■建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律要綱 :建設省
第一 目的
 この法律は、特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施すること等により、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量等を通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とすること。(第一条関係)

第二 定義
 一 この法律において「建設資材廃棄物」とは、建設資材が廃棄物となったものをいうものとすること。
 二 この法律において「分別解体等」とは、次に掲げる工事の種別に応じ、それぞれ次に定める行為をいうものとすること。
  1 解体工事 建設物等に用いられた建設資材に係る建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を計画的に施工する行為
  2 新築工事等 当該工事に伴い副次的に生ずる建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を施工する行為
 三 この法律において「再資源化」とは、次に掲げる行為であって、分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物の運搬又は処分(再生することを含む。)に該当するものをいうものとすること。
  1 分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物について、資材又は原材料として利用すること(建設資材廃棄物をそのまま用いることを除く。)ができる状態にする行為
  2 分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物であって燃焼の用に供することができるもの又はその可能性のあるものについて、熱を得ることに利用することができる状態にする行為
 四 この法律において「特定建設資材」をは、コンクリート、木材その他建設資材のうち、建設資材廃棄物となった場合におけるその再資源化が資源の有効な利用及び廃棄物の減量を図る上で特に必要であり、かつ、その再資源化が経済性の面において制約が著しくないと認められるものとして定める一定のものをいうものとるすこと。
 五 この法律において「特定建設資材廃棄物」とは、特定建設資材が廃棄物となったものをいうものとすること。
 六 この法律において「縮減」とは、焼却、脱水、圧縮その他の方法により建設資材廃棄物の大きさを減ずる行為をいうものとすること。
 七 この法律において「再資源化等」とは、再資源化及び縮減をいうものとすること。
 八 この法律において「解体工事業」とは、建設業のうち建設物等を除却するための解体工事を請け負う営業をいうものとすること。
 九 この法律において「解体工事業者」とは、都道府県知事の登録を受けて解体工事業を営む者をいうものとすること。(第二条関係)

第三 基本方針
 一 主務大臣は、建設工事に係る資材の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図るため、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定め、これを公表しなければならないものとすること。
 二 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとすること。
  1 分別解体等及び再資源化等の促進等の基本的方向
  2 建設資材廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項
  3 再資源化等に関する目標の設定その他再資源化等の促進のための方策に関する事項
  4 再資源化により得られた物の利用の促進のための方策に関する事項
  5 環境の保全に資するものとしての分別解体等、再資源化等及び、再資源化により得られた物の利用の意義に関する知識の普及に係る事項
  6 その他重要次項
 三 都道府県知事は、基本方針に則し、当該都道府県における分別解体等及び再資源化等の促進等の実施に関する指針を定めるものとすること。(第三条及び第四条関係)

第四 責務
 一 建設業を営む者は、建設資材廃棄物の発生抑制並びに分別解体等及び再資源化等に要する費用の低減に努めるとともに、再資源化により得られた建設資材を使用するよう努めなければならないものとすること。
 二 発注者は、分別解体等及び再資源化等に要する費用の適正な負担、再資源化により得られた建設資材の使用等により、分別解体等及び再資源化等の促進に努めなければならないものとすること。
 三 国は、分別解体等、再資源化等及び再資源化により得られた物の利用の促進に関する国民の理解を深めるとともに、その実施に関する国民の協力を求める等の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
 四 都道府県及び市町村は、当該地域の実情に応じ、分別解体等及び再資源化等を促進するよう必要な措置を講ずることに努めなければならないものとすること。(第五条から第八条まで関係)

第五 分別解体等実施義務
 一 特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、その規模が一定の基準以上のもの(以下「対象建設工事」という。)の受注者(以下「対象建設工事受注者」という。)又はこれを請負契約によらないで自ら施工する者(以下「自主施工者」という。)は、正当な理由がある場合を除き、分別解体等をしなければならないものとすること。
 二 分別解体等は、一定の施工方法に関する基準に従い、行われなければならないものとすること。
 三 都道府県は、当該都道府県の区域のうちに、一の基準によっては当該区域において生じる特定建設資材廃棄物をその再資源化等により減量することが十分でないと認められる区域があるときは、当該区域について、条例で、一の基準に代えて適用すべき基準を定めることができるものとすること。(第九条関係)

第六 対象建設工事の届出等
 一 対象建設工事の発注者又は自主施工者は、工事に着手する日の七日前までに、分別解体の計画等を都道府県知事に届け出なければならないものとすること。
 二 都道府県知事は、届出があった場合において、その届出に係る分別解体等の計画が第五の二の基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から七日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る分別解体等の計画の変更その他必要な措置を命ずることができるものとすること。
 三 国の機関又は地方公共団体は、届出を要する行為をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事にその旨を通知しなければならないものとすること。(第十条及び第十一条関係)

第七 対象建設工事の届出に係る事項の説明等
 対象建設工事を発注しようとする者から直接当該工事を請け負おうとする建設業を営む者は、当該発注しようとする者に対し、分別解体の計画等について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならないものとすること。(第十二条関係)

第八 対象建設工事の請負契約に係る書面の記載事項
 対象建設工事の請負契約の当事者は、建設業法第十九条第一項に定めるもののほか、分別解体等の方法、解体工事に要する費用その他の事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならないものとすること。(第十三条関係)

