包装タイムス・バックナンバー“1999年1月度”




1月 1日 新春特集号 1
『今年はどうなる包装産業』

◇発想の転換でジャンプアップ
容器包装リサイクル法対応が重要課題

容器包装リサイクル法がいよいよ来年から全面施行になる。
昨年末に発表される予定だったガイドラインの策定が遅れているが、どちらにしても包装産業、エンドユーザーにとっては今年が重要な年となる。
今年の包材の使用量(重量ベース)によって、来年の再商品化費用(リサイクル費用)負担が変わってくるからだ。包装産業は「何をどこに、どれぐらい販売したか」、ユーザーは「どのような包材を、どのくらい使用したか」を克明に把握するのが今年だ。その重量データをもとに2000年度の費用負担が決まるわけだ。
この動きを知らない包装関係の企業は多い。国・行政のガイドライン策定の遅れ、PR不足が大きな要因だ。法律を決め、それを「官報に掲載すれば事足れり」という姿勢に一番の問題がある───。
とはいっても、現実に容器包装リサイクル法の全面施行は目の前に迫ってきている。
包材メーカー、コンバーターにとって今年は、これにどう対応するかが最重要課題だ。
この法律の影響で、包装産業は大きく変わろうとしている。その一つに挙げられるのが包材の軽量・減量化だ。ブロー容器に替わり、スタンドパック(スタンドパウチ)が大きな伸びを見せそうだ。
重量が軽いため、再商品化の費用負担が軽減されるのと省資源という観点からユーザー各社が注目しているためだ。 スタンドパックは、当初ブローボトルの詰め替え用容器として登場した。それが最近はスタンドパック自体にリジット性を持たせ、口栓を底に付けたりしてボトルの代替としての機能を持たせたものが登場している。米国ではこのスタイルの包装が急増しており、日本でもこの傾向は、今年はさらに急速に進むものと見られ、中小のコンバーター各社もスタンドパック製袋機の増設に踏み切るところが目立ってきている。
今年、さらに加速化しそうなのが、容器の紙化傾向だ。すでに昨年から目立ちはじめ、外食産業のテイクアウト用容器、電子レンジ対応容器など、今まで使われていなかった分野での紙化が著しい。板紙製容器やパルプモールド容器の進出が目に付きはじめている。また、緩衝材分野の採用も増えている。 装置産業関係は厳しい状況が続いている。銀行の貸し渋りで倒産する企業が目立ちはじめ、政府の支援が大いに望まれるが、現在の大企業中心の政策では、中小企業が圧倒的多数の包装産業は厳しい局面に立たされているといっても過言ではないだろう。
しかし、ある好調な機械メーカーは、「もはや低コスト・ロープライスの時代に入ってきた。機械メーカーは従来の包装ではなく、発想を変えた設計・製造で低コスト機の開発に力を入れることが重要だ」と強調する。売れる低コスト機の開発に力を入れているメーカーは増えている。全企業が厳しい環境になっているわけではないようだ。
長い景気低迷が続いているが、ウサギ年の今年、発想を変え、景気低迷からジャンプアップしたいものだ。



<総力特集「容器包装リサイクル法@」>( 2〜11面)
◇完全実施まで 1年 3カ月
様々な矛盾抱えて最終ラウンドに/包装産業界の意向反映するのは今

容器包装リサイクル法完全実施まで、わずか 1年 3カ月を残すのみとなった。しかし、まだ多くのことが決められていないのが現実だ。「特定容器」か「特定包装」かの区別を示す容器包装ガイドライン、特定容器の製造等事業者と利用事業者の区分けをするグレーゾーン問題、何をもって「再商品化」と見なすのかなど、解決しなければならないことが山ほどある。しかし、現実には多くのことが今年に持ち越されてしまっている。繰り返すが残された時間はあとわずかしかない。その間に行政には実に多くのことを決めることが求められている。しかも迅速にだ。 自らの企業で製造または利用している包材が「特定容器」か「特定包装」かによって、負担する再商品化(リサイクル)費用の額は大きく異なる。ある包材が「特定容器」と見なされれば、包材メーカーにも負担がさかのぼるため自社で製造する包材にかかるリサイクル費用を指定法人に支払わなければならない。逆に、「特定包装」だと、その包材を使用している企業のみにリサイクル費用の負担が発生する。 今後、プラスチック容器包装リサイクル推進協議会と紙製容器包装リサイクル推進協議会を中心に、「特定容器」か「特定包装」かを判断する判定委員会なるものが設けられることになるだろう。しかし、包材を「容器」と「包装」に分けることはナンセンスだと本紙は繰り返し主張してきた。包材を 2つに区分けすることに何の意味があるというのだろうか。 もし、「容器」と「包装」に分けることで、中身メーカー側に包装材を削減するインセンティブが働くなら、それもまた意味のあることといえよう。しかし、中身メーカー側が 100%の負担を避けるために、「特定包装」を「特定容器」に切り替えたりするだろうか。 昨年末に開かれたプラスチック容器包装リサイクル推進協議会のセミナーでは、通産省リサイクル推進課の田川和幸課長補佐が講演。「汎用的なものを購入して中身メーカーが購入した場合、中身メーカーが包材の製造等事業者」と説明したが、個別ケースについて包材メーカーから判断を聞かれた際、答えられない場面もいくつか見られた。通産省が包材の製造工程をどれだけ把握した上で、判断しようとしているのか理解に苦しむ。つまり、包材の製造工程はそれだけ複雑で、どこを対象とするかは一概に判断できないといえよう。 こうしたみると、本紙がこれまで主張してきたように、中身メーカーが一律にリサイクル費用を負担する方が、「容器包装判定委員会」などという意味のない組織をつくるより、よほど理にかなっているのではないか、と思えてくる。包材を削減するか、しないかは中身メーカーが判断することであり、包材メーカーが自らリサイクル費用の負担を減らすために、わざわざ包材を削減するなどあり得ないだろう。 とにかく、法文が今のままであるかぎり、永久に容器か包装かの判断をし続けなければならない。だが、包材メーカーの負担が法律で義務づけられているかぎり、中身メーカーが自ら法律の改正を訴えることはありえない。やはり包材メーカーが一体となって訴えていくほかないだろう。



