ 災害廃棄物

 この10年程、毎年のように大規模な災害が発生している。東日本大震災や熊本地震、北海道胆振東部地震などの非常災害だけでなく、台風や豪雨などの例年起こってきた自然現象でも人的・建物被害が甚大・広域化する傾向にある。災害廃棄物の処理には、民間の産業廃棄物処理業者が市町村と契約を締結した上で携わり、被災地の復旧・復興の一助となっている。

◇注目集めるAI導入
より高精度で高効率へ/背景に人手不足など
業界展望⑩ 技術

 分ければ資源、混ぜればごみ――。廃棄物の世界ではよく聞かれる言葉。リサイクルには廃棄物の分別が何より重要。処理現場ではより高精度で高効率な方法が求められている。加えて近年、少子高齢化や労働人口の減少、働き方改革など業界を取り巻く情勢は厳しさを増している。そうした中、注目を集めているのがAI(人工知能)の導入。これまでの動向を振り返りつつ、今後を展望する。

10月28日号ダイジェストニュース
◇18年7月豪雨を超す勢い
災害廃処理、少なくとも2年/施設にも甚大な被害が/台風19号
 10月12・13日にかけて東海から東北に上陸した台風19号は、多くの河川の決壊・氾濫を引き起こした。4県で廃棄物処理施設が稼働を停止し、福島県田村市では除染廃棄物が一時的に流出した。環境省では「災害廃棄物の量は2018年7月豪雨(約190万トン)を超える。処理完了には少なくとも2年ぐらいはかかるだろう」としている。

◇廃ガラス原料でJIS制定
記念講習会は満員御礼/リサイクル資材では初
- ガラス発泡資材事業協同組合 -
 ガラス発泡資材事業協同組合(本部・沖縄県八重瀬町、新城博理事長)が取り扱う、廃ガラスびんを原料にしたガラス発泡リサイクル資材がJISに制定。沖縄で9月4日にJIS制定記念の技術講習会・工場見学会を開催したが、満員になり、期待の大きさの現れとなった。今後、組合員の製造工場のある県で順次開催していく。

◇光学選別機を導入
品質向上と省力化に効果
- 東洋カレット -
 ガラスびんリサイクルで実績を持つ東洋カレット(滋賀県湖南市、北川愼太郎社長)は9月、カレット選別ラインに光学選別機「クラリティー」を導入した。選別の最終工程で異物や耐熱ガラスなどの不適物を除去し、製品カレットの品質向上に貢献。ガラスメーカーの品質要求が高まるなか、高精度かつ高効率の選別と現場の省力化を実現した。

◇新たな飼料化技術を開発
試作品は成功、製品化へ
- ハーツ -
 食品リサイクル事業等を手掛けるハーツ(名古屋市、上内厚子社長)は、食品残さを活用した「乾燥菌体飼料」の開発に乗り出した。2019年度愛知県循環型社会形成推進事業費補助金の採択を受けて実施するもの。すでに試作品の製造は成功させており、今後は製品化に向けた調整に注力する。

◇燃料の品質高め長期安定稼働へ
比重差選別機導入、コスト削減にも注力
- ウッドワン -
 大手建材メーカーのウッドワン(広島県廿日市市)は2016年4月から、未利用材や一般木材、建設廃材由来の木質燃料を各種混合し、木質バイオマス発電所(出力5800キロワット)を安定稼働させてきた。昨年8月には、新たに比重差選別機を導入。燃料に混じった2ミリアンダーの細かい土砂等を除去し、設備の摩耗を最小限に抑え、異物除去の取り組みに力を入れる。

◇「環境と成長の好循環」の実現へ
環境省/2020年度の重点施策/地域循環共生圏の創造に向けて
 環境省が8月30日に発表した2020年度予算概算要求は、総額で19年度当初予算比42%増の1兆2630億円だった。「SDGs」や「パリ協定」などの国際的な潮流や、複雑化する環境・経済・社会の課題を踏まえ、昨年4月に閣議決定された第5次環境基本計画では「地域循環共生圏」の創造に取り組んでいくことを宣言した。ここでは、「環境と成長の好循環」の実現に向けて打ち出す重点施策を総覧する。

◇破砕刃工場を新設へ
製造から研究まで集約
- 近畿工業 -
 破砕機をはじめ環境機器を手掛ける近畿工業(神戸市、和田知樹社長)は、新たに破砕機用刃物に特化した工場「TOMOE FACTORY」(トモエファクトリー)を建設する。社内の刃物に関する部門を集約し、製造、メンテナンス、研究に一貫して取り組む体制を構築。12月の竣工、2020年4月の本格稼働を目指す。

◇維持管理マニュアルを改訂
事業者への説明会を実施
- 全産連 -
 (公社)全国産業資源循環連合会(永井良一会長)は10月11日、東京都内で「産業廃棄物埋立処分委託契約書の手引」(5月発行)と、約13年ぶりの全面改訂となる「産業廃棄物最終処分場維持管理マニュアル」(9月発行)の説明会を実施した。当日は産業廃棄物処理に携わる事業者が50人以上集まった。

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