第九 助言又は勧告
 都道府県知事は、分別解体等の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、第三の三の指針を勘案して、受注者又は自主施工者に対し、必要な助言又は勧告をすることができるものとすること。(第十四条関係)

第十 命令
 都道府県知事は、対象建設工事受注者又は自主施工者が正当な理由がなくて分別解体等の適正な実施に必要な行為をしない場合において、その適正な実施を確保するため特に必要があると認めるときは、第三の三の指針を勘案して、分別解体等の方法の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。(第十五条関係)

第十一 再資源化実施義務
 一 対象建設工事受注者は、分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化をしなければならないものとすること。ただし、その再資源化について一定の施設を必要とする一定の特定建設資材廃棄物については、一定の距離に関する基準の範囲内に当該指定建設資材廃棄物の再資源化をするための施設が存しない場所で工事を施工する場合その他地理的条件、交通事情その他の事情により再資源化をすることには相当程度に経済性の面での制約がある場合には、再資源化に代えて縮減をすれば足りるものとすること。
 二 都道府県は、当該都道府県の区域において生じる特定建設資材廃棄物の再資源化による減量を図るため必要と認めるときは、条例で、一の基準に代えて適用すべき基準を定めることができるものとすること。(第十六条及び第七条関係)

第十二 発注者への報告等
 一 対象建設工事の元請業者は、当該工事に係る特定建設資材廃棄物の再資源化等が完了したときは、その旨を当該工事の発注者に書面で報告するとともに、当該再資源化等の実施状況に関する記録を作成し、これを保存しなければならないものとすること。
 二 報告を受けた発注者は、再資源化等が適正に行われなかったと認めるときは、都道府県知事に対し、その旨を申告し、適当な措置をとるべきことを求めることができるものとすること。(第十八条関係)

第十三 助言又は勧告
 都道府県知事は、再資源化等の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、第三の三の指針を勘案して、受注者に対し、必要な助言又は勧告をすることができるものとすること。(十九条関係)

第十四 命令
 都道府県知事は、対象建設工事受注者が正当な理由なくして特定建設資材廃棄物の再資源化等の適正な実施に必要な行為をしない場合において、その適正な実施を確保するために必要があると認めるときは、第三の三の指針を勘案して、再資源化等の方法の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。(第二十条関係)

第十五 解体工事業者の登録
 解体工事業を営もうとする者(土木工事業、建築工事又はとび・土工工事業に係る建設業の許可を受けた者を除く。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならないものとする。(第二十一条関係)

第十六 技術管理者の設置及び職務
 一 解体工事業者は、工事現場における解体工事の施工の技術上の管理をつかさどる技術管理者を選任しなければならないものとすること。
 二 解体工事業者は、解体工事を施工するときは、技術管理者に当該解体工事の施工に従事する他の者の監督をさせなければならないものとすること。(第三十一条及び第三十二条関係)

第十七 標識の掲示及び帳簿の備付け等
 一 解体工事業者は、その営業所及び解体工事の現場ごとに、標識を掲げなければならないものとすること。
 二 解体工事業者は、その営業所ごとに帳簿を備え、これを保存しなければならないものとすること。

第十八 解体事業者の登録についてのその他の措置
 解体工事業者の登録について、登録の申請、登録の拒否、解体工事業者登録簿の閲覧、登録の取り消し等その他の所要の規定を設けるものとすること。(第二十二条から第三十条まで及び第三十五条から第三十七条まで関係)

第十九 雑則
 一 国は、対象建設工事の発注者が分別解体等及び再資源化等に要する費用を建設工事の請負代金の額に適切に反映させることに寄与するため、この法律の趣旨及び内容について、国民の理解と協力を得るよう努めなければならないものとすること。(第三十八条関係)
 二 対象建設工事の元請業者は、各下請人が再資源化等を適切に行うよう、各下請負人の施工の分担関係に応じて、各下請負人の指導に努めなければならない。(第三十九条関係)
 三 国及び地方公共団体は、対象建設工事受注者による再資源化の円滑かつ適正な実施を確保するため、再資源化をするための施設の整備を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。(第四十条関係)
 四 主務大臣又は都道府県知事は、特定建設資材廃棄物の再資源化の円滑な実施を確保するため、再資源化により得られた建設資材の利用を促進することが特に必要であると認めるときは、主務大臣にあっては関係行政機関の長に対し、都道府県知事にあっては新築工事等に係る対象建設工事の発注者(国を除く。)に対し、再資源化により得られた建設資材の利用について必要な協力を要請することができものとすること。(第四十一条関係)
 五 その他報告の徴収、立入検査、主務大臣等、権限の委任等に関し、所要の規定を設けるものとすること。(第四十二条から第四十七条まで関係)

第二十 罰則
 罰則について所要の規定を設けるものとすること。(第四十八条から第五十三条まで関係)

第二十一 その他
 その他所要の規定の整備を行うものとすること。

第二十二 附則
 一この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、次の規定は、それぞれ次に定める日から施行するものとすること。
  1 解体工事業者に関する規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日
  2 分別解体等及び再資源化等に関する規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日
 二 その他経過措置、中央省庁等改革関係法施行法の改正等について所要の規定を設けるものとすること。(附則第二条から附則第十条まで関係)