<包装機械関連機器>(14〜17面)
◇昨年は生産額 2度目の大幅ダウン
円安で輸出には若干の明るさ

包装機械市場は今、“冬の時代”を迎えている。
昨年まとめられた日本包装機械工業会の平成9年度「包装機械及び荷造機械生産・輸出入統計資料」によると、生産実績は前年度比 3.4%減の4,350億1,200万円。平成5年度に史上初の大幅ダウンを記録して以来、 2度目の前年割れで、列島総不況が大きく影響した。
同10年度の生産額も低迷が続いており、今年も厳しい状況からの脱出は困難と予測される。
昨年は、個装・内装機械では包装用計量機とシュリンク包装機が前年比でアップしたほかは全機種で減少。また、円安を背景とした輸出の好調さで外装・荷造機械のバンド掛け機とひも掛け機が伸びたが、内需自体は冷え込んだままだ。
包装機械は省力機を除けば生産に直結するだけに、長引く不況を反映した消費低迷が改善されない以上、今年も急速な回復は見込めない。



<プラスチック成形・加工機械>(19〜23面)
◇好不調、機種別で明暗
加速する新機種開発と改良

プラスチック成形・加工機械全体では、プラス材料は見当たらない。
一方、容器関連機器については、今年も昨年に引き続き、機種別で明暗の別れるところとなりそうだ。昨年は設備投資の冷え込みを背景に全体的に低調に推移していたものの、飲料向け PETボトル成形向けに代表される一部機種は例年にない活況を呈していた。
今年も似たような状況となる可能性は高い。
フィルム関連機器は、引き続きおおむね堅調に推移しそうだ。具体的には、脱PVC(塩ビ)対応となるキャスト、ドライラミネーターのほか、多層押出装置などの需要が依然としておう盛な見込み。
また、今年は新機種開発あるいは改良が加速する可能性も高い。ポイントとなりそうなは製品切り替えのスピード。 POSシステムの普及で消費者ニーズを迅速に把握できるようになり、小売店での製品ライフサイクルが著しく短くなったことで、少量多品種化の傾向はさらに加速する可能性は高い。
これら商品の包材がこれまで以上に多様化していくことも確実で、対応する成形・加工機械にはそうしたニーズに優位性のあるものが望まれてくるに違いない。



<容器>(26〜29面)
◇容リ法対応が最大の焦点
 バリアフリーも次代のテーマに浮上

今年の容器分野は、容器包装リサイクル法対応を視野に入れた新製品開発が急速に進む可能性が高い。
容器メーカー自身のリサイクルコスト負担が予想以上に重く、これをなるべく回避する必要があるのはもちろん、エンドユーザーの方も容器メーカーに同様の要求をしていくことはまず間違いないからだ。
もはや、新容器開発で同法への対応に配慮することは必要不可欠の要素であり、小売流通業との間で絶えずコスト削減に追われているエンドユーザーにとっては、この要素が採用の大きな決め手となることに疑いがない。
また、これまでさまざまな理由から、いわゆる“環境に優しい”あるいは“リサイクルに適している”として市場をにぎわせてきた容器は数々あるが、同法に照らされた結果、その称号を剥奪されることもある反面、バッシングの対象だった容器が復権を果たすことも十分ありえる。
具体的には、複合素材から単体素材への移行が加速する公算が大きい。
また、今年あたりから有力な開発要素として浮上してきそうなのがバリアフリー。表面的には企業の利益にならないため、メーカー、エンドユーザーとも積極的とはいかないものの、先進的な企業は次代の商品開発コンセプトの上位に据えており、このテーマからも当分、目が離せない。



<フィルム・軟包装>(31〜35面)
◇機能性が需要拡大のカギ
 素材メーカーに求められる需給意識

フィルム・軟包装分野は、今年も“環境対応”と“機能性”をキーワードに、素材の特徴を生かした展開が加速する公算は大だ。
何よりも使用後の廃棄段階で、リジット容器などに比べ体積が大幅に少なくなる点が、包装需要家にフレキシブルパッケージの採用を志向させる大きな要因。消費者の“環境マインド”をダイレクトに刺激するものとなっている。
いよいよ完全実施される容器包装リサイクル法への対応でも、包材原料使用量削減は重要なポイントに位置づけられている。
また、包材供給サイドにとっては、各種機能性フレキシブルパッケージで、比較的高付加価値な展開が期待される。包材から充填まで、トータルな技術開発の進展が、今後の飛躍的な伸びを占うカギといえそうだ。

<紙器・段ボール>(38〜41面)
◇資材底堅く機械は低迷
 独自の発想と技術が優位性つくる

過去最高を記録してきた段ボール業界も、景気低迷の影響で荷動きが悪く、さすがに昨年はマイナスを記録した。
本紙推計では対前年 4〜5%減、 130億u前後の生産量となる見通しだが、これは好調に伸びていた1997年のレベル。悪いといわれながらも、量的には企業を維持するのに問題のない数字といえる。
この段ボール業界で注目されるのは、バージン紙使用の薄型段ボールケースが増加してきたことだ。 Fフルートのシートを使った小型の個装用美粧ケースはもちろんのこと、特に食品に直接触れる分野での採用が注目される。
紙器分野では、板紙の使用量は減っているものの、多様な分野でパッケージの紙化が著しく、容器包装リサイクル法を“紙化有利”と解釈したエンドユーザーの影響で、今年もこの傾向は加速することが予測される。
資材の底堅さとは逆に紙工機械分野の冷え込みは厳しい。軒並み最盛期の半分以下という状況だ。ただ、こうした中でも元気なメーカーはある。包装の紙化ニーズに合わせた機械を開発し、いわゆる従来の紙器分野以外の紙包装分野で販路を拡大しているところも登場している。
CADを中心にした抜き型の自動刃曲げ機やサンプルカッターなども好調。この CAD分野では基本ソフトのウィンドウズ対応が本格化しそうだ。
また、サンプルカッターでは、“小ロット生産機”として位置づける傾向が鮮明になりそうだ。



<外装>(43〜47面)
◇“跳躍・飛躍”の 1年を期待
競合企業同士の共同・協調化

“日本列島総不況”だった昨年は、当然ながら外装産業もその括りの中に入っていた。国内消費の低迷は、工業製品の生産量・出荷量を減少させ、その輸送量も減ってしまう。
外装は出荷包装、輸送包装、工業包装などの代名詞だ。この外装の中心的荷姿が段ボール。PPバンド、PEひも、粘着テープ・ガムテープ、接着剤(コールドグルー、ホットメルトなど)、ステープルなどの外装資材は、まさに段ボール荷姿の副資材といえる。
工業製品の生産・出荷量の減少は、その輸送量を減少させる。当然荷姿である段ボールの使用量も減ることになり、副資材である外装資材も影響を受けた。
また、工業製品以外で、外装が影響を受ける産業といえば農産物であろう。昨年は、この天候が不順で農産物の収穫期に季節遅れの台風が頻繁に日本に上陸し、農産物に甚大な被害をもたらした。国内の収穫量の不足を輸入農産物で補ったが、国内の外装資材供給を補うことにはならなかった。
今年は卯年。ウサギのように日本経済が跳躍あるいは飛躍する 1年になるだろうか。成熟産業といわれて久しい外装機器・資材産業だが、今年はこれまで以上の“跳躍・飛躍”の 1年になることをだれもが期待しているはず。
そのキーワードの 1つに「競合企業同士の共同・協調化」を挙げておきたい。

<パッケージ印刷>(50〜53面)
◇デジタル化対応急速に進む
 オンデマンド機の進展にも注目

パッケージ印刷の分野では、オフセット、グラビア、フレキソ、スクリーンとも、印刷機械はおしなべて状況は厳しい。プリンター(印刷企業)が設備投資を手控えているからだ。
しかし、プリンターの中には、コスト削減のための生産工程の効率化はもちろん、高精度要求の厳しいユーザーニーズに対応するため、デザインや製版などの印刷の前工程から印刷機まで、積極的に合理化を図る企業も増えている。
特にデジタル化対応に態勢を変革する企業は急増している。製版工程ではフィルムレスが一般化してきており、Macの普及でユーザーがデザインデータをMOなどで渡すケースも増えているためで、プリンターは必然的にデジタル化対応せざるを得ない状況になっている。この傾向はさらに強まることが予想される。
印刷機の中では、小型紙器でのフレキソ化が注目される。まだ普及しているという段階ではないが、海外メーカーのフレキソ機の日本販売が活発化してきており、今後の展開が注目される。オフセット印刷機では、今年英国で行われる印刷機材展「IPEX」での動きが焦点。印刷機自体の低価格化はもちろん、刷版の低コスト化を実現したオンデマンドオフセット印刷機が公開される予定で、大きな話題になりそうだ。
また、その他の新開発機、新技術も登場するといわれている。
インキでは、オフセット用大豆インキの普及が本格化しそうだ。容器包装リサイクル法の影響から包装資材の再資源化を容易にするためで、今年はさらに採用が活発化することが予想される。
クリアパッケージの分野では、打ち抜きまでできる従来と違った印刷方式のものが登場しており、同機の販売展開が本格化しそうだ。



<シール・ラベル>(55〜59面)
◇今年こそ膨らむ回復への期待
エコロジー関連、シュリンクなどに萌芽

一般ラベル製品はタック紙の需要がおととし後半から低迷していることからも分かるように、厳しい状況が続いており、今年も回復するかどうか見通しが立たない状況だ。
しかし、物流管理ラベルなど、企業の合理化に貢献する製品については好調だったものもある。また特殊ラベルの中では、急速に需要の増大したシュリンクラベルや、今後に普及、拡大が期待されるリサイクル対応ラベルや剥離紙なしラベルなどのエコロジー関連製品もある。
今年のシール・ラベル業界の見通しは必ずしも悲観的なものではないといえる。
ラベル全般にとって、これまで最も重視されてきた表示という役割だけでは、もはやビジネスとして魅力のある印刷物とはいえない。それを貼付することで、包装資材のリサイクル対応や省資源化に役立ち、しかも物流の合理化に貢献するといった美粧性以外の付加価値が強く求められるようになっている。
エコロジー関連については、ユーザーの認識の高まりにより社会的環境は整いつつあり、ラベル業界での研究と開発が進んでいる。
シュリンクラベルによる新タイプ商品の登場や、多層ラベルによるセールスプロモーションなど新しい展開もある。
一方、印刷、製版などラベル生産については、デジタル・データ利用がかなりの進展を見せている。オンデマンドラベル印刷機、プリンターによるラベル作成システム、 CCMの導入など、こちらはラベル業界自体の合理化として、今後が大いに注目される。





1月 11日 新春特集号 2

<包装機・関連機器>
◇低コスト型のIJP発売
機能限定でコストダウン/中小ユーザーの導入促進狙う

- イマージュ -
イマージュ(東京都)は、機能の簡素化で低コストを実現した1〜2行印字限定の小文字用インクジェットプリンター(IJP)「S7S Basic」の販売を開始した。高機能の従来機「S7S」をベースに、機能をシンプル化することで、使いやすさと低予算での導入を可能にした。コストダウン機を上市したことで、中小企業などでのIJP導入促進を狙う。



<シート・プラスチック容器>
◇上海工場が生産開始
プラ加工システム機器メーカーの中国現地生産は初

- カワタ -
中国・上海で建設を進めていたカワタ(大阪府)のプラスチック加工機器工場がこのほど完成、生産を開始した。脱湿型乾燥機、熱風乾燥機などの生産工場で、年間生産額は初年度2億円、2年後には3億円を予定している。今回完成したのは第1期工事分で、総床面積約2,000m2。日本のプラ加工システム機器メーカーが、中国で現地生産を開始するのは同社が初めて。



<紙器・段ボール>
◇新会社「ユーテック」設立
コルゲーターのメンテを中心に

- 梅谷製作所 -
梅谷製作所(和歌山県)は、コルゲーターの販売とメンテナンスサービスを主業務とする「株式会社ユーテック」を設立、12月10日に登記を完了したことを明らかにした。新会社は、資本金5,000万円で、梅谷製作所が4,250万円(出資比率85%)、伊藤忠産機が750万円(同15%)を出資。社長には梅谷陽一氏(梅谷製作所社長)が就任し、本社は梅谷製作所和歌山工場に置く。初年度販売目標は10億円。



<フィルム・軟包装>
◇軟質POシート上市
塩ビ並み高透明・高光沢性/専用機で各種融着加工

- 出光石油化学 -
出光石油化学(東京都)は、軟質塩ビと同等の高透明性と高光沢性を実現した軟質ポリオレフィンシート「ピュアソフティ」を上市した。Tダイキャスト共押出方式によるPP/特殊軟質ポリオレフィン/PP3層構造で、透明・光沢に加え、スクリーン、グラビア、オフセットの各種印刷が可能。PO専用機により高周波・超音波・電熱(ヒートシール)の各方式で塩ビ製品並みの融着加工もできる。同社では、こうした特徴を生かして包装材料、文具、OA関連、携帯用品カバー類などの分野に展開を図る。



<環境・包材リサイクル>
◇廃プラの高炉利用を計画
2008年に年間20万t

- 住友金属工業 -
廃プラスチックの高炉などの有効利用について、日本鉄鋼連盟がその利用量を年間100万tとした自主行動計画で、住友金属工業(東京都)はそのうちの20万tを分担する。実炉試験は2001年(平成13年)からで、実際に廃プラを年間20万t利用する時期は2008年(平成20年)の見込み。



<環境・包材リサイクル>
◇プラ包材の再商品化手法を油化、高炉、ガス化に限定
紙製包材は再生利用とRDFに

通産省は、2000年から完全実施となる容器包装リサイクル法の再商品化手法について、昨年6月にまとめた「基本的考え方」の内容に沿ったかたちで「マテリアルリサイクルを基本にする」とした上で、プラスチック包材については@油化A高炉利用Bガス化───の3つに絞っていることを明らかにした。また、紙製包材の再
商品化については、固形燃料化(RDF)を念頭に置いているとした上で、製紙メーカーが分別収集された紙製包材を引き取り、紙として再生できるものは紙に戻し、それ以外のものは加工して燃料利用する考え。



<鮮度保持関連>
◇自己認証マークは「SIAAマーク」
抗菌製品の自主規格を発表

- 抗菌製品技術協議会 -
抗菌剤・抗菌製品メーカー120社で構成される、抗菌製品技術協議会は12月17日、記者発表会を行い、抗菌剤・抗菌製品に関する自主規格と自己認証マーク「SIAA」マークを発表した。今回の自主規格では、細菌増殖の抑制試験、口に入れたときや皮膚に触れたときの安全性試験、食器などからの成分の溶出などの安全試験を行い、それらの試験や製品に含まれる抗菌剤の濃度の規定を満たしたものに対して同マークの表示を認めるもの。



<総力特集「容器包装リサイクル法A」>(13〜24面)
◇主要ユーザー各社の取り組み
待ったなし!回収・改良・省資源/全面施行カウントダウンで対応に拍車

2000年4月からの「容器包装リサイクル法」全面施行を控え、包装ユーザー各社の対応が、ここに来て加速度を増してきた。
再商品化費用を負担しない究極の方法は、やはり容器のリターナブル化。使用済み容器の回収や洗浄にかかる費用負担は避けられないが、廃棄物を減らす上では最も有効と考えられる。次に有効なのは、包装材に使用する原料の削減。これで再商品化費用の負担も軽減できる。またリサイクルしやすいパッケージへの変更も必要だ。加えてリサイクルで得られた資源の有効利用も今後の大きな課題だろう。
すでにユーザーの各分野では、それぞれの商品に合わせた取り組みも進められているが、法律の対象となる消費者の手まで届く“最終商品”を主力に展開するユーザー分野では、費用負担をより軽減する狙いから対応が急がれている。
例えば一般用洗剤やボディケア分野。この業界では、ほとんどの商品が容器包装リサイクル法の対象となるためだが、製品自体の濃縮技術で包装までコンパクト化した経緯を踏まえ、このところ盛り上がりを見せるのが詰め替え製品の拡充だ。この包装で主流となるスタンディングパウチは、成形容器に比べ使用する樹脂量を大幅に削減できるメリットから、すでに多くの商品で採用されている。ただし成形容器に比べた場合の充填能力から、コスト性の問題も浮上しており、新たな方向性の模索も進んでるようだ。
トイレタリー分野ほど際立った包材使用量の削減ではないが、飲料・食品分野でも、一部の取り組みが始まっている。これらの多くは、現行商品の包装で何らかの削減を図ろうというもの。医薬品関係を含め、これらは中身が人の口に入る性質上、どうしても包装で内容物保護を最優先のポイントとするが、これを踏まえた包材薄肉化や素材の単一化への挑戦は、包材供給サイドの高度な技術力が光る部分といえる。
本パートでは、トイレタリー、食品・飲料、医薬品、家電、流通まで、ユーザー各社が取り組む包装での“環境対応”から、特に容器包装リサイクル法とかかかわりが深くなる“省資源”“リターナブル”“易リサイクル化”にスポットを当てるとともに、流通段階での包装改善や省資源対応事例もトータルに紹介する。



<到来!HACCPシステム本格生産時代>(25〜36面)
◇強まる流通サイドの圧力
避けられない世界標準化の動き


食品業界にHACCP(危害分析重要管理点)システムに基づく本格的は生産時代が到来した。1995年7月のPL(製造物責任)法施行や、96年夏の腸管出血性大腸菌O-157による食中毒事件などをきっかけに、各メーカーは食品の衛生管理と品質保証の重要性を再認識。従来の最終製品検査から、“食”の流れ全体にわたって危害発生を防止・抑制し、継続的に管理するHACCPシステムを導入する企業が加速度的に増大している。
事実、95年に厚生省が設けたHACCP方式を主体とした総合衛生管理製造過程(HACCP)に基づいた食品の製造・加工を行う施設についての承認精度をクリアした企業数も147社、279施設・633件に達している(平成10年12月15日現在)。
国から承認を得ることで、現状最も高度とされる衛生管理手法に準拠した生産工場を確立したことが対外的に証明される。これにより、消費者や流通業者へ安全性の高い食品を生産していることがアピールできることから、HACCPシステム導入は営業戦略上、有利な展開が図れる。
実際、日本生協連などは昨年、PB商品の製造委託先などに対してHACCPの導入を要求。日本マクドナルドは約2年前に、食品メーカーに対してHACCP導入を新規取引条件として求め、従来の取引先100社合計150の工場が対応を完了した。
こうした流通サイドの動向も食品メーカー各社のHACCP導入を促しており、ここ数年で急激にHACCPシステムを採用する工場が増加している。
ただ、国内でのHACCPシステム導入は、あくまで自主基準の域を脱しておらず強制力がないのが実情。HACCP方式を「採用する・しない」は各企業の自主性にまかされている。90%以上が中小企業の食品業界にとって、少なからずコスト負担が生じるHACCPの構築は体力的に厳しい面もあり、今後さらに普及するかどうかに疑問も残る。
しかしながら、既にEU(欧州連合)では水産食品や食肉製品などについてEU指令により義務化され、アメリカでは97年12月から水産食品が、98年1月からは大規模食肉・食鳥肉処理場で導入が義務づけられている。この義務化は、アメリカ国内にとどまらず同国が輸入する食品を製造または加工する国外の施設についても強制力を持っている。このためアメリカへ食肉製品などを輸出する日本の食品メーカーは否応なしにアメリカが求める基準のHACCPを導入しなければならない。
このように今日、HACCPは間違いなく食品衛生管理上のグローバルスタンダードになりつつある。貿易自由化の流れを受け、食品原料の流通がボーダレス化し、大量の食材が世界各国間相互に流通。多くの病原菌や微生物などが国境を越えて世界中に広がる危険性を含んでいるからだ。
しかもHACCP概念に基づいていない衛生管理の場合は、輸入規制など貿易上の障壁となりかねない。国内ではまだまだHACCP導入を法制化する動きはないが、このような事情からHACCPシステム構築に乗り出す食品メーカーがさらに増加すること容易に予測できる。
厚生・農水省でも昨年7月からコスト負担を軽減するため「HACCP手法支援法(食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法)」を施行。中小企業のHACCPシステム採用を後押ししている。
このような状況から今年は、より急速にHACCPシステムの導入が進むと考えられる。食品業界にとって1999年は、HACCPシステムによる実質的な本格生産時代の元年となりそうだ。本パートでは、ユーザーのHACCPへの取り組みをはじめHACCP(総合衛生管理製造過程)承認工場一覧、HACCPシステム構築をサポートする機器装置・資材などを紹介する。



<業況アンケート(上)>(37〜48面)
◇トップはこうみる1999年/卯年
維持、低迷それとも飛躍

昨年は“日本列島総不況”で、包装産業のみならず全産業が厳しい1年だったといえよう。
昨年暮れに大蔵省が提出した99年予算案は、今年度が緊縮型だったのに対し、一転して積極型となった。景気てこ入れに重点を置いたもので、一般会計では初めて80兆円を突破した。なかでも公共事業向け予算が今年度当初比10.5%増と、公共事業を景気対策の頼みの綱とした内容になっている。この大蔵原案で、どこまで民需回復になるかは不透明としかいえない。
さて本紙では今回、包装産業界の幅広い分野から経営のトップ、部門の責任者などに、昨年の業績、今年の業界展望など質問形式でアンケートを実施。その結果、数多くの回答が寄せられた。その内容を今週号と次週号(1月18日号)の2回に分けて掲載する。



<包装産業・関連産業統計>(49〜60面)
◇昨年後半までの最新データ
包装業界各分野の出荷・生産の動き/厳しい経済環境を反映

日本包装技術協会が毎年まとめている包装産業統計によると「7兆〜8兆円」というのが、ここ何年かの包装産業界の市場規模の推移と考えられている。しかし、資材、機械ともにどういった種類のものが、どこまで含まれているのか、いまひとつ分かりにくい点もある。
ここでは、昨年の本紙「暑中特集号」でまとめたものの続編として、包装産業の各業界団体がまとめている「生産実績」および「出荷実績」のうち、最新のデータを収集、紹介し、包装産業界の規模を推し量りたい。数字は、1998年末で入手可能なもので、できる限り新しい統計資料を集めたので、昨年の初めから後半に至る流れを掌握できる。また、年間統計で昨年夏に紹介したものは、今回は省いている。ユーザーの(食品関係)の生産統計については、いくつか選択して紹介した。炭酸飲料については、本紙「ユーザー情報」でも毎月紹介しているものをまとめた。ユーザーの生産・出荷量などは、包装資材の需要のベースともなる数字のため、今後も紹介する機会を得てさらに業種を増やし充実させる予定だ。





1月 18日 新春特集号 3

<包装機・関連機器>
◇ガス機器メーカーがロール包装機開発
従来機比2分の1サイズのスパイラル型

- 高木産業 -
住宅用ガス機器メーカーの高木産業(静岡県)は、ロール紙のロール幅、径の大小を問わず一種類の包装紙で自動包装できる「帯状ロール自動包装機」を開発、昨年暮れから本格的に受注活動を開始した。同機は、ロール状紙製品に包装紙をスパイラルに巻きつけて包装するため、包装紙の選択が不要。生産段階で生じる端材も包装紙として活用でき、消費資材のコストダウンも図れる。機体は、容積が従来機の2分の1というコンパクトサイズで、工場内スペースの有効活用も可能。処理能力は毎時30本。本体価格は5,000万円前後に設定する予定。



<シート・プラスチック容器>
◇A-PETシート製造装置導入へ
容器成形までの一貫化志向/2〜3月に設置

- 栗原製作所 -
有力鶏卵パックメーカー、栗原製作所(奈良県)は、今年2〜3月にシート製造装置を導入し、A-PETシート製造から鶏卵パック成形加工までの一貫生産化に踏み切ることを明らかにした。急増するA-PET製鶏卵パックの需要に対応するもの。シート製造を内製化することで、コストダウンも可能になることから、同社の競争力はさらにアップする。



<シート・プラスチック容器>
◇ISO9002を認証取得
全工場・販売・管理部門で

- 日本プラスチック工業 -
プラスチックシートメーカー、日本プラスチック工業(愛知県)は、昨年12月1日付で本社工場・美濃工場および2支店・3営業所で、国際品質保証規格ISO9002の認証を取得したことを明らかにした。同社では今後、より一層の高品質製品の提供とサービス充実を図るとともに、環境マネジメントシステムISO14001の認証取得にも取り組んでいくとしている。



<紙器・段ボール>
◇非木材紙製容器を輸入販売
中国・緑州開発のパルプモールドタイプ
米FDAが安全性承認

- サウス・エリア・インターナショナル -
サウス・エリア・インターナショナル(東京都)は、中国の緑州(大連緑州集団)と提携し、非木材系純天然植物繊維パルプを原料としたパルプモールドタイプの紙製容器「グローバル・グリーン・グラス」シリーズを輸入販売する。純天然植物繊維パルプのみを原料とした同シリーズは有害物質溶出の恐れがなく(日本食品分析センターで分析済み)、耐熱、耐水、耐油性も兼ね備え、無異臭で硬さの変更も可能。形状も浅底のプレートタイプから深底のどんぶりタイプ、蓋付きフードパックタイプまで揃っており、応用範囲も広い。衛生確保については、現地工場で加熱処理のほか、特別な紫外線処理も含め、二重の消毒チェックを行っている。なお、安全性については、米国FDA(食品医薬品局)から問題ないとの承認が得られているとしている。



<フィルム・軟包装>
◇脱アルミ化対応の新バリア包材
ユポと透明蒸着の組み合わせ/お茶で採用進む

- 王子油化合成紙 -
王子油化合成紙(東京都)は、合成紙「ユポ」にバリア性を付与した「ハイバリアー・ユポ袋」を昨秋の東京パックに出品展示し、大きな反響を呼んだが、その後お茶用で採用が進んでいる。近々、大手百貨店で同袋を採用したお茶も発売される。そのほかにも各種用途で引き合いが活発化しており、同社では、お茶以外ではコーヒー、紅茶、のどアメ、ノリ、ドライ食品、ビスケット類、入浴剤、湿布剤など、主に付加価値・高級志向の用途で今後採用が進むものと期待している。



<フィルム・軟包装>
◇カートリッジ式詰め替えパウチ
ヘアケア商品で初採用

- 昭和丸筒 -
昭和丸筒(大阪府)がかねてから積極的な販促活動を展開してきた液状商品向け詰め替えシステム「クリーン・クリック・システム(CCS)」が、このほど業務用ヘアケア商品サプライヤーのジェニック(本社・東京都)の商品に採用された。同システムがヘアケア商品で採用されたのは今回が初めて。同システムは、東京パック出品以来、引き合いが急速に増してきており、ヘアケア商品だけでなく、食品、化学薬品、トイレタリー、ペイントや一般廃棄物としての処理が困難な工業用品などでの採用も期待されている。



<シール・ラベル>
◇ISO9002を認証取得

- 王子化工 -
王子化工(東京都)の春日井工場(愛知県)と宇都宮工場(栃木県)の両工場は、昨年12月25日付で品質保証の国際規格ISO9002の認証を取得した。ともに認証機関は日本品質保証機構(JQA)。同社では今後、その他の工場も含めて積極的に認証取得を進めていくとしている。



<環境・包材リサイクル>
◇川崎工場でISO14001取得/ガラスびん業界で初めて
2000年までに全工場で取得へ

- 東洋ガラス -
東洋ガラス(東京都)は昨年12月18日、国内のガラスびん業界で初めてISO14001を取得した。今回対象となったのは川崎工場(神奈川県)。認証機関は日本品質保証機構(JQA)で、同社は2000年5月までに全工場で同規格の認証を取得する方針。



<物流・ロジスティクス>
◇半導体の搬送システムを受注
独セミコンダクタ300社のテストライン向け

- 村田機械 -
村田機械(京都府)のクリーンシステム事業部はこのほど、ドイツの半導体デバイスメーカー、セミコンダクタ300社の世界初の300o(12インチ)ウエハー製造テストラインに向けた自動搬送システムを受注した。受注した搬送システムは、クリーン度クラス1対応のストッカー(クリーンデポ300)2台、25m走行長さのリニア誘導モーター駆動方式の天井走行台車(リムキャリー300)2台、75m走行長さの非接触給電式天井走行台車(スカイラブクリーン300)4台とそのコントーロールシステム1式。工事が順調に進めば99年6月には本格稼働する予定。受注金額は最終的に300万ドルになる見込み。



<鮮度保持関連>
◇抗菌剤・製品の自主規格
自己認証登録方式でスタート/業界・消費者の対応が今後の焦点

- 抗菌製品技術協議会 -
抗菌剤・抗菌製品メーカー120社で構成される、抗菌製品技術協議会(=SIAA、伊藤信久会長)は、抗菌剤と抗菌製品の正しい品質・安全性管理を行う目的で、これらに関する自主規格を制定し、これに適合する製品に対して自己認証マーク「SIAAマーク」の使用を認める活動を昨年暮れから開始した。申請の受け付けは昨年暮れから開始しており、間もなくマークを表示した製品が市場に出回りそうだ。



<業況アンケート(下)>(3〜4面)
◇トップはこうみる1999年/卯年
後半回復基調に/資材メーカー・商社に明るい見通しも

本紙では今回、包装産業界の幅広い分野から経営のトップ、部門の責任者などに、昨年の業績、今年の業界展望など質問形式でアンケートを実施した。その結果、数多くの回答が寄せられた。その前編を先週号(1月11日号)に掲載し、今週号はその後編を掲載する。



<総力特集「容器包装リサイクル法B」>(5〜11面)
◇プラ包材の再商品化は油化・高炉・ガス化に
紙製包材はRDF・再生紙/多様な再商品化技術の確保を

通産省は、2000年から完全実施となる容器包装リサイクル法の再商品化手法について、昨年6月にまとめた「考え方」の内容に沿った形で「マテリアルルサイクルを基本にする」とした上で、プラスチック包材については、@油化A高炉利用Bガス化───の3つに絞っていることを明らかにした(本紙1月11日号で既報の通り)。また、紙製包材の再商品化についても、固形燃料化(RDF)を念頭に、製紙メーカーが分別収集された紙製包材を引き取り、紙として再生できるものは紙に戻し、それ以外のものは加工を加えて燃料利用する考えだ。
もちろん、リサイクルをここに挙げられている方法に限定する必然性はまったくない。他にコストが安く、トータルの環境負荷を低減できる有効なリサイクル方法があれば、それも当然採用していくべきだろう。再商品化を限定してしまっては、競争原理が働かなくなり、他のより優れた技術が開発される芽を摘み取ってしまう可能性があるからだ。また、収集した包材の輸送の際に発生する環境負荷やコストを低減する必要性もある。そのためにも、多様な再商品化技術を確保しておくべきだろう。それが全国にリサイクルが普及するカギにもなるはずだ。



<パッケージ・バリアフリーアンケート>(13〜23面)
◇新世紀の包装の課題と変化
共生時代の本格的幕開け
“人にやさしい”との視点は包装を変えるか?

※ 詳細はこちら



<新年・物流特集>(25〜37面)
◇カタカナ用語・アルファベット3文字の氾濫
広い用語の理解が『全体最適』の源

昨年末、ある物流業界団体の記者会見の席上で最近、物流用語にカタカナやアルファベット3文字言葉が目立つが、その意味を大学生などから質問され、答えられなかった」と業界のトップ。物流業界では、今や『全体最適』を追求することが求められてきている。一部の業界関係者にしか理解されていないカタカナやアルファベット3文字の物流用語が氾濫し、業界同士のコミュニケーションすら図ることができない状況は「『全体最適』を目指しているというより、むしろ『部分最適』の業界」と、他の業界から指摘されても仕方ないのではないだろうか。
業界用語は広く理解してもらう必要がある。外国で普及している物流システムや物流の考え方については、業界関係者はもとより幅広い層の人々により分かりやすい説明や用語にするという努力と作業(翻訳など)をすべきだし、そうした配慮が『全体最適』の源になるのだと訴えたい。      (包装タイムス編集部)





1月 25日 新春特集号 4

<包装機・関連機器>
◇サイズ従来比4分の1に
新型YAGマーカーを発売

- キーエンス -
キーエンス(大阪府)は、独自のレーザー光学技術を駆使することで、同社従来比4分の1というコンパクト化を実現したYAGレーザーマーカー「MY-9500」を開発した。コントローラー部やマーカー部などを小型化して扱いやすくした点が特徴で、スペースの都合上、設置が困難だったラインにも導入が可能。その性質上ある程度の大型化が不可避だったYAG型で画期的なタイプとして今後、販売に力を入れる。



<シート・プラスチック容器>
◇PET樹脂発泡体製法の特許実施権を供与
米国イーストマン社に初めて/日、韓、台除く地域で食品容器用途に限定

- 積水化成品工業 -
積水化成品工業(大阪市)は、PET樹脂発泡体製法に関する特許実施権を、世界有数のPET樹脂メーカー、米国イーストマン・ケミカル社に供与した。同社が同樹脂発泡体製法に関する特許実施権で他社とライセンス契約を結んだのは今回が初めて。同樹脂の発泡体製品には、バージン原料の「セルペット」と、使用済みPETボトルを再生した「セルペットF」の2種類があるが、今回の契約は「セルペットF」のみ。契約期間は今年1月1日から特許存続期間の10年間で、地域は日本、韓国、台湾を除くその他の地域、用途は食品容器に限定されている。



<シート・プラスチック容器>
◇PSP成形子会社を売却
アテナ工業の関東工場に

- 鐘淵化学工業 -
鐘淵化学工業(大阪市)は、全額出資子会社のPSP容器成形メーカー、サンパール(茨城県)の資産と商権を今年1月末にアテナ工業(岐阜県、TEL:0575-24-2424)に売却し、解散することを明らかにした。今回の決定は、子会社のサンポリマーを通じてPSPシートの製造販売に専念したい鐘淵化学工業と関東地方に生産拠点を求めていたアテナ工業の思惑が一致して成立したもの。譲渡内容は、サンパールの本社工場敷地(約1万2,0002)と工場建屋のほか、生産設備1式と営業権で、従業員も約80%の40人強を引き受ける。アテナ工業にとっては、本社工場以外の初の生産拠点となる。



<紙容器>
◇ケナフ容器の品ぞろえ強化
浅底のプレートタイプ投入

- 日本デキシー -
日本デキシー(東京都)は、非木材紙原料のケナフと木材パルプのブレンド原料を採用した紙容器「ケナフ」シリーズの品ぞろえを強化した。すでに流通しているボウルタイプとカップタイプに続き、プレートタイプを投入、各種流通ルートを通じて販売を開始し、シェア拡大を目指す。同シリーズは一般家庭向けがメーンだが、同社では業務向けにも供給するとしている。



<その他容器>
◇可剥離型接着剤を開発
温水で異種材料を容易に分離/鐘紡が化粧品容器に採用

- 化研テック -
化研テック(大阪府)は、“接着と分離”の両機能を有する画期的な接着剤「エコボンド」を開発、販売を開始した。ガラスやプラスチックなど異種材料に強力な接着力を発揮する一方、取り外したいときには50℃前後の温水に1〜2時間浸すと容易に剥離する可剥離型接着剤で、化粧品用ガラス容器大手の興亞硝子(東京都)からの要請に応え、開発したもの。すでに、鐘紡がこの二月から発売する、化粧品の新ブランド「LUNASOL(ルナソル)」の容器に採用されている。化粧品容器以外の分野からも要望が出ており、化研テックとしては今後「エコボンドシリーズ」としてラインアップを進めていく方針。



<シート・プラスチック容器>
◇食品残さを樹脂に配合
シート・容器化技術を完成/フスマ、オカラを有効利用

- 赤松化成工業 -
赤松化成工業(徳島県)は、食品残さのフスマ・オカラを特殊技術でPPやPEに配合しシート化することに成功した。従来、フスマやオカラの水分を幾分か残して緩衝材にする技術はあったが、新技術は水分を完全に飛散させてシート化するもの。同社では「ファイバーシート」として商品化するとともに、食品容器(食品衛生法に適合)などに真空・圧空成形し販売を開始している。



<紙器・段ボール>
◇片段積載機を開発
紙のソリなどにも対応

- 大和メカニック -
大和メカニック(大阪府)は、「片段積載機」を開発した。独自のダブルハンドを採用し、片面段ボールの両端をタイミング良くつかみ、所定の位置に運んで放すという機構を備えたことで、正確さと高速性を実現している。同社はこれまで、片面段ボール用シングルフェーサや巻き取り機、カッターなどを生産してきたが、これにより片段製造のライン化を実現。特に片段は、カールしたりよじれたりして不ぞろいとなりやすく、後処理の機械化が難しいとされてきたが、これにより大幅な省力化が実現できるものとして需要が期待される。



<フィルム・軟包装>
◇「スーパーニール」を設備増強
需要急増に対応し安定供給を図る/今秋から年産3,500t稼働

- 三菱化学興人パックス -
三菱化学興人パックス(東京都)は、需要が急速に高まっている二軸延伸ハイガスバリアナイロンフィルム「スーパーニール」の安定供給を図るため、八代工場(熊本県八代市)で年産3,500t規模の設備増強を行う。8月から試運転を行い、9月から営業生産開始の予定。既存の筑波工場と合わせ、生産能力は6,500tになる。現在、スーパーニールは筑波工場でテンター法(キャスト)により製造されているが、八代工場ではチューブラー法(インフレ)で行う。



<外装機器・資材>
◇部品共有化で低価格実現
ガムテープ繰出機の新製品/コスト競争力武器に需要増狙う

- パックウェル -
パックウェル(東京都)は、ガムテープディスペンサー「ヘルパー」シリーズのモデルチェンジ機3タイプを昨年暮れに発売した。従来機と同等以上の性能を持ちながら、製品の統廃合と部品の共有化を図ることで2〜3割のコストダウンを実現。約10年前のマーケットプライス程度まで引き下げた。同社ではコスト競争力を武器に、特に低温物流市場や輸出梱包市場などをターゲットに展開を図っていく方針。



<シール・ラベル>
◇ラベル業界に新需要浮上か
水産物に環境ラベルの可能性/資源保護でFAO採用検討

ラベル業界に新需要が浮上する可能性が出てきた。国連食糧農業機関(FAO、本部・ローマ)は昨年末、魚やエビ・カニなどの水産物が環境に配慮した方法で漁獲されているかどうかを商品に表示する「環境ラベル」の導入について検討に乗り出した。世界の漁業資源の60〜70%が過剰に漁獲され、資源の枯渇化が深刻な状況となっていることから、環境面から資源を保護するのが狙い。今年2月の総会で導入に向けて動きだすか、別の方法を検討するかが決定する。環境ラベル採用の方向に決議された場合は、2000年をメドに作成する予定。



<物流関連>
◇国内初アルミ製リフター
初年度約1,000台見込む

- をくだ屋技研 -
をくだ屋技研(大阪府)は、国内初のアルミ製・軽量運搬機「Kリフター」の本格販売を開始した。アルミ製リフトは輸入品で一部見られたが、国内ではこれまで製品化されていなかった。同社では、軽量・クリーンな新リフターとして医薬品、電子関連、食品分野などへの拡販を図る方針。すでに大手製薬メーカーから引き合いを得ており、初年度約1,000台の販売を見込んでいる。



<環境・包材リサイクル>
◇超軽量で耐久性も向上
びん製造の新技術を開発/透明びんに樹脂、ゴムをコート

- 東洋ガラス -
東洋ガラス(東京都)は従来の2倍近い耐久性を持ち、あらゆる色を着色できるほか、透明びんとしてのリサイクルも可能な新しいガラスびんコーティングシステム「TMC-21」をこのほど開発。川崎工場に新しい設備を導入し、3月から本格稼働を開始する。このシステムと超軽量化技術を組み合わせることで耐磨耗性が向上し、リターナブル仕様で35回転以上の回収・再使用にも耐えることから、リターナブルびんの耐久性向上・超軽量化を実現したシステムとして注目されそうだ。



<環境・包材リサイクル>
◇PSに環境ホルモン作用なし
日米欧の研究結果で明らかに/独・BASF社のクレーナー氏が発表

独・BASF社のペーター・クレーナー博士は先ごろ、東京・港区の日本スチレン工業会で記者会見を行い、日米欧でポリスチレン(PS)の環境ホルモン作用の有無について試験を行った結果を発表、いずれもエストロゲン(女性ホルモン)作用がなかったことを明らかにした。先に京都市で開かれた内分泌かく乱化学物質問題に関する国際シンポジウムでも同様の内容が発表されており、これらの研究結果は、PSに関する環境ホルモン論議に終止符を打つものとなっている。



<環境・包材リサイクル>
◇製品のLCA計算を簡易に
ソフト「QuickLCA」を開発/各工程の環境負荷が明らかに

- 電力中央研究所 -
電力中央研究所は、製品のトータルの環境負荷を評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)を簡易に計算できるソフトウエア「QuickLCA」を開発した。製造、利用、廃棄、リサイクルの4つのプロセスからなっており、製品のライフサイクルにわたるエネルギー消費量、労働量、環境負荷が分析できるほか、各段階ごとの大きさも明らかにできる。家電メーカーを中心にLCAによる製品の環境影響評価が活発になっているが、メーカーが個々に分析を行っているのが現状。同ソフトによれば、汎用的な分析が可能なことから、今後、これを用いた製品開発分析が行われそうだ。



<コントラクトパッケージング・最前線(関西発)>(12〜15面)
◇ハードル乗り越え積極果敢
ISO取得への準備も着実に

食品や雑貨、医薬品、化粧品など幅広い分野で利用されているプラスチック包装。その中でブリスター包装や各種容器、ケースといった真空圧空、各種成形品の加工企業は、近畿地区に有力メーカーが数多くある。関連の成形加工企業などで構成する「関西パック工業会」(梅田藤三会長)も業界内の有力団体。同工業会も積極的な交流をベースに業界全体のレベルアップを図っている。本企画では国内有数の成形メーカーが参加する同工業会のほか、成形メーカーおよび関連業界の動きをコントラクトパッケージング最新の取り組みとして多角的にまとめた。



<総力特集「容器包装リサイクル法C」>(17〜31面)
◇包材重量削減が至上命題に
注目される再商品化コスト/判断難しい対象事業者

昨年11月26日、通産省産業構造審議会の容器包装リサイクル小委員会が開かれ、容器包装リサイクル法の施行状況、再商品化義務量算定に係る量、比率や紙製包材のサーマルリサイクル手法の考え方についてなど、来年4月の完全施行を前にした重要な見解が示された。一部は、すでに本紙12月7日号、14日号で紹介したが、完全施行にかかわる重要な資料が示されているので、「総力特集・容器包装リサイクル法」の最終回となる今回は、それを基に発表された告示・省令と、その中から重要と思われる資料を紹介する。



バックナンバーに戻る